わたしが、高校一年の時に、
なんてカッコいいんだろうって思いました。
その当時は、トム・ジョーンズ、エンゲルベルト・フンパーティングといった、
ハイトーンを売り物にするシンガーが沢山いたんです。
そして、日本にも現れたんです。
そんなハイトーンで歌い上げるシンガーが……。
高校を卒業して、わたしはボーヤ、つまりバンドのお茶くみをしました。
当時万国博覧会に乗じて建てられたホテルプラザという、
高級ホテルの最上階にあるビスタラウンジっていう所でやっていたんです。
朝日放送に隣接して建てられたそのホテルには、
当たり前の様に、朝日放送に出演されるタレントさんや歌手の方が泊っておられました。
その中におられたんです、このハイトーンのシンガーの方が。
ある日のこと、わたしは、
ビスタラウンジに来られていたその方と、偶然エレベーターが一緒になったんです。
いや、今思い出すと追いかけて行ったようにも思います。
最上階は23階です。
そこから、1階に降りるまでの間に、
何かを話したい……、何かを話さなくては……、
わたしは決意し、裏返るような掠れた声で、
「すいません、以前組んでおられたグループはなんという名でしたか?」
今から考えると、どうでもいいような質問でした。
でも、わたしは貴方をずっと以前から知っていますよ……、っていうの言いたかったんです。
帰して下さった答えが、
「ザ・ワンダース」
Rの発音がとってもネイティブでした。
そのシンガーの方との出会いはそれっきりです。
なんとか、あの方がおられる場所までなんとかたどり着いて、プライベートでお話をしたかった。
2012年5月31日午前0時5分亡くなられたんです。
その方の名は、尾崎紀世彦さんです。
私の最も敬愛する日本人シンガーのお一人です。
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