新説桶狭間の合戦

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前回の続き
 
鳴海城にて。
屈強の武将 城主の岡部元信は郎党と二人で会談をしていた。
時刻は早朝である。郎党は忍者であろう。
 
岡部
「いよいよ、今川軍が出陣じゃ。尾張沓掛までは容易に進軍が可能であろう。その後、大高城を目指す!されど、大高への進軍は松平元康殿が兵糧を運ぶことができたらという条件じゃ。だが裏をかく場合もある。織田は大高道を通るものだと思っておるゆえ、鳴海道への変更もありえる。大高道を通るほうが湾岸に近いゆえ見晴らしもよく進軍はしやすい。鳴海までは小高い山と森が多いゆえ織田の奇襲が心配じゃ。織田は奇襲をするために鳴海道にいろいろ細工をするであろうが」
 
郎党
「つまり、鳴海道への変更は松平殿には直前まで内密ということでござりまするな」
 
岡部
「さよう!時と場合により変更する。織田の先陣は熱田大宮司隊であろう。乱波に探らせ熱田隊が出陣したら乱波は我が軍に情報を寄せるのじゃ。桶狭間に向かう鳴海道にて我が軍が大宮司を討ち取るのじゃ」
 
郎党
「それはよき策!熱田が壊滅すれば織田軍も壊滅!」
 
岡部
「よもや我が軍が負けるとは思えぬが、織田の最終兵器が心配じゃ。今宵も襲撃を避けるために護衛兵は城内に入れたが!しかし織田の大男の槍は凄まじき強力!
 
郎党が天井に手裏剣を投げた!そうしたら刺さった手裏剣が跳ね返り下の落ちたのである。
郎党
「くせもの!であえ〜」と大声で叫んだので城内から多くの郎党が二人の会談する部屋に駆けつけた。
 
岡部
「すでに城外に逃げておろう。ここで敵の策に乗せられてはならぬ。以前のようになるであろう」と言い会談していた郎党に!
「神谷!そなたならよもや殺されることはありえぬ。城外に逃げだした織田の間者を追ってくれ!皆はまずは城を守れ!
そうじゃ、長谷!そなたなら神谷の補佐にうってつけじゃ。神谷を補佐し助けよ!」
との岡部城主の命令で、二人は織田であろう間者を追うために城外に飛び出した。
 
なんと、二人の忍者が立っていた。ひとりは以前、槍で多くの鳴海城郎党を殺した大男の忍者であり、もうひとりは若い忍者が立っていた。
しかし二人は突然、逃げ出したのである。ものすごい快足!神谷と長谷は全力で追った。鳴海道を走り二里ほどを追ったであろうか、桶狭間山の麓で突然、織田の忍者が腕組をして、二人を待っていたのである。
織田の大男忍者
「勝負じゃ!」と叫んだ!
神谷は大男との勝負!若い織田忍者は長谷との勝負となった。
 
織田大男
「岡部殿と試あいたいが、そなたらも相当な術があるようだな」
と言い神谷に背中に背負った刀を抜き切りつけた。神谷は後ろにバック転で避け、着地後、刀に手をかけたが、なんと織田大男の前転回転蹴りが宙を舞い刀を抜く前に神谷の頭に蹴りが命中!踵が神谷の脳天に落ちたのである。頭は破壊され脳ミソが飛び散った。
 
織田小忍者は長谷という郎党との戦いとなった。長谷の剣はいくら振り回しても小忍者に当たらない!小忍者は背中の刀を使わない!長谷の手首に蹴りをいれたので刀は飛び長谷の武器はなくなった。小忍者が消えた!近くの木に飛び、必殺の三角飛び!しかし、いとこの徳子は今川義元にこの技を見切られている。
長谷は蹴りを見切り間一髪でかわしたのだが、なんと小忍者のかわされた右足はは長谷に当たらなかったが左の膝が長谷の顔面に命中し長谷は失神KOとなった。
義元に破られた三角飛びを熱田家で改良したようである。
 
大忍者
「時泰殿 三角飛びが進化しましたな。お見事でござる」
 
小忍者 熱田北条横井時泰
「慶次様 このふたりは鳴海でも屈強らしいのです。これでかなりの戦力を削減しましたが、一番の強敵は岡部でしょう。慶次様は空中前転踵落としを完全にものにされましたな」
 
前田慶次
「いやいや!まだまだでござるが修練で完全な技としたい。この男を連れ帰り情報を得ることとしましょう」
といい長谷をかつぎあげた。これから横井村に戻るのだ。
 
