全体表示

[ リスト ]

詩による自分史  4

     

  サッカリン湯

アメリカの
進駐軍の兵士が
ヘー ベビー
とジープに乗って
手を振っている姿が
網膜に焼き付いたのは
子供心に
兵士のかっこいいスタイルに
心奪われたからだろうか

日本が戦争に負けて
ひもじい時代が
やってきたからだろうか

裸電球の下で
それしか食べるものがない
数えられるほどの
米粒しか入っていない
お粥というか米汁を
お腹いっぱい食べて
父とお腹をゆすって
がぼがぼするお腹の音を
競い合って
幸福に満たされたのは
戦争に負けたからだろうか

空腹を訴える私に
母が作ってくれた
サッカリン湯を飲むと
飢えが吹っ飛んで
幸福感を味わえたのは
戦争に負けたからだろうか

大人の人差し指ほどの
ガラス瓶に入った
米粒のかけらほどの
サッカリンの白い結晶体を
コップに入れて
お湯を注ぐだけで
サッカリン湯は出来上がった

甘くて
舌にちょっぴり苦みが残る
あの甘さに負けて
親の目を盗んで
サッカリン湯を
こっそり自分で作って
飲んでいたのを
親は知っていて
私を咎めなかったのは
戦争に負けたからだろうか

あれから60数年の
歳月が流れ
2008年3月で
私は満67歳になったが
あの時の兵士のかっこよさと
サッカリン湯の甘さを
思い出すたびに
あの時代に帰りたくなるのは
日本が平和になって
私が老いて
心が貧しくなったからだろうか

開く トラックバック(3)


よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

CMで話題のふるさと納税サイトさとふる
毎日お礼品ランキング更新中!
2019年のふるさと納税は≪12/31まで≫

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事