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私的映画館第七回は、7にちなんで007シリーズの傑作、『ロシアより愛をこめて』です
『ロシアより愛をこめて』(原題 From Russia with Love) 1963年イギリス映画/監督:テレンス・ヤング/配給:ユナイテッド・アーティスツ
キャスト
ジェームズ・ボンド(007):ショーン・コネリー
タチアナ・ロマロヴァ:ダニエラ・ビアンキ
ローザ・クレップス:ロッテ・レーニャ
レッド・グラント:ロバート・ショウ
ケリム・ベイ:ペドロ・アルメンダリス
ケリムの愛人:ナジャ・ジレン
マイルズ・メッサヴィー提督(M):バーナード・リー
ブースロイド技術少佐(Q):デスモンド・リュウェリン
ミス.マニーペニー:ロイス・マクスウェル
モーゼニー:ウォルター・ゴーデ
クロスティーン:ウラデク・シーバル
シルビア・トレンチ:ユーニス・ゲイソン
ゾラ:マルティーヌ・ベズウィック
車掌:ジョージ・パステル
トルコ支局員:ネヴィル・ジェイソン
ブロフェルド:アンソニー・ドーソン
ストーリー
国際的秘密結社スペクターの首脳部は英情報部MI6のジェームズ・ボンドへの復讐のため、またソ連情報部の最新暗号解読機を手に入れるため、ソ連情報部の殺人機関スメルシュの課長だったローザ・クレップスが秘かにスペクターに転向したのを聞いて、その真相を知らぬソ連の下級職を利用、実行する手筈が整った。英情報部長Mのもとにトルコ支局長ケリム・ベイから、ロマノヴァというソ連情報部の娘がボンドの資料を見て一目惚れしたので彼に会わせてくれ、もしロンドンに連れて逃げてくれたらソ連の暗号解読機を盗み出す手引きをするといって来たが、どうかという電報を受け、ボンドも話がうますぎるとは思ったが、罠の匂いを感じつつイスタンブールへ飛んだ。ケリムの案内でイスタンブールを廻っている際、ケリムと自分が何者かに狙われていることがわかり、二人はMI6トルコ支局と対立しているソビエトのスパイを新装備のアーマライト・AR-7で抹殺する。
その夜、ボンドのホテルにロマノヴァが現われた。しかし、その夜のラブシーンが密かに撮影されていた。ボンドにしてやられてばかりのソ連情報部が、タチアナを半ば出し抜く形で体を張らせ、ボンドを社会的に抹殺しようとしていたのだ。そして翌日、解読機は呆気ないばかりに盗み出せた。彼女は飛行機での脱出を拒み、急行列車を望んだ。ケリムが護衛を買ってでて、一同はオリエント急行に乗り込み西ヨーロッパを目指す。だがその夜、ケリムはソビエト情報部を装ったスペクターの刺客に襲われて死んだ。ロマノヴァに聞いてもそのことは何も知らなかった。次の駅でロンドンから派遣された補助要員が乗り込んだ。彼はロマノヴァを睡眠薬で眠らせ、ボンドに襲いかかった。グラントの正体はは、スペクターの第一級暗殺者だったのだ。だが、金への汚さが災いし、一瞬の隙を突いたボンドの勝利に終った。しばらくして列車が急停車した。グラント出迎えのトラックが線路上にわざと止っていたのだ。ボンドはロマノヴァを連れてそのトラックを奪い、ヘリコプターの追っ手を撃墜し、快速艇を奪ってベニスへ。
脱出に成功し、ホテルで休んでいると部屋へ入って来た掃除婦をみてロマノヴァは驚く。女中がクレッブだったのだ。彼女はボンドに拳銃をつきつけた。だが、ロマノヴァはクレップスの言うことを聞くふりをして銃を振り落とし、彼女を射殺した。
ボンドはロマロヴァと共にゴンドラに乗り、グラントから奪った情事のフィルムを運河に捨てるのであった。
Wild Heartの感想