続く
尾張国中村の蜂須賀村で対今川の作戦会議が開かれた。
参加者は、木下藤吉朗、蜂須賀小六、木下小一郎、熱田北条横井時泰、阿蘇北条貴教。
木下藤吉朗
「ではわれら数名で沓掛城に貢物の食料、酒を運びこむとするがな〜。もう話はつけてもろうておるゆえ一番農民に見えるわれらでゆくがな〜」
 
木下小一郎
「農民に見えるのではなく農民であるぞよ。兄上」
 
木下藤吉朗
「これまた言われたの〜」と大笑いになり全員爆笑した。
 
熱田北条横井時泰
「沓掛を今川がでて湾岸を通り熱田、津島を目指しまする。織田からの襲撃を避けるためにも見晴らしがいい桶狭間山を通るということは確実となりまする」
 
阿蘇北条貴教
「桶狭間山は実に休憩がしやすく、頂上が平坦ゆえにかなりの数の休憩が可能でござる。これまでの調略により今川軍の進路は決まった!此度の戦、熱田家は今川寄りの中立ということで敵を騙す。織田軍が勝とうが負けようが、その後、熱田家と貴家で沓掛城を襲撃することとする。その理由としては、織田家が負けたら熱田家が織田家にかわり今川を討つゆえじゃ。逆に織田が勝てば、今川勢を駆逐し桶狭間と沓掛を熱田家のものとして織田軍の勢力を増強するためにも沓掛城を滅ぼす」
 
小一郎
「ここまでの綿密な計画!勝てるまする!」
 
小六
「なにしろ地元の地形は熱田家が知悉しておられまする。これで当日雨が降れば万全の迎撃体制でございます」
 
貴教
「一番の心配は鳴海城の岡部じゃ。まともにぶつかっては勝てぬ。されど熱田家がでるわけにはゆかぬ。某が援軍とゆきたいが、此度はもし負けた場合のために湾岸に近い宝神に軍を備えることとした。近くの前田家にも援軍をお願いした。ここで今川を食い止めるのだが、まともに戦えば数で負けじゃ。なんとか桶狭間で勝つために、毛利新助と服部小平太に熱田神法の一部を伝えたのじゃ」
 
時泰
「今川が沓掛の着いたときに蜂須賀党が貢ぎ物を沓掛城に農民ということで届けていただく。この後が勝負でございます」
 
つまり織田が勝てば一気に沓掛城を滅ぼし、織田が負ければ今川寄りであり中立の熱田家が再び今川と勝負をするという計画なのである。もし織田が負ければ一気に熱田、津島は蹂躙され尾張は今川の属国となり、今川が留守の駿府は武田が侵攻するかもしれないのである。ますます動乱の戦国時代は継続するということもありえるのだ。貴教は蜂須賀党には全貌を言わず牽制しながらの作戦会議を続けたのである。
 
 
 
駿府にて
 
駿府の今川義元は肋骨を折られた痛みに堪えていた。普通の突きではなかったのである。しかし、その痛みを部下に見せずに出陣しなければならない。あのとき郎党の援護がなかったら確実に死んでいたであろう。しかし鬼のように強い女だった。義元は生涯初の敗北をきっしたのである。胸の痛みとともに湧き上がる不安がある。愚息の氏真は駿府に残るが天下取りの後、義元が政を行うときはいいのだが、その後、氏真では政は無理なのだ。氏真ではなく元康に今川を任したらどうか?ふと思うことがある。しかし、三河武士を尖兵として合戦を戦い、多くの三河武士が死んで行った。恨みをかっているのだ。もし自分が突然死んだら後の今川はどうなるのか?不安になる。
織田の間者であろう鬼のように強い女!もしあのとき女の正拳が顔面に当たれば即死だった。三角状の飛び蹴りも一厘でかわしたが、あれも命中すれば死か瀕死の状態となったであろう。
不安を打ち消し、とにもかくにはまずは肥沃な尾張の占領であることを自分に言い聞かせたのである。
 
 
半蔵帰る
服部半蔵が駿府に帰った。松平元康と本多忠勝に報告をしている。山本麻子も同席。
 
半蔵
「結局、熱田大宮司には会うことはできませんでした。岡部殿は熱田大宮司を殺すつもりでございまする。それで織田軍を混乱させ合戦を有利に運ぶという意図でございます。されど、織田の最終兵器である強力の化け物が岡部殿を今川到着前までに討ち取れば織田に有利な合戦となりましょう」
 
