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某月某日

歳暮を頼みに行く

大層な盛況振りで品定めこそどうにかできたが

発注の受付迄が100人待ちとあった

年末商戦大本命の歳暮となれば百貨店も本気で集客をしたようで

広くて四角いスペースの一辺をずらりと申込カウンターとしているが

対応しきれるものではなかったようだ

無論毎年のことなので店も常連客もこんなもんさと諦めてもいるらしい

俺もまたその一人

インターネットやメールオーダーでチョイチョイと注文も出来るのだが

師匠も坊主も走って廻る師走である

ドサンピンの俺ごときがせめてもの礼を尽くそうと脚を運ぶのは至極当然のことである



某月某日

チャッカブーツを購入する

チャッカブーツだけで今年になって3足目である

それぞれに会社は違うが

カーフレザーとベロアのものを秋迄に手に入れていたが

旅行や普段履きにとても重宝していたこともあり

仕事用にともう一足所望していたのだ

店に入り店員にその旨を伝え幾つかを出してもらう

アッパーはスウェードかカーフレザーが良いと思っていたのだが

キップレザーのものを履いてみると

その柔らかさがヨイと気に入りコレにすると伝える

色は黒でクレープソールのものである

黒い革靴はスウェードのモカシンブーツ以来だったので

メンテナンス用のクリームもついでにいただいておいた

自宅に帰り早速靴をおろしてみる

久しぶりの黒い革靴であるがゆえ

つま先の皺の加減を見たり合わせる服を試すのだ

着る服を想定して買えよと思うのだが時は常に前にしか進まない

最近では何故だかグレーや紺のスーツを着る機会が少なくなり

もっぱらベージュや茶のコットンスーツばかりを着ているが

黒のチャッカとの相性も悪くはない

解ってはいたがひとまず納得し

クリームを塗り込んでおく

おろした靴のほかのものもブラシをかけたりミンクオイルを塗り込む

チャッカブーツとともに特に今シーズンのお気に入りでもある

ウォータープルーフの6インチブーツにはひときわ手を入れておく




某月某日

仕事から帰る

履きおろしたブーツにクリームを塗り込む

メンテナンスは何ごとも最初が肝心

クリームは靴全面に伸ばしつま先と踵は丹念に磨くことが肝要である

靴を磨くのは釣り竿やリールの手入れに似ている

言うまでもなく釣り具は道具であり

靴もまたしかり

手足を振るう道具であるがゆえ

常にピカピカでなければならず

それは趣味嗜好であればあるほどその傾向は強くなるのだ

手入れは状態の維持とともにモチベーションの高揚にも一役買っており

手をかける行為は所有者の特権と言い換えても良い

何より家に居ながら趣味嗜好に没入できるのがこのような道具の手入れの時間であり

それを楽しまずして本旨を語ることは出来ない

仕事であれ遊びであれモチベーションが高くなければ楽しめぬもの

ともに成果を追求こそすれ求めてはいけないものだ

ものごとにはすべからく過程が存在し仕事も遊びもそうである

そしてそれこそが心血もアドレナリンも建前も注ぎ放たれる場所である

過程を楽しむことは即ち準備の度合いであり

準備や手入れは既に過程であるということだ

だから道具の手入れは男の始末のありようというわけだ

歳暮も手配でき

手帳も準備が済んだ

こうしていろんなものが来年の為に準備されてゆく

長年愛用するものの中に新しいものがひとつふたつ入れ替え追加されるのだ

今年がどうであったかは時をおいて解ることと振り返るまでもなく

折り目はきちんと折り曲げながら今日も明日も変わらぬ姿勢で居られることが望ましい

そしてそれが如何に難しいことであるかをまた思い知らされる毎日を過ごすことになっている

やり残したことは沢山あるが準備ができぬことがらに立ち向かうのは本筋ではない

準備が整ったものから順番にボチボチと進める姿勢に変わりなくやりたいものだ

靴を磨きつそう思うのだ

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