豊中・狭山事件研究会「ストーン・リバー」

東京高検は、全ての証拠を開示せよ!東京高裁は、事実調べを行え!

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「冤罪ファイル」創刊号(2008年.3月)「裁判官の品格」(池添徳秋)より抜粋

●「冤罪事件」の再書請求審理が集中
 東京高裁刑事4部の門野博裁判長は、「名張毒ブドウ酒事事件」の再審開始決定を取り消す決定をしたことで知られる。「名張毒ブドウ酒事件」は、三重県名張市の公民館で1961年3月、地元住民らの会合で農薬の入ったブドウ酒を飲んだ女性5人が死亡し、12人が中毒症状になつた事件だ。殺人罪などに問われて死刑が確定した奥西勝死刑囚(81歳)の第七次再審請求に対し、名古屋高裁刑事l部(小出鐸一裁判長)は2005年4月、再審開始を決定した。
 この決定を不服とした名古屋高検の異議申し立てを認め、名古屋高裁刑事2部の裁判長として2006年12月、奥西死刑囚に対する再審開始決定を取り消す決定をしたのが門野氏だった。門野裁判長はこの決定の翌年、名古屋高裁刑事2部から東京高裁刑事4部に異動した。同法延では現在、「布川事件」「東電OL殺人事件」「狭山事件」といった、いずれも冤罪が疑われる著名事件の再審請求審や再審開始決定の異議審が軒並み審理されている。

●地道に地方都市や支部を回る
 門野博裁判長は、東京都出身の62歳。京都大学で法律を学び、1967年に22歳で司法試験に合格した。司法修習生として京都で実務修習後、裁判官に任官。1970年4月に東京地裁に判事補として着任したのを振り出しに、裁判官生活をスタートした。その後は、神戸地家裁姫路支部、千葉地家裁、秋田地家裁横手支部の各判事補を務め、1980年4月に秋田地家裁横手支部兼湯沢支部の判事に就任。さらに転勤を重ね、東京地裁、松山地家裁西条支部長、横浜家裁、新潟家地裁長岡支部、同支部長、東京高裁、浦和地家裁越谷支部長を経て、2000年4月に札幌高裁の部総括判事(いわゆる裁判長)となった。2002年6月に函館地家裁所長、2003年7月に札幌地裁所長、2005年11月に名古屋高裁の部統括判事に異動し、2007年5月から現職(東京高裁刑事4部の部総括判事)を務めている。
 
●再審請求事件は「裁判官も必死」 
門野裁判長と同期の元裁判官は、門野氏に「きわめてまじめで堅物」との印象を持っている。「毒ブドウ酒事件」の再審取り消し決定を知って「アホかと思った」と話す。「疑わしい事実が出てきたから、せっかく再審開始を決定したのに、なんでそれをひっくり返さなければならないのか。最終的に有罪になったとしても、可能な限り審理の機会を与えればいい。それが刑事裁判の方向じゃないですか」
この元裁判官は、「いつも上の方を向いて仕事をしている」と批判されることの多い裁判官の「ヒラメ体質」にも言及した。「なんぼ焦っても、せいぜいなれて高裁長官でしょう。最高裁の方ばかり見ているヒラメ裁判官がほとんど。わずかばかりの可能性にかけて最後のあがきをしているようにも思えるが、被告人が裁判官の出世の踏み台にされてはたまらない」
そして、再審と裁判官の関係についてこう解説してくれた。「冤罪事件の無実を訴え続けるのは、なかなか気力が続かないものです。それを判断する裁判官も必死で、私も再審事件を担当した時は必死で審理しました。再審開始の決定をした裁判官は、よほどの確信を持って判断したはずですよ」

●事実認定は細かく、しっかりと
一方、門野裁判長を知る同期の弁護士の一人は、「いわゆる刑事裁判官として優秀で手堅い人だ。事実認定についてもとても紳かく精査した上で、きちっとした判決を書く」と門野氏を高く評価する。ストレートで難関の司法試験に合格した門野氏は、司法修習生時代の成績も優れていたが、その後も上昇志向のようなものは見受けられなかったという。家庭判所時代は担当した少年事件の審判をめぐり、子どもの立場に立ってずいぶんと思い悩むこともあったらしい。「少年の気持ちをくんだいい決定を出していますよ」と指摘する。札幌高裁では、殺人罪に問われた被告人に無罪判決も言い渡している。そんな門野氏を知っているから、「毒ブドウ酒事件」の再審取り消し決定には戸惑いを隠せなかったと、この弁護士は話す。
「事央認定をしっかりして手堅い実務を積み重ねた中で、あのようを判断しか出せなかったのかもしれないが……。人権感覚にあふれた裁判官が、明らかに冤罪と思われた事件で有罪判決を出したことがあって、多くの弁護士たちからあの裁判官がどうしてと不思議がられた。また、市民団体で冤罪事件の再審請求や死刑廃止などの運動に二十年以上取り組んでいる女性も、「門野氏は実務的で、厳しく細かくしつかり事実認定する裁判官」という認識を持っていると語り、必ずしも否定的な評価ばかりではないことを強調する。過去に無罪判決も出している門野氏の裁判官としての姿勢に、理解を示した。

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