元康
「強力殿は織田の最終兵器やもしれぬが裏で熱田家がおるやもしれぬな」
 
忠勝
「鋭きご指摘!何かをたくらんでいるのでございましょう。三河にとってはよきたくらみのようでござるが」
 
半蔵
「織田が負ければ、熱田は今川に従うのではなく今川を討つこととなりましょう。熱田北条横井時延殿は、殿が義元公の寝首をかくことをすすめられましたゆえ」
 
元康
「そこまで余の力をかってくださるとは!此度の戦!生き延びねばのう。まずは当家が生き残ることを考えよう。そなたらが帰る前、やはり当家が先陣というご命令が義元公からくだっておる」
 
忠勝
「やはりそうでござりまするか。時延殿は織田が負けたとき、当家が義元公の寝首をかき、熱田家とともに今川を奪う!ということを暗黙に伝えられたやもしれませぬ。されど、半蔵殿の読唇術、読心術もききませぬ。神がかった能力をお持ちですが、殿の天下取りをおすすめになられたのは事実でございます」
 
元康
「それほどまでに余を買ってくださるのはうれしきことじゃのう」
 
半蔵
「この後の当家の動くべき道を示唆して下されたように思いまする」
 
忠勝
「織田が負ければ熱田家が動くと存じまする。もしかして!義元公の寝首をかくことの提案をわれらに言われたゆえ、寝首をかいた後に熱田家は当家を味方すると思うようになりました。
 
半蔵
「確かに、あのまま動かない熱田家ではござりませぬ。忠勝殿の言うことはありえることだと思いまする」
 
元康
「なるほど、余が考える前に熱田殿が当家が進むべき道を暗黙に示唆して下されたということじゃな。忠勝と半蔵!」
 
二人は
「御意!」
 
続く
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
前回の続き
 
駿府にて尾張から戻った本多平八郎忠勝は松平元康に尾張の状況報告をしている。
 
忠勝
「此度の戦は完全に今川軍の大勝という世の予想でございまする。されど、大どんでん返しがあるはずでございまする。ゆえに岡崎に逃げ帰る策を練ることは必定!織田の最終兵器ともいえる鬼の鳴海城襲撃において、城の郎党の首、胴体の槍の切り口の凄まじさを見ました。正に怪物でございます」
 
元康
「そなたの槍、とんぼ切りは天下一の槍となろう。そなたでも驚く槍なのか」
 
忠勝
「某の槍の二倍の重さの槍でございましょう。その槍を使いこなすのは正に鬼神だと!」
 
元康
「鬼は駿府にもでた。美しき鬼じゃ。男の鬼が尾張にもでるようでは、確かにどんでん返しはありえるじゃろうな」
 
忠勝
「半蔵殿と下手な小細工はぜず、熱田大宮司邸に行きました。運よく当主の熱田北条横井時延殿にお会いすることができました」
忠勝は時延との面談を元康に話したのである。
 
元康
「なんと!某が天下とは!我ら岡崎衆の苦難も深くご理解されておる。義元殿の寝首!さすがに天下人の系統じゃ!織田に勝てば、義元殿の寝首をかき、織田に負ければまずは岡崎の奪還!正に正論じゃ!
それにしても、忠勝と半蔵!よく熱田大宮司邸に行った!礼を言うぞ!」と元康は頭を下げた。
 
忠勝
「殿 頭をお上げくだされ」
 
元康
「出陣まで数日と迫った。今川の先鋒隊として多くの三河武士が死んで行った。此度の戦で岡崎を取り返し死んだものたちの無念を、岡崎を取り返すことで供養としたい。どうじゃ忠勝!」
 
忠勝
「御意!」
と言ったとたんに忠勝は天井に刀を投げつけた!天井に刀が刺った。
「ねずみが一匹、天井に!しばし失礼!」
 
間者は屋敷の二階から飛び降り、闇の中に逃げようとしたが、足を怪我をしたようだ。
忠勝は忍者の両足に飛びついた。前のめりに転倒した忍者の両腕をとり羽交い絞めにした。忠勝は後ろから忍者に頭突きをくらわした。体の力が抜け忠勝に捕まった忍者はなんと女!舌を噛まないように猿轡をして手も後ろで縛った状態で忠勝は元康の前に女忍者をさしだした。そして動けないように足も縛った。
 
忠勝
「そなた、今川では見たことがないな。他国の間者か?何ゆえに当家に忍び込んだ?
織田か?」
 
もちろん、くのいちはうなずきもしない。15〜16歳くらいの女忍者である。
 
元康
「半蔵が帰るまで当家の牢でもてなそうかの〜。それとも、そなたの正体を言うのなら話は別じゃ。以前、夜,義元様の前に出現した美しき鬼神とも違うようじゃ。となると今川でも織田でもないな」
足の怪我は大したことはなく忠勝は手当てをしている。
 
