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これを買ったのは、実はずいぶん昔のことです。柏に住んでいた頃、リサイクルショップ
の隅っこにごくわずかのLPを並べたエサ箱があるのが目にとまり、たいした期待もせず
にひととおり眺めたところこれを発見し、購入した記憶があります。そんなシチュエーショ
ンでしたから、千円もしない値段であったように思います。
過去にFMで聴いたクーベリック指揮バイエルン放送響によるドヴォルザーク「第6」がと
ても熱のこもったボヘミア的演奏で、その印象がこのセット(日ポリドール MG-9867/75)
をつかませたわけです。でも、買って帰って「第6」は聴いた覚えがありますが、その他に
針を通した記憶がありません。なぜか?
情けない話なのですが、箱のいでたちが「旧録音をまとめた再発売モノ」に見えたから
なんです(まあ、ドヴォルザークの交響曲への思い入れの程度の問題もありますが)。
箱の背に「Anniversary Edition: Dvorak」なんて書かれていると、ひとまとめにいろいろな
全集を(旧録音から)出した、そのひとつに見える、わけなのです。ところが一昨日、第2
を聴きながら解説のブックレットをながめていて、ちょっと見方が変わりました。
ベルリン・フィルを振ったこの全集はかなり短期間に集中的に録音されています。
1966年の「第8」、1971年の「第7」を除けば残る7曲は1972年の6月〜12月までに、そし
て「第9」の一部が1973年2月に収録されて完了しているのです。一方、ブックレットの末
尾には「昭和48年11月15日印刷、12月1日発行」との記載があります。これは西暦に
すれば1973年末のことですよね。ということは、この全集の発売は録音が完了した年
の年末であったということです。おや、初版なのね!
そう思うと、がぜんありがたみが増すものです(単純!)。各盤のマトリクス番号もチェッ
クしてみたところ、日本カットではなくメタル原盤輸入によるプレスのようで、これもグー。
レコード番号は第1の2561 263からほぼ通し番号でついていますが、既発売であった
第7は2530 127、第8は139 181の初発売時の番号となっています。発売年次を表す
(P)も第7は1971、第8は1966で、その他は1973…と思いきや、なぜか第5のSide 1のみ
1967になっています(Side 2は1973)!1972年9月〜10月の録音ですから1967年発売
はあり得ないわけですが、いったいなぜこんな誤表記が?しかも一面だけ?
とまあ、購入から10年以上も死蔵されていた全集が突然いろいろな楽しみを与えて
くれているわけですが、何よりも重要なのはその演奏のクオリティの高さでしょう。
第2のあと、第9、第3、第1と聴いてみましたが、格調高くしかしボヘミアの雰囲気も十分
にたたえた演奏です。そしてベルリン・フィルの合奏力とイエス・キリスト教会の美しい
響き。こんな名盤を長く不当に扱っていたのを、まことに申し訳なく思うわけです。
そうだよねえ、たくさん売れるとは思えないドヴォルザークの交響曲全集を1970年代に
録音するからには、「これを残さねばならない」という使命感があったはずで、それを
クーベリックとベルリン・フィルが演っているのですから、高い水準のものとして記録
されているわけです。
ああ、それに気づいてよかったあ!
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