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前回の続き
前田慶次
「武田家にとっては、織田が勝つも負けるもどちらでもよきことはわかっておりまする。いずれにせよ。今川が駿府を留守にすれば武田のものとすることはたやすきこと。今川が万が一、負ければ駿府は自動的に武田家のもの。此度の戦は高みの見物でござる。されど、武田家とならぶ戦国最強の上杉がいる。つまり最大の難敵!だが上杉も本願寺で抑えることができる。真の最強の戦国武将は武田信玄殿ということでございまするな」
山本勘助
「ところがそうとも言えぬ不安もありまする。強き武将は弱い面もなければ戦には勝てませぬ。つまり危機の対策と管理でありまする。その加減がうまいのが、おやかた様なのでありまする。熱田の神人が唐の危機から日本を救ったことを、おやかた様は知っておりました。諏訪大社の神人が鎌倉北条氏を救い、熱田が執権北条をかくまったことも諏訪を通じて知っておりまする。熱田は織田の守護神ではなきかと?此度は熱田を探ることと焼き討ちによりかく乱を命じられましたが、この結果となりました。
政子を側室とすることを、おやかた様はお決めになられた。されど、某が、おやかた様にお願いし尾張への間諜となることを説得した」
慶次
「勘助殿と山本流とは親戚関係はないということでありますが?」
勘助
「某は今川から武田に来ましたゆえ同じ名前でも血のつながりはありませぬ」
慶次
「もしかして、貴殿は政子殿を二度と武田に帰ってこないように逃がしたのではありませぬか?信玄公は一度、決めたことは変えることはなきかと?側室を断ったことについては貴殿がかなりの説得をしたのではござらぬか?」
勘助
「****」黙っている。
新助
「政子様が熱田神法に出会い、技を習得すれば相当な戦場格闘法になるとでございましょう。もしかして、勘助様は、山本流の技の進化のために政子様を尾張に送られた?」
政子
「勘助様は私が子供の頃からかわいがってくださいました。術の指導も実に厳しく、ご丁寧にご指導いただきました」
慶次
「ではでは、今、天下の名参謀、山本勘助殿をお迎えしたわけである。馬に酒を乗せてあるので取ってくる。社務所の酒は焼けてしもうたゆえ!ははは!
というので、慶次のお酌で酒盛りが始まった。
慶次
「毒は入っておりませぬゆえ、ご安心を!俺が毒見をいたしましょうか?」
とにこにこしている。
勘助
「貴殿は不思議な方でございまするな。相手に安心感を与える、涼やかさと明るさを兼ね備えた真の武人でござる。毒見は無用でござる」
ということで酒宴が始まった。
慶次
「ほめすぎでござるぞ!はっはっは〜」
勘助
「政子の才能を伸ばしてやりたいというのは本音でござる。ところで政子。どなたかと試おうたのであろう?それでそなたが負けた!ゆえに織田ではなく熱田に従うこととしたのであろう」
政子
「そのとおりでございます。この前田様でございます」
慶次
「申し遅れました。前田慶次朗利益でございます」と礼!
新助
「毛利新助でございます」と礼!
