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忘れられない、言葉や、歌、本や、映画があります。
今日ご紹介するのは、 『 祝 婚 歌 』という吉野 弘さんの詩です。
わたしはこれを初めて読んだ時、
何か体中が震えあがるほどの喜びを感じました。
分かりやすい言葉で、誰もが感じる、
そして誰もが、そんなふうになりたいって思える、
情景や、人生の歩み方を書いておられます。
ご存知の方が沢山おられると思いますが。
この詩は、その読む年齢によってまた響きが違ったりするように思うんです。
『 祝 婚 歌 』 吉野 弘
二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派過ぎないほうがいい
立派過ぎることは
長持ちしないことだと
気づいているほうがいい
完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい
二人のうち どちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい
互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで疑わしくなるほうがいい
正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気づいているほうがいい
立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には色目を使わず
ゆったりゆたかに
光を浴びているほうがいい
健康で風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そしてなぜ 胸が熱くなるのか
黙っていてもふたりには
わかるのであってほしい
勿論全部の流れに関連があって
区切ることなんかできないし、
この詩の全てが好きなんですが、
何処が良いって、あえて言うなら最後の、
健康で……〜わかるのであってほしい。
ここが好きなんです。
これを、多分吉野さんご夫婦も体感なさったと思うんです。
わたし達も感じたことがあります。
会ったことも、言葉を交わしたことのない吉野さん御夫婦とわたし達夫婦とが
黙っていてもわかるりあえる……という同じ経験をしているというのが
わたしにとっての震えるほどの喜びなんです。
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