忠勝
「どうじゃ!そろそろそなたの正体を言うか。それともこの世に未練はないのか?」
 
元康
「そなた。死ぬことは怖くはないのか?怖くはないのなら、当家に捕まったのは運がよいのかもしれぬ。というのは、この本多忠勝の槍は切った後にしばし血がでぬほどの切れ味じゃ。これからは天下無双の槍となろう。切られても痛みもなくあの世に行けるということじゃ。どうじゃ!本当のことを話してみぬか?悪いようにはせぬ。当家でめしかかえてもよきかな」
 
という元康の言葉で忠勝は猿轡を解いたが黙っている。
 
忠勝
「話さないのなら槍を持ってくる」といい部屋の外にでた。
 
元康
「そなた!織田の乱波でもないのう。何ゆえに当家を探るや?」
 
まだ、話さない。忠勝が槍を持って戻ってきた。
 
忠勝
「では槍の切れ味を見るとよい」
槍の刃の根元を持ち、紙を刃に乗せたところ見事に紙が切れてしまった。
 
元康
「見事じゃ!刃に気が入っておる。正に神の刃じゃ」と拍手!
 
忠勝
「事実を言わねば、どうなるかわかるかや?ましてや、そなたは天井から大事な話を聞いてしもうたゆえ」
 
と言ったとたんに女忍者はしくしくと泣き出した。
 
元康
「半蔵は明日くらいには帰るであろうが、もう出陣の直前である。しょうがない。忠勝!切れ!」
 
と元康が言ったとたんに女忍者は大声で泣き出した。
 
忠勝
「すごい声じゃの〜。ではこれで最後じゃ。そなたの正体を言え」
 
女忍者が泣きながら話をはじめる。
「おやかた様が、恐ろしくて、恐ろしくて!」
 
恐ろしい、おやかた様とは?信長?それとも信玄、謙信?
 
「我らは、たった十名の党でございます。棟梁が亡くなり、跡取りは女子ゆえに、おやかた様の側室にされました。現在の棟梁は側室なのでございます。されど棟梁の妹君までも側室になることを強要されましたが、なぜか、尾張に向かう指名を受けましたゆえ側室になることを避けることができました。妹君が我が党の最高の術者でございます。尾張から帰らぬのではないかと思いまする。不安があたり私が側室になることを命令されました。
断れば死しかありませぬ。私の死で党が残ればよいのですがお家断絶は確実でございまする。妹君がなぜか尾張に行かれたゆえ、おやかた様は不機嫌でございました。
私が側室は嫌だということを察した、おやかた様は、松平様への間諜を命じました。失敗すれば死でございます」
 
元康
「何ゆえに松平を探る?探るなら義元様を探ればよいではないか?」
 
女忍者
「おやかた様は人を見る目が優れておられます。松平元康様の真のお力を見抜いておられます。それゆえに此度の尾張侵攻で元康様が大躍進されることを予想しておられます」
 
元康
「なんと、これまた某を誉めるお方が増えたぞ。忠勝!なんともよき気分じゃのう」
と笑った。
 
女忍者
「義元様の武術のすごさを我党も知っております。されど、義元様に勝つ鬼神が現れたことを知ったときには我党も驚いた次第でございます。鬼神は織田家の使いであり織田家にご縁が深き松平様を探るように、おやかた様から言われて駿府にまいりました」
 
元康
「そなたの党は女子が多いのか?」
 
女忍者
「半数が女子でございます」
 
元康
「そなたは棟梁の親戚筋か?
 
女忍者
「さようでございます」
 
元康
「ならば、そなたの党を再興してみたくはなきかや?」
 
女忍者
「できうることなら!」と強く言った。
 
元康
「しかし、義元様が負けた鬼の情報が行っているとは!」
この時、おやかた様の正体を元康は確信した。
 
女忍者
「おやかた様の情報網は戦国一でございます。それゆえに、おやかた様が慎重になられるのでございます。元康様が今川家を継げば天下は近いということも言われておりまする。されど、嫡男の氏真様では義元様の代わりはできぬことも」
 
元康
「ははは〜 よくわかっておられるのう。ならば、天井で聞いてしまった今、どうじゃ、余に従わぬか?それともそなたは故郷に家族を残しておるのか?」
 
女忍者
「両親も死んでおりまする。妹が党におりまするが、なぜか此度、再び会えてもいつになるかはわからぬという勘が働きました。それに帰っても、おやかた様の側室にされ、断れば殺されまする」
 
