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夏に突然発表となり、9月発売開始となったスクロヴァチェフスキの読売日響との
特別演奏会「究極のブルックナー」。 来年1月に2度行われるブルックナー「第8」
演奏は、今シーズンにマエストロの登場がないことを悲しんでいた
大きな朗報でしたよね。 私も(当然!)2回分のコンサートチケットを手配し、期待
に胸を膨らませているわけです。
ところで、ミスターSももう御年92歳。 この年齢での1年のブランクは「ひょっとする
と、もう二度と聴けないかも」と心配させるに十分ですから、マエストロのホーム
グラウンドでのコンサートを探し当て、聴きに行ってきました
ミネアポリスのオーケストラホールにおけるミネソタ管弦楽団演奏会です。
曲目は、シューマンのチェロ協奏曲(ソロは同楽団トップのRoss)、ブルックナー
の「第7」でした。 同じプロが16日・17日にも組まれています。
11時開演の会場に10時頃到着すると、10:15からアトリウムでフィルム(?)上映
があるとの張り紙。マエストロのドキュメンタリ「Seeking the Infinite」というもの
(2011年に発刊された同名のバイオグラフ本にもとづくものだそうです)。
考えてみたらこれまで、ミスターSの生い立ちなど知らないできた(音楽家は匿名
のインタープリタ、と考えればそれは間違っていません)わけで、興味をもって
観てみました。「第7」は、御年7歳のときに「魂を連れ去られる」体験をしブルック
ナーへの傾倒のきっかけとなった曲であること、コンサートホールはその設計・
建設に深く関わったまさに「マエストロのホール」であることなど(大阪のザ・シ
ンフォニーホールが「朝比奈隆のホール」であったことを思い出しました)。その
場所で、その人で、そのピースを体験する。何と素敵なことでしょう
フィルムの中で、2014年2月23日の「90歳を祝うコンサート」の模様が紹介され
ています(前年10月の本当の誕生日には東京にいたんですよね)。市長が
「この日をスクロヴァチェフスキの日とする」旨の記述(けっこう長い)された額
入り感謝状を手渡す前に読もうとすると「それ、全部読むのか?
を発揮したり。で、市長がそれを読む間ちゃんと横で聞いているのが、フィルムと
はいえハラハラしてしまいます。
若い頃のロッククライミングや登山で足腰を鍛えたことが、いまの活動を支えて
いるのでしょう。その意味では、手を怪我してピアニストを諦めたことは「神の
思し召し」であったのかも
はしないでしょうから。(画像はミネソタ管弦楽団HPから拝借)
開演間近までのフィルム上演ですっかり気持ちが高められてホール内へ入ると、
すでに多くの団員がステージ上にいました。 キューブ状のオブジェが埋め込まれ
ていたり、ブルー系の照明を使っていたり、「変わったホールだなあ
ですが、演奏を聴くとその響きはとても上質です。 柔らかめに融け合いながらも
明晰さを失わない、よいバランスと感じました。 残響がないわけではないのです
が、「まとわりつかない」感じ
「パリッとしない」音楽ですから、最初の二つの楽章はなだらかに進んでゆきます。
舞台上のマエストロは、日本で最後に見たときよりいっそう「老いた」感は否めま
せん。もはや、「音楽に対する情熱」のみがこの人を生かしている、そのようにしか
見えないのです。ミネソタの新聞インタビューに対して、「My health is poor, but
my spirit is very high」と答えたというのには、うなずかされます。
協奏曲はさすがに譜面をめくりながらでしたが、相変わらず立ったままでの指揮
でした。シューマンの最後の音が鳴りやむと比較的すぐに拍手が始り、そして客席
のあちこちでお客さんが立ち上がり始めるのは、アメリカらしい風景ですね。
シューマンのチェロ協奏曲はピアノ協奏曲よりずっと耳なじみがないですが、まさ
に初期ロマン派の、自己のナイーブな情感を繊細に吐露するような曲
Rossはアンコールに、バッハの無伴奏からブーレをプレゼントしてくれました。
メインのブルックナー「第7」は、また次に。
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