豊中・狭山事件研究会「ストーン・リバー」

東京高検は、全ての証拠を開示せよ!東京高裁は、事実調べを行え!

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以上の説示に関する被控訴入らの主張についてみるに,被控訴人らは,常勤館長職制度への体制変更は必要性があったものと主張する。非常勤館長職と常勤館長職とは,それぞれにメリット,デメリットがあるのは当然であり,常勤館長職体制にすることが被控訴人市の方針であったのならば,行政方針としてあり得べき選択である。しかし,現に「すてっぷ」が順調に稼働している中で被控訴人財団の目的推進に励み陣頭指揮をし館長職にあった控訴人に対して体制変更についての意見聴取がなかったのは,最終的には被控訴人市が決定すべき方針であるとはいえ,現館長の控訴人にとって尊厳を傷つけられたものとして不愉快に感じるのは当然で,控訴人が体制変更を進めるうえで排除されたものと考えたことは当然である。
控訴人は平成15年6 9 日,被控訴人財団の運営委員会で,「取扱注意」と書かれた山本第2 次試案(丙21)の交付を受けており(丙25,控訴人本人),そこ
には館長職を常勤化する内容の記載がある。しかし,この試案については控訴人は口頭で説明を受けざっと目を通した程度で山本事務局長に返却しているし,検討段階にすぎないものとしての説明があった程度であり,内容についてあらかじめ説明を受けていた事実はないし,具体的な構想として固まりつつあるものとして説明も受けていない(丙25,控訴人本人)。むしろ,前記1 の(9 2 で認定したように本郷部長が11月8 日の深更にわざわざ,館長常勤職制度移行の件を「すてっぷ」に控訴人を訪ねて伝えたことは,本郷部長としても,控訴人がこの件が具体的な計画として煮詰まってきていたことを知らされないままに推移してきたものと認識していたことを窺わせる。その際には,控訴人が本郷部長らからの説明に対して「残念である。」と述べた事実があり,控訴人は否定するがこの際「仕方ない。」と発言した可能性もある。しかし,仮にその発言がそのままあったとしても,その趣旨は,本郷部長らの説明には,被控訴人財団事務局の体制整備から始まる話題であったのであり,控訴人が来年度の更新がないことまで了解するものとして発言したと認めることはできない。本郷部長が,重大な内容なのに,あいまいでどういう趣旨か一義的に明確でない控訴人のこの発言をとらえて来年度の更新のないことを控訴人が了解したものと理解したということは,控訴人の意向を曲解したものと評価することができるところ,本郷部長がその旨被控訴人財団の理事長に報告していること(証人本郷)は,すなわち,本郷部長が,控訴人を排除しようと積極的に動いていたことを裏付けるものといわなければならない。
以上のように,常勤館長職制度への体制変更が被控訴人財団の事務局ないし被控訴人市の担当者の間で協議されていることが平成15年6 9 日までに控訴人に伝わったことは非公式にはあったかもしれないが,明確に伝わったのはようやくその年の11月8 日においてであった。管理業務に関する制度改革は別としても,館長職自ら現に就いている職の在り方の成行きが,それまでの間に,控訴人から意向聴取がされずに,しかも非公式にしか伝わらなかったことにおいて既に控訴人が不愉快な思いをしたであろうことは,推測に難くない。被控訴人らは,常勤舘長は非常勤館長の後任ではないとも主張し,体制変更後の館長職の候補者を選ぶのに控訴人の意見を聴かなかったことに違法はないとも主張する。しかし被控訴人財団の中核である「すてっぷ」の活動内容を陣頭指揮するのは館長であり,控訴人は積極的にその行動を担ってきたことは前認定のとおりである。その活動内容を,自ら継続して行うのかも含めだれが継承するのかは現職の館長の職務内容として重大関心事であり,被控訴人財団としても重大な関心事である。
山本事務局長として,控訴人の留任運動への影響を懸念して候補者リストを控訴人に知らせなかったとの趣旨の被控訴人らの主張もあるが,この、主張自体,控訴人に候補者リストを隠しておこうという意図が山本事務局長にあったことを裏付けるものといわなければならない。もちろん,本件雇用契約は年単位のものであるから,控訴人としては雇止めのリスクを覚悟すべきであったが,反面においてその実績から次年度も継続して採用されるとの職務上の期待感も有していたものといえるのであり,雇用契約が年単位であるからといって,常勤館長制度への移行期において,その移行内容及び次期館長の侯補者リストについて何らの説明,相談を受けなかったことについては,現館長の職にある者としての人格権を侵事するものであったというべきである。
 
4 共同不法行為及び損害額
上記控訴人の人格権侵害は,少なくとも被控訴人市の本郷部長と,被控訴人財団の山本事務局長の共同行為によるものということができ,被控訴人らは連帯してこれによって控訴人が被った損害の賠償義務がある。
しかして,控訴人の慰謝料としては,一部反対勢力の動きに屈して積極的に動いた上記違法行為の態様に,控訴人が「すてっぷ」の館長に雇用されるまでの経歴,専門的知見と雇用されるに至った経緯,その後の3 年余にわたる館長としての実績などを合わせて酌して,100万円をもって相当とするというべく,さらに,弁護士費用として,50 万円を被控訴人らの不法行為と因果関係のある損害として認める。
 
第4 結論
以上によると,控訴人の本訴請求は,被控訴人らに対し,上記の損害金の各自支払(不真正連帯債務)を求める限度で理由があり,これを認容すべきであるが,その余は失当として棄却すべきものであるから,これと結論を異にする原判決を本判決のとおり変更することとし,主文のとおり判決する(遅延損害金の起算日は不法行為後の日)。
 
大阪高等裁判所第11 民事部
裁判長裁判官 塩月 秀平
裁判官    菊池 徹
裁判官    鈴木 陽一郎

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