元康
「忠勝、そなたどう思う?」
 
忠勝
「殿に思うゆようにされたらいかがかと。ところで、そなたの名は?」
 
女忍者
「山本麻子でございます」
 
忠勝
「そなた足の怪我は大したことはないゆえ、今から俺と再び試おうて、殿に見ていただき、その後で当家に従うかどうかを決めたらどうか?俺も戦場格闘術を学んでおる。試合は無手じゃ。殺し合いはなしじゃ。寸止めで先手を取ったほうが勝ち。実はそなたの力を見てみたいのじゃ」
 
麻子
「よしなに」
 
麻子の縄ははずされた。
 
 試合がはじまった。
いきなり忠勝が右正拳を麻子に打ち込んだ。麻子は左回転でかわし円の動きをしている。忠勝の死角をついたのか麻子が忠勝の視界から消えた。
思わず元康は叫んだ。
「あぶない!」
 
麻子は前転宙返りで踵を忠勝の頭に落とす回転蹴りを見舞ったのである。命中すれば即死かもしれない。しかし、忠勝は直感で右手を握り脳天に置き麻子の踵落としを防ごうとしたのである。寸止めという約束のため麻子は踵を落とさず、そのまま着地した。
 
元康
「それまで」と叫んだ。
 
忠勝
「見事、俺の負けじゃ」
 
麻子
「はじめて防御を受けました。お見事な防御でございます」
 
忠勝
「踵が当たれば拳も砕かれていたであろう。そなた、俺の槍とそなたの忍法、格闘術を組み合わせ、殿の天下取りを見てみぬか?」
 
麻子
「はい、私でよろしければ、武田忍軍を離脱し松平元康様に従わせていただきます」
と言い、ひれ伏した。
 
忠勝
「やはり武田だったか」
 
元康
「ではよろしく頼むぞ!信玄殿にも認められたのでは夢を夢で終わらせことはできぬ。はっはっは〜 今宵はよき夜じゃ。酒を持ってこさせよう」
 
 
続く
 
 
 
 
 
 
 
前回の続き
 
長い酒宴となった。一時的な敵味方の和合と言えるひと時でもあった。
 
山本勘助
「明日は甲斐に急ぎ帰りまする。おやかたさまから命じられた使命は貴殿らが果してくださるでございましょう」
 
勘助影武者
「年をとったゆえの言い訳もありまするが、新助殿との最初の戦いで背中に蹴りをくらったときは痛みだけでなく驚きが先でございました。仮死の法も見破られ完全に負けました。あれほどの技でも熱田神法の初心者とは思えませぬが、今川との戦!勝てますぞ。ゆえに、織田家が勝つための細工は我らには必要なしかと」
 
勘助
「されど、油断めされるな。義元の戦闘能力は並ではござらぬ。必勝のためには、最低二人で攻撃をすべきでござる。その作戦をたてられよ」
これは、阿蘇貴教が毛利新助、服部小平太という織田家最強の二人が義元を襲うように策を練っていた。慶次はあえて言わないが
 
勘助
「義元が鬼神に襲われたことの情報が入っておる。手傷を負ったとか。此度はかなり有利な面もありうるが、何しろ敵は戦国一の多勢である。勝つためには地の利!すでに地形を知悉してる織田軍である。狙うは義元の首ひとつ!大軍は多勢ゆえに身動きが取れませぬ。ゆえに大蛇の首を熱田神法が狙えば今川の負けは必定!」
 
影武者
「熱田神人がいる神社を攻め、試しました。本宮も津島も攻撃するつもりはありませんでした。強き神人がいる小社を選びました。申し訳ござりませぬ。必ず勝てますゆえ!
戦勝後、甲斐に来てくだされ。体が痛いゆえ横にならせていただきまする」と横になった。
 
毛利新助が本殿からゴザを持ってきて、影武者を休ませた。山本政子も疲れがでてうつらうつらしていたので、ゴザで休ませることにした。
 
前田慶次
「もう夏も近い、外で寝るのも風流かも。新助殿 貴殿も首が痛かろう。ほどほどで休め!俺は武技では勘助殿には勝てぬが、酒では勝てそうなので、もう少しお付き合いいただこうと思う」
 
