豊中・狭山事件研究会「ストーン・リバー」

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平成22年3月30日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官
平成19年(ネ)第2853号 損害賠償請求控訴事件
(原審・大阪地方裁判所平成16年(ワ)第14236号)
口頭弁論終結日 平成21年5月22日
 
判決
 
主文
 
1 原判決を次のとおり変更する。
2 被控訴人らは各自,控訴人に対し,150万円及びこれに対する平成16年2月25日から支払済みまで年5 分の割合による金銭を支払え。
3 控訴人のその余の請求をいずれも棄却する。
4 訴訟費用は,第1,2審を通じ,2分の1を控訴人の負担とし,その余を被控訴人らの連帯負担とする。
5 この判決の第2項は仮に執行することができる。
 
 
事実及び理由
 
第1 控訴の趣旨
第2 事案の概要
第3 当裁判所の判断
 1 本件に至る事実関係
 2 雇止め及び不採用の違法性の有無
3 雇止め及び不採用に至る経緯の違法性
1
控訴人は,豊中市議会議員であった北川悟司や,その配下である増木重夫,あるいは同市議会副議長であり北川議員と同一会派を組む大町裕次議員らのバックラッシュ勢力が,平成14年ころから,控訴人や被控訴人財団に対する中傷,脅迫,虚構の流布などの違法,不当な攻撃を繰り返し仕掛け,被控訴人市において平成15 3 月に予定していた本件推進条例(豊中市男女共同参画推進条例)の上程を阻止する事態に至ったことから,被控訴人市は,北川議員らとの間に,同年9 月に同条例を成立させるのと引換えに,被控訴人財団において顕著な実務をあげていた控訴人を被控訴人財団から排除する合意を交わしたこと,そこで,従前から検討されてきた被控訴人財団の本件組織変更を急ぎ,次年度には控訴人を館長職から排除する方針を確定させたが,控訴人に対しては,その反発と市民の反対をおそれて,組織変更を行うことや,控訴人について館長職の更新を行わず,新館長としても採用しないことを秘して,控訴人の与り知らないところで・控訴人が新館長職を望んでいないという虚偽の情報を意図的に流布し,これを利用しながら被控訴人市の意向に沿う候補者を新館長に就任させることを画策したこと,しかしながら,控訴人が,自己を排除する目的で本件組織変丈が行われることを察知し,新館長職の候補者に応募すると表明するや,採用する意図もないのに,公正さを装うため,控訴人を欺いて選考試験を受けさせ,これを不合格としたことは,控訴人の人間としての尊厳を傷つけ,精神的苦痛を与え,人格的利益を侵害する行為であり,被控訴人らは雇用契約上の債務不履行,あるいは不法行為により,控訴人の損害を賠併すべきであると主張する。
 
2
なるほど,本郷部長は,被控訴人財団を管轄する被控訴人市の人権文化部長として影響力が強く,被控訴人財団の理事長においても,その発音は市長の意向を反映していると理解していたこと,このような本郷部長が選考委員として主導し,そのもとで控訴人が予定どおり選考から排除されたとみる見方はあり得るかもしれない。被控訴人市の事務担当責任者にすぎない本郷部長において候補者に当たったのに反し,控訴人には当たらなかったのはもとより,被控訴人財団理事長にさえ説明を後回しにしている。本郷部長はむしろ,控訴人が候補者とはならない前提でKと接触し,候補者となるよう勧誘して就任内諾を取り付け,このことを被控訴人市の市長にも伝えたものである。結果としてK が館長に選任され,控訴人は選任されなかったものであり,その選考過程に違法とすべき点はないが,被控訴人市の担当者のこれらの動きが影響を及ぼさなかったと断言することはできないし,そもそも本郷部長自身が選考委員に就任したこと自体,公正さを疑わしめるものがある。
しかしながら,選考委員であったYK は,選考ではK が新館長により適任であったことを述べる陳述書を作成している(丙34)。被控訴人らは,被控訴人財団の理事長の決定により控訴人をあえて新館長選考の候補者に加え,被控訴人財団の理事から選任された選考委員は,職種,地位などを考慮して5 名が選任されたものであり,そのうちの一人として被控訴人市の人権文化部長が就任したのも,被控訴人市の被控訴人財団への支援・助言・連携の関係上必要であったとの被控訴人らの主張自体においては不合理な点はないから,選考委員による選考及びその結果は,次に説示するような,K と接触して候補者としての内諾を得るなどした,同人の次期館長就任に向けての本郷部長などの動きを,結果的に浄化したものと評価するのもやむを得ない。
 