ショーン・コネリーがジェームズ・ボンドを演じた作品で、どれが一番好きだったかと訊かれれば、間違いなくこの『ロシアより愛をこめて』を選びます。もともと僕はフレミングの原作版から入ったので、どうもコネリーの後期作品やロジャー・ムーアが出演した007が好きになれませんでした。映画としては面白いのですが、007として見ると少しどうかなと思ってしまうような感じで。その点で言うと、シリーズで一番好きなのは『リビング・デイライツ』です。しかしながら映画としての面白さで言うとこの『ロシアより愛をこめて』も甲乙つけがたいのです(笑)。確かにボンドのイメージはティモシー・ダルトンが一番合っていると思います。ただこちらのボンドはショーン・コネリーにしかない独特の持ち味があって好きです。たとえばオリエント急行内でレッドが自分は快楽殺人者だと告げるシーンでの「どこの精神病院からスカウトされた」のセリフは、コネリーボンドにしか言えない台詞でしょう。
敵側のボンド抹殺計画も妙にリアルで、東側の女スパイとの情事を撮影し社会的に抹殺したところで、実際に手を下すといった作戦は非常に生々しく感じられました。
前置きはさておき、この映画は007シリーズの中でもかなりフレミングの原作に忠実なのが一番のポイントです。それゆえ僕があまり好きでない「秘密道具に頼るボンド」が出てきません。この作品で出てきたのは仕掛けつきのアタッシェケース(一定の手順で明けないと催涙ガスが噴き出す)とカメラ型のレコーダーのみです。どちらもかなり現実的な作りになっていて、実在してもおかしくないような代物です。そのためボンドの体を張った本格的なアクションを楽しむことができます。特にユーゴスラビアでのヘリとの追撃戦は迫力満点で、同じようなボンドを見るには20年ほどお預けしなければなりません。そしてオリエント急行でのグラントとの決闘。意外にも金に汚いグラントに、ケースの中に金貨があると話(一様事実)催涙ガスを噴射させるまでの進め方が巧みでとてもスリリングです。まぁその後の殺陣があまりうまいとは言い難いのですが(笑)。
(ヒロインのダニエラ・ビアンキとヴィランのロバート・ショウ)
キャスティングも魅了的で、純朴かつちょっと天然なヒロインのタチアナ・ロマノヴァを演じるイタリア出身のダニエラ・ビアンキはとても美しく僕が最も好きなボンドガールでもあります。ただ英語が苦手だったようでその後女優としては大成しなかったそうですが。トルコ支局長のケリム・ベイを演じたペドロ・アルメンダリスは父親的なキャラクターで、皮肉屋のボンドと体育会系のケリムとのコンビがとても印象的です。余談ですがボンドが(に)好感を持つキャラクターは、本作のケリムや『女王陛下の007』のドラコ、『007は二度死ぬ』のタイガー田中といった父親的キャラクターが多いのが特徴です(特に原作)。彼はこの出演直後に癌を苦に自殺してしまったそうです。
そしてインパクトの強い悪役の方々。殺人狂で人殺しをするためにソ連に亡命したイギリス人との設定を持った怪人物を、ロバート・ショウが見事に演じています。『スティング』や『サブウェイ・パニック』での印象も手伝って、ロバート・ショウ先の読めない悪役がぴったりだと思います。ウラデク・シーバル演じるクロスティーンも、いかにも神経質な頭脳派といった感じでいい味をだしていました。そしてスペクターNo.3のローザ・クレップスの醜悪さを見事に演じきったロッテ・レーニャの演技力に脱帽です。
そしてオープニングムービーの完成度はシリーズ一と言って過言ではないでしょう。ベリーダンスを踊る女性の体にクレジットを投影するアイディアがすばらしいことなんの。
古典スパイ物の渋みと、007流のテンポの良さとユーモアが見事にマッチした傑作でした。
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