毛利新助
「では横にならせていただく」
 
勘助
「酒で慶次殿に勝てる者は稀有でございましょうな。それと貴殿の槍も天下一とか」
 
慶次
「俺の槍は力の槍!されど、松平家には俺と反対の槍の猛者がいるそうでございます。
此度は初陣となるとか」
 
勘助
「ほう!それは初耳でござる。此度は松平家がどちらに転ぶかはわかりませぬ。織田家が松平家を調略できればさらに戦は有利となりましょうが?すでにやっておられるとは思いまするが」と言いにやりと笑った。
 
勘助
「これ以上、我らがやることはありませぬ。ただ、鳴海の岡部にはご注意くだされ。
今川軍が着くまでに相当な犠牲が出ますぞ。岡部は戦略家であるとともに相当な剣術と格闘術を持っておる」
と聞いたので慶次は
「一度目の鳴海城攻撃のときに岡部殿の武士の矜持を見ました。あのときは郎党を殺しました。されで岡部殿が爆薬を持っていたゆえ討ち取ることはできませんでしたが、今川到着までになんとかせねばなりませぬ」
 
いつしか、慶次は眠ってしまった。何か術をかけられたのか?しかし、夢を見た。
勘助と富士の山を見ていた。
勘助は
「ようこそ、甲斐の国へ!よく今川に勝った!富士の御山もお喜びじゃ。貴殿の推理どおり政子は某の子じゃ。山本家を存続させるために山本家当首の内密の頼みで山本家の正室の妹に産ませた子じゃ。忍法の才能は武田軍一じゃ。されど、おやかた様が
政子を正室にすることを命令なさったゆえ、逃がすために尾張に行かせたのじゃ」
 
 
朝が来た。朝日で慶次は目が覚めた。全員、ゴザで寝ているが慶次のみ木に寄りかかり寝ていたのだ。寝ている勘助を見て、強烈な想いが沸いてきた。
「夢は伝心の術!」
この術は本物であろう。目が覚めれば勘助と影武者は甲斐に帰る。慶次は政子を守る決意をしたのである。
 
続く
前回の続き
 
前田慶次
「武田家にとっては、織田が勝つも負けるもどちらでもよきことはわかっておりまする。いずれにせよ。今川が駿府を留守にすれば武田のものとすることはたやすきこと。今川が万が一、負ければ駿府は自動的に武田家のもの。此度の戦は高みの見物でござる。されど、武田家とならぶ戦国最強の上杉がいる。つまり最大の難敵!だが上杉も本願寺で抑えることができる。真の最強の戦国武将は武田信玄殿ということでございまするな」
 
山本勘助
「ところがそうとも言えぬ不安もありまする。強き武将は弱い面もなければ戦には勝てませぬ。つまり危機の対策と管理でありまする。その加減がうまいのが、おやかた様なのでありまする。熱田の神人が唐の危機から日本を救ったことを、おやかた様は知っておりました。諏訪大社の神人が鎌倉北条氏を救い、熱田が執権北条をかくまったことも諏訪を通じて知っておりまする。熱田は織田の守護神ではなきかと?此度は熱田を探ることと焼き討ちによりかく乱を命じられましたが、この結果となりました。
政子を側室とすることを、おやかた様はお決めになられた。されど、某が、おやかた様にお願いし尾張への間諜となることを説得した」
 
慶次
「勘助殿と山本流とは親戚関係はないということでありますが?」
 
勘助
「某は今川から武田に来ましたゆえ同じ名前でも血のつながりはありませぬ」
 
慶次
「もしかして、貴殿は政子殿を二度と武田に帰ってこないように逃がしたのではありませぬか?信玄公は一度、決めたことは変えることはなきかと?側室を断ったことについては貴殿がかなりの説得をしたのではござらぬか?」
 
勘助
「****」黙っている。
 
新助
「政子様が熱田神法に出会い、技を習得すれば相当な戦場格闘法になるとでございましょう。もしかして、勘助様は、山本流の技の進化のために政子様を尾張に送られた?」
 
政子
「勘助様は私が子供の頃からかわいがってくださいました。術の指導も実に厳しく、ご丁寧にご指導いただきました」
 
慶次
「ではでは、今、天下の名参謀、山本勘助殿をお迎えしたわけである。馬に酒を乗せてあるので取ってくる。社務所の酒は焼けてしもうたゆえ!ははは!
というので、慶次のお酌で酒盛りが始まった。
 
慶次
「毒は入っておりませぬゆえ、ご安心を!俺が毒見をいたしましょうか?」
とにこにこしている。
 
勘助
「貴殿は不思議な方でございまするな。相手に安心感を与える、涼やかさと明るさを兼ね備えた真の武人でござる。毒見は無用でござる」
ということで酒宴が始まった。
 
慶次
「ほめすぎでござるぞ!はっはっは〜」
 
勘助
「政子の才能を伸ばしてやりたいというのは本音でござる。ところで政子。どなたかと試おうたのであろう?それでそなたが負けた!ゆえに織田ではなく熱田に従うこととしたのであろう」
 
政子
「そのとおりでございます。この前田様でございます」
 
慶次
「申し遅れました。前田慶次朗利益でございます」と礼!
 