慶次
「実は試おうたのでございまするが、間一髪で政子殿の飛び後ろ回転蹴りをかわしました。当たっていれば某の脳天は砕け散っていたことでございましょう。その後の二段三段蹴りにはまいりました。これまた紙一重でかわせました」
新助
「なんと、二段三段の蹴りでございますか」
慶次
「そうじゃ。勘助殿のご指導の技でございまするか」
勘助
「回転蹴りは山本流。確かに三段蹴りは某が教えました」
このとき、影武者が気がついた。新助に縄をほどかれた。
慶次
「影武者殿 こちらで一献!ささ、ご遠慮なく」
影武者
「背中と額が痛うござる。年は取りたきなきものよ」とふらふらと立ち上がり、どかっと座った。
新助
「それにしてもよく似ておられまするな〜 」と酒を注いだ。
影武者
「かたじけない。いただきまする」と言い、少し酒を飲んだ。
勘助
「同じように足まで無くして、兄弟でも親戚縁者でもござらぬが、前世の双子やもしれませぬな。はははっは〜」
慶次
「世は織田の負けを確実視しておりまする。されど、もし勝ったならば、その時は信玄殿との戦を楽しみにしておりまする。いかがかのう?今宵で織田と武田の戦は休戦といたしては?」
勘助
「此度は某が熱田神法を見てみたいがゆえまかりこした面もありまする。慶次殿に従いましょう。今、戦っても我らでは勝てませぬ」
新助
「いや、今、戦えば相打ち、もしくはこちらの負けやもしれせぬ。それくらいは某にもわかりまする。だが、我らの熱田神法は宗家とは違いまする。比較にはなりませぬ。
熱田神法を完全に行ずるには血も必要かと。我らは外様でございまする。まだ二割くらいの技でございまする」
慶次
「二割!そのとおりかもしれぬ。話はかわりもうすが、甲斐は美しき国。富士のミヤマは美しいそうでございまするな〜」
勘助
「さよう!この世のものとは思えぬほどの美しさでござる。今も雪をいただいておりまする」
慶次
「こちらからも見えることもございまするが、遥か遠方でござる。一度、近くで見てみたいものじゃ」
新助
「同感!」
勘助
「貴殿らが堂々と来れれば、おやかた様はお会いになられる度量をお持ちでございます。いつか甲斐に来てくだされ。もしくは間諜ででも。」
慶次
「ではそうするか!新助殿!その前に我らが熱田神法 あと一割の実力向上をしてからにしよう。でなくば勘助殿に勝てるとは思わぬ」
新助
「同感でござる」
勘助
「お二人ともお若いのに実に謙虚じゃ!もし古府中に来られれば、おやかた様はお二人に「我の家臣となれ」と言われるでございましょう。
影武者
「そうでございます。おやかた様なら言われるでしょう」と深くうなづき納得。
慶次
「ははは〜 それは光栄でござるな」
勘助
「本音を申すと、某は上杉との戦に全力を尽くさねばなりませぬ。今川が尾張に来る前に早く甲斐に帰り上杉対策を練らねばなりませぬ。熱田神法を垣間見たことは大変意義があることでございます。お二人は、天下を動かす武将となられると思いまする」
慶次
「お褒めにあずかり恐悦至極!ところで信玄公を中心とする武田軍は鬼神の強さとか」
勘助
「我ながら強いと確信でござる。対抗できるのは上杉くらいでございましょう。今の織田軍ではまだ勝てませぬ。だが、熱田が守護神の織田軍!何が起きるかわかなぬのが戦であり結果でござる。少数が大軍勢に勝つこともございます。今川は負けることもありえまする。実は、おやかた様は今川が負けてほしいのでござる」
慶次
「なんと!」
新助
「なんと!驚きでございまする」
政子
「なんと!姻戚関係も関係なしと?」
勘助
「現在の武田の強敵は、最強が上杉か今川、次が北条。今川が消えれば天下への道は強敵がひとつ減るということじゃ。世は確実に今川が勝つと思うておるが、おやかた様のご命令は織田軍が有利になるような尾張の撹乱を我らに命じられたのでござる」
慶次
「むむむ〜 今川が負け、次は上杉を滅ぼせば武田家は日本最強となる。信玄公は姻戚関係を利用して本願寺を動かせる。これで上杉をけん制できる。北条は敵ではない」と腕を組んでいる。
勘助
「されど、尾張に来て我らの秘密の策は必要なきものということがわかったのでござる。実は義元公が夜、鬼のように強い女子に襲われたことは調べがついておる。それに此度の貴殿らとの試合においてそれを確信いたしました。鳴海城、大高城、沓掛城が謎の襲撃を受けておる。襲撃者の正体を我らが今川に言わぬことにより織田軍の必勝を応援いたしまする。必ず勝ってくだされ。」
慶次はひとつの仮説を考えていた。後述する。
慶次
「これはこれはありがたき応援のお言葉!感謝の極みでござる」
新助
「ありがとうございまする」
勘助
「今川進軍の道を調べました。義元は未だ、熱田神法のことは知らぬはずじゃ。ゆえに今川が通る道は熱田家よりは距離がある。ここで進言させていただくが、熱田家は今川と戦わないという虚偽を用い、本家を守るということで今川の攻撃を避けるのも手じゃ。すでにその手を打ってあるならばよい!もし図星なら某が今川に密告することはありえぬ。某は忍びであるが武士である。もしお疑いなら、即刻首をお切りくだされ」
そこまで言う、勘助は初めてなので政子は驚いている。
勘助は刀をはずし、手裏剣数個もクナイも全て差し出したのである。そして正座し目を瞑った。
影武者
「おやかたの心は本当でござる。なにとぞお解りくだされ」
慶次
「勘助殿
そこまでされずとも!よくわかりましたゆえ、足を崩してくだされ」
政子が涙を流している。なぜそこまで?
