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自分がよく通った大船の「寿司居酒屋 大寿」は、今日をもって閉店となる。
思い起こせば、初めての訪問は2012年の5月。
自分がブログを始めたのがその半年前と言うことになるわけだが、このブログの中に散りばめられた「大寿」に関する記事は、およそ90件弱。
最近になって「大船 寿司居酒屋 大寿」などと言う書庫も作った。
書庫にしたのは、恐らくは書き足す件数は限られるとわかったからで、今こうして書いている記事が書庫に入れる最後のものとなることは、なんとも寂しい。
自分が「大寿」を知ったのは、あるブロガーさんの記事による。
鎌倉辺りにお住いの主婦の方の記事だったのだが、大船に好い寿司屋ができて、そこのランチがお得で、美味しいと書かれていた。
大船と言う土地は、寿司の激戦区ではないが、需要もたいしてないのに回転寿司を含めて店の数だけはあった。
そこに新しく寿司屋を出すと言うのは大変なことだな、そう思った。
ある晩、自分は「大寿」を覗いてみたくなって、大船の駅に降り立った。
この時の第一印象が好く、以降は通うことになる。
「大寿」は小さな店で、決して高くはないが、たまに珍しいものが入って愉しませてくれた。
穴子の稚魚である「のれそれ」があったり、初夏の頃には生のとり貝、秋口ともなると新子、びっくりするほどに旨い海鞘。
カワハギの肝などは、大盤振る舞いのようにたっぷりと出してくれ、シーズン中は人の一生分を食べきってしまうようだった。
派手な演出は何もない、朴訥として旨いものを仕入れ、それを飾らずに出す、それが「大寿」と言う店だった。
自分のPCに残った写真は1,043枚。
よくも食べたものよな、そう思うわけだが、いよいよ最後の記事を書かなければならなくなってしまったな。
一昨日のことだ。
自分は、この日を最後と決めていた。
本来は、もっと早く、店が混む前にそれまで通りの姿を記憶に留めるために最後の訪問にしようと思っていたのだが、今日が最後と思ってもどうも名残惜しい、だからまた行く。
これの繰り返しだった。
こちらでは何度かご一緒をさせていただいた「自走式移動胃袋」のとも2様と店を訪ねる。
注文は、いつも通りかな。
旨そうなところを見繕って、いただいて行くことにしよう。
先に到着をした自分はビールからスタート。
そう、このジョッキでいただく「一番搾り」は旨いのだ。
それも、これが最後か。
ぐぐっと呑らせていただく。
この晩、「一番搾り」は2杯呑った。
とも2様の到着前に酔ってしまっては申し訳がないので、ゆっくりとね。
当夜の通し、右奥から時計回りに魚の血合い、鰤か何かの漬け、ホタルイカに山葵マヨを添えたもの、メカブだな。
ふふふ、この山葵マヨは好いのですよ。
珍しいものなのかどうかは知らないが、山葵とマヨを混ぜた単純なものらしい。
この山葵マヨでホタルイカをいただくと、いよいよ「大寿に来た」と言う気持ちになる。
旨いね。
ホタルイカの沖漬け。
そう言えば、昨年は生のホタルイカを一度も食べることができなかった。
今年は沖漬けから始まったが、いわゆる刺身を食べるチャンスがあるだろうか。
昨年のように、全く店頭に出なかったと言うことになると、今年も食べ損ないそうだな。
ホタルイカは肝の部分が旨いと思っている。
沖漬けは肝の旨味が強調されて好いね。
濃厚だな。
小さな器に随分と入れてくれた。
口に運び、とろりとろりといただいて行く。
ふふふ、芯が濃厚なのね。
肝の風味を愉しみながら、大事にいただいて行く。
雲丹があると仰るので、いただいてみる。
こうして出された時、まだ動いていた。
とげがむにゃむにゃと動くのを眺めながらいただくのは決して気分が好いものではないが、新鮮であることには間違いがない。
へえ、結構身が詰まっているではないか。
すくって、いただいてみよう。
時期が早いのかどうかは知らないが、昨年の今頃に比べると身があるように思う。