新助
「毛利新助でございます」と礼!
 
慶次
「実は試おうたのでございまするが、間一髪で政子殿の飛び後ろ回転蹴りをかわしました。当たっていれば某の脳天は砕け散っていたことでございましょう。その後の二段三段蹴りにはまいりました。これまた紙一重でかわせました」
 
新助
「なんと、二段三段の蹴りでございますか」
 
慶次
「そうじゃ。勘助殿のご指導の技でございまするか」
 
勘助
「回転蹴りは山本流。確かに三段蹴りは某が教えました」
 
このとき、影武者が気がついた。新助に縄をほどかれた。
慶次
「影武者殿 こちらで一献!ささ、ご遠慮なく」
 
影武者
「背中と額が痛うござる。年は取りたきなきものよ」とふらふらと立ち上がり、どかっと座った。
 
新助
「それにしてもよく似ておられまするな〜 」と酒を注いだ。
 
影武者
「かたじけない。いただきまする」と言い、少し酒を飲んだ。
 
勘助
「同じように足まで無くして、兄弟でも親戚縁者でもござらぬが、前世の双子やもしれませぬな。はははっは〜」
 
慶次
「世は織田の負けを確実視しておりまする。されど、もし勝ったならば、その時は信玄殿との戦を楽しみにしておりまする。いかがかのう?今宵で織田と武田の戦は休戦といたしては?」
 
勘助
「此度は某が熱田神法を見てみたいがゆえまかりこした面もありまする。慶次殿に従いましょう。今、戦っても我らでは勝てませぬ」
 
新助
「いや、今、戦えば相打ち、もしくはこちらの負けやもしれせぬ。それくらいは某にもわかりまする。だが、我らの熱田神法は宗家とは違いまする。比較にはなりませぬ。
熱田神法を完全に行ずるには血も必要かと。我らは外様でございまする。まだ二割くらいの技でございまする」
 
慶次
「二割!そのとおりかもしれぬ。話はかわりもうすが、甲斐は美しき国。富士のミヤマは美しいそうでございまするな〜」
 
勘助
「さよう!この世のものとは思えぬほどの美しさでござる。今も雪をいただいておりまする」
 
慶次
「こちらからも見えることもございまするが、遥か遠方でござる。一度、近くで見てみたいものじゃ」
 
新助
「同感!」
 
勘助
「貴殿らが堂々と来れれば、おやかた様はお会いになられる度量をお持ちでございます。いつか甲斐に来てくだされ。もしくは間諜ででも。」
 
慶次
「ではそうするか!新助殿!その前に我らが熱田神法 あと一割の実力向上をしてからにしよう。でなくば勘助殿に勝てるとは思わぬ」
 
新助
「同感でござる」
 
勘助
「お二人ともお若いのに実に謙虚じゃ!もし古府中に来られれば、おやかた様はお二人に「我の家臣となれ」と言われるでございましょう。
 
影武者
「そうでございます。おやかた様なら言われるでしょう」と深くうなづき納得。
 
慶次
「ははは〜 それは光栄でござるな」
 
勘助
「本音を申すと、某は上杉との戦に全力を尽くさねばなりませぬ。今川が尾張に来る前に早く甲斐に帰り上杉対策を練らねばなりませぬ。熱田神法を垣間見たことは大変意義があることでございます。お二人は、天下を動かす武将となられると思いまする」
 
慶次
「お褒めにあずかり恐悦至極!ところで信玄公を中心とする武田軍は鬼神の強さとか」
 
勘助
「我ながら強いと確信でござる。対抗できるのは上杉くらいでございましょう。今の織田軍ではまだ勝てませぬ。だが、熱田が守護神の織田軍!何が起きるかわかなぬのが戦であり結果でござる。少数が大軍勢に勝つこともございます。今川は負けることもありえまする。実は、おやかた様は今川が負けてほしいのでござる」
 
