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ある方のブログに触発されて、親父のことを書きます。
わたしの親父は、声楽家でした。
でも、実際にステージに立っている姿を知っているのはお袋だけです。
親父が何歳の時か知らないんですが声が出なくなったからです。
そのことについて、お袋からたまに聞きましたが、
実際に親父から聞いたことはありません。
親父の声が出なくなり、お袋は生活の為、喫茶店を始めました。
最初の頃は、全く親父は働かなかったそうですが、
わたしが物心ついた頃には、体の弱いお袋に代わって、
親父の方が頑張っていたように思います。
しかし、わたしが記憶する子供の頃の親父は、
お袋に手を上げる、機嫌の悪い時にはお膳をひっくり返す、
家族から疎まれる存在だったことしか記憶にないんです。
親父が初めて家族の前で笑った顔を見せたのは、孫が出来た時だったと思います。
今から考えると、あの親父の気持ちが手に取るように解ります。
声が出なかったことがどれほど辛かった事か。
それまで音楽しかやって来なかった人間が、
それを捨て去るのに、どれ程の勇気が必要だったか。
貧困の中で、戦争があり、馬鹿にされたり、あらぬ疑いを掛けられたことを、
お袋から聞いたことがあります。
そんな中で笑顔では生きれなかった。
未来を見据えるには、怒りを明日のエネルギーに変えるしかなかった。
なぜか兄弟の中で私だけが、心のどこかで音楽をやっていた親父に憧れていました。
今あの頃の親父の年齢を追い越して思うんです。
人生には、その年齢にならないと解らないことがある。
その歳にならないと学べないとこがあるって……。
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