パクリといただき、舌でねっとりと愉しませていただく。
雲丹など滅多にいただくこともないのだが、たまにこうしていただくと愉しめますね。
酒に替えるかな。
いつもの「月の輪」が切れていた。
秋田の酒「雪の茅舎」と言うものをいただいてみる。
なるほど、これは好い。
口当たりが柔らかいね。
今まで呑まなかったことを、ちょっと後悔するな。
あまりに旨いので、何杯かいただいてしまった。
いつでもメニューにあって、ずっと気になっていた「鯵のなめろう」をいただいてみる。
合わせた味噌の塩梅が好いね。
なるほどねぇ、鯵の鮮度も好いから、格別に旨い。
酒が進みますなぁ。
鯵はこれからが旬だから、もっとこうしていただいてみたかったが。
貝を盛り合わせていただく。
手前から北寄、ツブ、赤貝。
「大寿」に通い始めた頃、よくこうして貝を盛り合わせていただいたものだ。
特に北寄は湯がくと見た目はきれいになるが、やはり旨味が抜けるように思う。
活きでいただけば、身が持つ鮮烈な甘みを愉しむことができる。
旨いねぇ、酒が進んで仕方がない。
実は、この貝が出たところで、時間はすでに20時半を回った。
この日、最後の「大寿」を愉しむためにたっぷりと眠ってきたから、タイマーの方は心配がなかったが。
それでも、そろそろ握っていただく頃合いだな。
にぎりを2貫ずつの盛り合わせで。
手前から金目、鯖、漬けにした鰤、そして生げそ。
自分にとっては毎度にいただくものばかりだが。
金目。
この冬の金目は格別に旨いように思っている。
深海魚と言うわけでもないが、深いところにいる魚だから旬などはないのだろうと思っていたが、やはり脂の乗りについては季節感が出るそうだ。
すると今が一番に好いのかな。
特に皮目に乗る脂が旨いね。
最近では「大寿」と言えば鯖だ、そう言う気持ちになってきた。
自分が通い始めた頃から鯖は旨かったが、知らぬ内にどんどんと味が好くなった。
初めの頃は豊後鯖と、普通の鯖を揃えていたように思ったが、最近では豊後鯖のみを扱っているように思う。
能書きはともかくとして、相も変わらず姿からしてトロトロだな。
艶めかしく輝く鯖に醤油をちょんと付けて口へ運ぶ。
おお、おお、とろけますなぁ。
たまらんですなぁ。
これも食べ納めかい?
冗談じゃないよな。
鰤は漬けにしてしまったと聞いた。
見ると漬けと言うよりは、たたきになっているのかな。
なるほど、脂が少し足りなかったのかもしれないね。
ま、漬けにして期待とはちがう旨さを引き出した、そう言うところだろうか。
そして生げそ。
他の寿司屋ではなかなか出さない生のげそを、最後まで出してくれた。
コリコリとして、旨い。
ひとつは柚子胡椒で、今ひとつは摺り生姜で、これは初めからずっと変わらなかった大将の配慮だ。
生げそについて言えば、自分がこの数年で食べた店では、「大寿」がぴか一だったね。
そして、いよいよこの寿司をもって、自分は「大寿」を〆ることになったと言えば、ちょいと大袈裟だろうか。
最後は、恒例の大人のデザート、炙り煮穴子をいただく。
柔らかく炊き上げた穴子を、更に炙って香ばしさを引き出した。
振り返れば、自分がこの寿司を初めていただいたのは2012年12月。
以来、どれだけ食べたことか。
今後に自分が訪ねるだろう寿司屋で、炙り煮穴子をいただくなどと言うことはないだろうと思っている。
ひとつの店を失うと言うことは、そこでの愉しみをセットで失うことであり、やるせないものだ。
と言うわけで、この晩をもって「大寿」での愉しみは終了。
今日は早い時間から店を開けて、最後まで握り続けるらしい。
タネの続く限り、飯を炊き、客の注文に応えるのだろう。
大将、そしてご家族の今後の健康、発展を祈るばかり。
自分のような薄給サラリーマンに旨い寿司を提供し続けてくれた「大寿」に感謝の気持ちを込めて、この記事を閉じさせていただく。
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