慶次
「なんと!」
 
新助
「なんと!驚きでございまする」
 
政子
「なんと!姻戚関係も関係なしと?」
 
勘助
「現在の武田の強敵は、最強が上杉か今川、次が北条。今川が消えれば天下への道は強敵がひとつ減るということじゃ。世は確実に今川が勝つと思うておるが、おやかた様のご命令は織田軍が有利になるような尾張の撹乱を我らに命じられたのでござる」
 
慶次
「むむむ〜 今川が負け、次は上杉を滅ぼせば武田家は日本最強となる。信玄公は姻戚関係を利用して本願寺を動かせる。これで上杉をけん制できる。北条は敵ではない」と腕を組んでいる。
 
勘助
「されど、尾張に来て我らの秘密の策は必要なきものということがわかったのでござる。実は義元公が夜、鬼のように強い女子に襲われたことは調べがついておる。それに此度の貴殿らとの試合においてそれを確信いたしました。鳴海城、大高城、沓掛城が謎の襲撃を受けておる。襲撃者の正体を我らが今川に言わぬことにより織田軍の必勝を応援いたしまする。必ず勝ってくだされ。」
 
慶次はひとつの仮説を考えていた。後述する。
 
慶次
「これはこれはありがたき応援のお言葉!感謝の極みでござる」
 
新助
「ありがとうございまする」
 
勘助
「今川進軍の道を調べました。義元は未だ、熱田神法のことは知らぬはずじゃ。ゆえに今川が通る道は熱田家よりは距離がある。ここで進言させていただくが、熱田家は今川と戦わないという虚偽を用い、本家を守るということで今川の攻撃を避けるのも手じゃ。すでにその手を打ってあるならばよい!もし図星なら某が今川に密告することはありえぬ。某は忍びであるが武士である。もしお疑いなら、即刻首をお切りくだされ」
 
そこまで言う、勘助は初めてなので政子は驚いている。
勘助は刀をはずし、手裏剣数個もクナイも全て差し出したのである。そして正座し目を瞑った。
 
影武者
「おやかたの心は本当でござる。なにとぞお解りくだされ」
 
慶次
「勘助殿 
そこまでされずとも!よくわかりましたゆえ、足を崩してくだされ」
 
政子が涙を流している。なぜそこまで?
 
勘助
「政子 手裏剣は四個熱田家で使ってもらえ。実はのう、上杉との戦は熾烈を極める。
いつ私の命も消えるやもしれぬ。そなたは武田忍軍では最高度の術を習得している。
此度、そなたの術がさらなる向上が許されるならばよきことと存ずる。おやかた様には言わぬ。修練に励め。
武田と上杉の戦はのう。上杉謙信を暗殺せねば勝てぬ戦やもしれぬ。それゆ最高の弟子であるそなたに別れを言いにきたのじゃ。そなたの姉を側室にしたおやかた様は憎くかろう。されど、甲斐を離れ別の道を歩むことでそなたの術を磨いてほしい」
 
慶次
「勘助殿のお心!しかと受けとりました。固き話でござるが、我らがおやかた様の信長殿!実は勤皇でござる。それゆえに我らが熱田神法が永き戦の世の終焉を構築する術とならんことをご理解されておる。弱小の織田ではござるが、某は負け戦も好きでござる。されど死中に活!勘助殿のご助言をいただきましたゆえ!勝ちまする」
 
新助
「実は勘助様 信長様には熱田家にはなき必勝術がございます。何だと思われまするか?」
 
勘助
「難しきご質問でござる」
 
新助
「その術は慶次様ももっておられます」
 
勘助
「強力でござるか?されど信長公は細身じゃ」
 
慶次
「なんだそれは、俺も知らぬぞ」と呆れている。
 
新助
「ならば、言いまする。荒唐無稽、理解不能の無茶、などなど!つまり傾奇者の心でござる。無茶の中の余裕!それが遊びでござる。もう情報が行っておると思われまするが、鳴海城の郎党の首と胴体を一刀両断!慶次殿にとっては遊びでもござろうが、はたから見て、戦といえども遊び心を余裕が必要かと存じまする。それができるのが信長
様と慶次殿のみ。傾奇者!もしかして天下を取るやも」
 
政子
「私が慶次様に負けたとき、その余裕を感じました。されど大きな目的がある。それは民の安寧を約束する太平の世の顕現でござります。確かに余裕がなくては大願成就はできませぬ。誰にもない余裕と大願を慶次様から教えていただきました」
 
慶次
「褒めすぎなのか俺が変人なのかわからぬ賞賛!わはっはは〜」
 
影武者
「新しき世の到来を感じまするな〜 おやかた」
 
 
 
この物語はフィクションです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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