3
他方で,前認定の事実によると,被控訴人財団の館長職を非常勤の嘱託職員から常勤のプロパーに転換する組織変更については,おそくとも山本第1 次試案が提出された平成14年8 月以前から,他の構想とともに検討されており,そのころの北川議員らの攻撃を考慮しても,もともと控訴人を排除する目的のもとに,その検討が行われていたとは必ずしもいえないし,そのような組織変更について,当時から必要性,合理性あるいは緊急性があったことは否定しきれない。
しかし,前認定の事実及び弁論の全趣旨によると,おそくとも平成14年3 月ころから,被控訴人市や市議会の内外で,控訴人や被控訴人らに対する,控訴人の行動に反対の勢力による組織的な攻撃が行われており,その方法は,直接に反抗することのできない被控訴人らの職員に畏怖感を与えるような行動に出たり,嫌がらせを行ったり,虚偽に満ちた情報を流布して市民を不安に陥れたりするなど,陰湿かつ執であったところ,次に説示する各事情を踏まえると,市議会において与党会派に属し,市長や市議会に対しても横暴な行動をもって一定の影響力を有する北川議員を中心にした活動があったことや,平成15年3 月に予定されていた本件推進条例が上程そのものを阻止されて成立をみなかったことから,被控訴人市や本郷部長においては,同年9 月の次期市議会では,同被控訴人の面目をかけてその制定を図らねばならないとの思惑により,上記勢力を宥める必要に迫られていたことはある程度推測されるところである。結局のところ,被控訴人財団における男女共同参画推進の象徴的存在であり,その政策の遂行に顕著な成果を上げていた控訴人を被控訴人財団から排除するのと引換えに条例の態決を容認するとの合意を,北川議員らの勢力と交わすに至っていたものとの疑いは完全に消し去ることはできない。少なくとも,本郷部長らがK と接触して候補者の内諾を得たのは,あってはならないところを一部勢力の動きに屈しむしろ積極的に動いた具体的行動であったということができる。
すなわち,本件においては,北川議員が,「すてっぷ」に対する攻撃を続けながらも,同年9 月開会の市議会において,条例制定に反対する討論を延々と行ったにもかかわらず,議決にあたって一転して賛成に回り,同条例案が議決されるに至ったという不自然な流れとともに(なお,その後も北川議員は控訴人ほかに対し示威的行動に及んでいることは,前認定のとおりである。),本郷部長や山本事務局長らは,本件推進条例が議決されるや,中断していた被控訴人財団の組織変更の検討を急ぎ再開し,同年10月中旬までに,「すてっぷ」の非常勤館長を廃し,プロパーによる常勤館長を置く(すなわち,控訴人を現館長につき雇止めとし,新館長にも採用しないで,控訴人を被控訴人財団から排除する)という組織変更を行う意思を固め,また,この間,山本事務局長が単なる世間話の中で,控訴人から「常勤による館長への就任は無理である」との片言を引き出したのに乗じ,本郷部長において,人権文化部の資料を利用し,控訴人を外した新館長の候補者リストを作成し,同月20日に組織変更及び候補者リストからの新館長の選任,及びこれに伴う予算措置について市長の内諾を得て,平成15年2 1 日に,被控訴人財団の臨時理事会を開催させて同案を確定させたとの事実関係の流れがあることが明らかである。
そうして,本郷部長,武井課長及び山本事務局長は,おそくとも平成15年11月11日から,新館長の候補者に対する打診を開始し,3 人目又は4 人目の候補者であったK に対し,同人が控訴人において新館長に就任する意思があるときは自らはその就任を固辞する意思を有していることを了知しながら,控訴人にそのような意思はないと告げて,同年中にK に就任の内諾をさせた上,上記理事会の開催までの間に,K を事実上,新館長に就任させようと企図したものの,控訴人を館長として留任させようとする市民の動きがみられ,同時に上記勢力の動きを感じ取っていた控訴人が新館長への就任の意思を表明するに至ったため,選考試験を実施することとなったこと,しかし,被控訴人市においては,控訴人が新館長に選考されれば,一部勢力の勢いを止められないこととなって,さらなる攻撃を受けることが必定となるばかりか,他方の候補者であるK については,寝屋川市男女共同参画推進センターの事務局長を務めていたところを,本郷部長らの強い要請により,同市の了解のもとに,同職を辞任させて新館長に就任することを応諾させた経緯からして,同人を新館長にしないことには,同人や同市に対する背信行為となり,いずれにせよ,本郷部長のみならず,被控訴人市の市長も政治責任を問われかねないことを懸念し,K の新館長就任実現に向けて動いたものであることも,前認定の事実から窺うことができる。
 
4
このような動きの中での控訴人の立場をみると,当時一部勢力による控訴人への攻撃活動が繰り返されていた中で,控訴人が館長として継続して就任していられるかどうかは,重大な関心事であったのは当然であり,上記攻撃活動が被控訴人ら関係者に対してされている中ではなおさら,被控訴人ら関係者から,館長職の在り方や候補者いかんについてその都度説明を受けてしかるべき立場にあったというべきである。職域内のローテーションで配置された職員や従業員とは異なり,特定の職に就くものとして応募採用され,就任後は,専門的知見や経験,知名度そして内外の人脈を生かして幅広く質の高い初代の館長職をこなしてきた控訴人として,「すてっぷ」の組織の在り方,次期館長候補者(自己を含む)について情報を得て,協議に積極的に加わり自らの意見を伝えることは,現館長職にある立場にあってみれば当然にあるべき職務内容として与えられるべきであるか取るべき態様ないし行動であって,これをないがしろにし,さらには控訴人の意向を曲解して行動する被控訴人ら担当者の動きがあった場合には,控訴人の人格権を侵害するものといわなければならない。
本件雇止め及び本件不採用について,産用契約における債務不履行又は不法行為があったということはできないものの,上記のように,被控訴人財団の事務局長及び同被控訴人を設立し連携関係にある被控訴人市の人権文化部長が,事務職にある立場あるいは中立的であるべき公務員の立場を超え,控訴人に説明のないままに常勤館長職体制への移行に向けて動き,控訴人の考えとは異なる事実を新館長候補者に伝えて候補者となることを承諾させたのであるが,これらの動きは,控訴人を時期館長職には就かせないとの明確な意図をもってのものであったとしか評価せざるを得ないことにも鑑みると,これらの動きにおける者たちの行為は,現館長の地位にある控訴人の人格を侮辱したものというべきであって,控訴人の人格的利益を侵害するものとして,不法行為を構成するものというべきである。

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