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こころのうた

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チェットベイカーは、夜明け前の音楽だと思う。

少しずつ白んでくる。

横にはうっすらと白猫。

こんな時には、60年代アートロックはお断りです。

彼の底なし沼のような声に身を委ね、ただただ眠りたい。


★  ★  ★


彼の「中性的」と言われるヴォーカルは、ホーギー・カーマイケルから影響を受けたと言われている。

言えなくもないが、こちらは単なる小粋なスターの歌。

チェットの「うた」は、明るい曲でさえ、涯てしない空虚のささやき。

私は彼の持つ、あまりにも大きく暗い影が、こんな虚無的世界を生み出したのだと思う。

それはまるで「モンパルナスの灯」でボロボロになって行く、ジェラール・フィリップの様。

少しずつ、ゆっくりと壊れて行く美。


★  ★  ★


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Chet Baker / Vocal Collection

高校生の時に、西武のレコード屋で凄い3枚組のCDを買った。

当時は法律の関係で著作権もゆるゆる。

こんな素晴らしいコンピレーションが色々あった。

今思えば、コニー・ボズウェルのCDとか北海道の田舎で普通に買えたのだから、80年代セゾン文化って革命的だった。

これは衝撃のシングスから、60年代にゆっくり駄目になってゆくまでの、全ての「うた」が詰め込まれた宝物の様な3枚組である。

50年代の伊太利亜のライヴなど、かなり法スレスレな音源も入っていて、製作者の情熱を凄く感じる。

今では、シングスはオリジナルマスターが発見され、かなりいい音でリマスターされてしまった。

でも、ちょっとこもった感じのこちらの方が、彼の音世界の雰囲気に合っている様な気がする。

同じ理由で「ジョー・パス入り」シングスもよく聴く。

いかにも作りものっぽい音作りが、かえってアシッド感を増している。


★  ★  ★


チェットを初めて知ったのは、私の世代だとありがちだが、コステロの「Punch The Clock」だった。

その時私の中では、「コステロのオヤジの知り合いで参加したジャズのヒト」という認識だった。

それから数年後、確か初来日の時だったと思う。

FM Fanだったかスゥイングジャーナルだったかの、インタビュー記事をたまたま見かけた。

最初に、ページいっぱいに彼の写真が載っていたのだが。

ガリガリに痩せ細った、朽ち果てた枯れ木の様な容姿。

その中にぎょろぎょろと光る目。

しかし力はない。

死神がゆっくりこちらを見ている。

最後の試合の力石の様な、そんな彼の顔に言葉を失った。


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そして彼の音が聴きたくなり、この3枚組CDを買った。


★  ★  ★


それから1年くらいたっただろうか、私は北の都札幌に暮らしていた。

北海道新聞を見ていると、札幌厚生年金会館でのライヴ広告が載っていた。

「彼に本当に会える」とこの上なく喜んだのだが、その時は何故か観に行かなかった。

あまり覚えてないが、多分試験とか、そんな理由だった気がする。

あの頃チェットは見直されてかなり人気があったので、また来年も来るだろうと諦め、後ろ髪引かれながら見送ったのだった。

それから1月ぐらい経ってFMで東京のライヴが放送されたので、メタルテープでエアチェックして聴いていた。

そして1年が過ぎ、そろそろ来るかと思ってた矢先、同じ北海道新聞の記事で。。



「彼はホテルの窓から落ちて亡くなりました。」



ああ。。これで彼を観ることは永遠にできなくなったのか。。

とても、とても悲しかった。

その観ることができなかった最後の姿も、今では簡単に見ることができる。

あれから20年経ってしまった。


★  ★  ★


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Gerry Mulligan & Chet Baker / Carnegie Hall Concert

これは74年にカムバックした時のカーネギーホールでのライヴ。

なんかクラプトンのレインボーコンサートの様。

かつての朋友ジェリー・マリガンがピート役。

色々あって、久々の晴れ舞台である。

舞い上がってしまうプレイに胸が熱くなる。

最後の「There will Never be Another You」の嬉しそうなうたといったら。


★  ★  ★


彼のうたは、アシッド・フォークの先カンブリア期であったと思う。

最近そのことに気がついた。

それは、死にそうなスキップ・スペンスや壊れたシド・バレットの様な、わかりやすい虚無感ではない。

生きながら地獄の様な人生を送ってきた、その果て。

ぼろぼろに朽ち果ててしまった彼から発せられるのは、なんと美しい歌。

ギャングにペンチで抜かれてしまった歯の隙間から聞こえてくるささやき。

あの当時は辛くて見ることができなかった晩年の彼に、20年経った今、正面から向き合ってみようと思った。





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