勘助
「政子 手裏剣は四個熱田家で使ってもらえ。実はのう、上杉との戦は熾烈を極める。
いつ私の命も消えるやもしれぬ。そなたは武田忍軍では最高度の術を習得している。
此度、そなたの術がさらなる向上が許されるならばよきことと存ずる。おやかた様には言わぬ。修練に励め。
武田と上杉の戦はのう。上杉謙信を暗殺せねば勝てぬ戦やもしれぬ。それゆ最高の弟子であるそなたに別れを言いにきたのじゃ。そなたの姉を側室にしたおやかた様は憎くかろう。されど、甲斐を離れ別の道を歩むことでそなたの術を磨いてほしい」
慶次
「勘助殿のお心!しかと受けとりました。固き話でござるが、我らがおやかた様の信長殿!実は勤皇でござる。それゆえに我らが熱田神法が永き戦の世の終焉を構築する術とならんことをご理解されておる。弱小の織田ではござるが、某は負け戦も好きでござる。されど死中に活!勘助殿のご助言をいただきましたゆえ!勝ちまする」
新助
「実は勘助様 信長様には熱田家にはなき必勝術がございます。何だと思われまするか?」
勘助
「難しきご質問でござる」
新助
「その術は慶次様ももっておられます」
勘助
「強力でござるか?されど信長公は細身じゃ」
慶次
「なんだそれは、俺も知らぬぞ」と呆れている。
新助
「ならば、言いまする。荒唐無稽、理解不能の無茶、などなど!つまり傾奇者の心でござる。無茶の中の余裕!それが遊びでござる。もう情報が行っておると思われまするが、鳴海城の郎党の首と胴体を一刀両断!慶次殿にとっては遊びでもござろうが、はたから見て、戦といえども遊び心を余裕が必要かと存じまする。それができるのが信長
様と慶次殿のみ。傾奇者!もしかして天下を取るやも」
政子
「私が慶次様に負けたとき、その余裕を感じました。されど大きな目的がある。それは民の安寧を約束する太平の世の顕現でござります。確かに余裕がなくては大願成就はできませぬ。誰にもない余裕と大願を慶次様から教えていただきました」
慶次
「褒めすぎなのか俺が変人なのかわからぬ賞賛!わはっはは〜」
影武者
「新しき世の到来を感じまするな〜 おやかた」
この物語はフィクションです。
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戦国挌闘家ですか・・・
山本勘助は武田信玄の影の功労者謎の軍師ですね。
ポチ★
2013/8/6(火) 午前 6:20 [ - ]
「強き武将は弱い面もなければ戦には勝てませぬ」、至言ですねぇ。
2013/8/12(月) 午前 9:12
Jさま なぞが多いですが忍者かも?ポチ感謝です。
2013/9/9(月) 午前 0:13 [ 北条実政 ]
Mineさま 強すぎると慎重さがなくなるということですね〜
2013/9/9(月) 午前 0:17 [ 北条実政 ]