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去年「上原正三の仕事について書くのは、別の機会に譲ろう」などと書きながら、随分時間が 経ってしまった。ちょうどいい写真をいただいてきたので、久しぶりにここで書きたいと思う。 「怪獣使いと少年」1971/11/19放映 河原に住む少年良はずっと穴を掘り続けていた。その奇行から周囲の人々から「宇宙人」と 疑われ、差別やいじめを受けていた。近所の不良の嗾けた犬が爆発するのいう事件が起こって以来、 周囲の目はさらに冷たいものになっていった。しかし彼は宇宙人ではなかった。彼の匿っていた 「金山」と名乗る老人こそが、一年前に良を襲った怪獣を念力によって封印し、彼を保護した 宇宙人だったのだ。宇宙人は美しいこの星に永住することも考えたが、公害によって体が蝕まれて おり、これ以上地球に留まることができないと語る。地中に怪獣と共に眠る宇宙船で彼の星に 移住すべく、良は穴を掘り続けていた。しかし暴徒と化した市民達が少年に襲い掛かる。見るに 見かねて自分の正体を市民の前で明かす「金山」こと宇宙人。彼が警官の銃弾に倒れた時・・・ たくさんの要素が含まれたドラマ。しかしその中で一番大きなテーマはやはり差別であろう。 少年の出身地北海道=アイヌ 宇宙人の姓金山=在日 そして忘れてならないのが、この脚本を 書いた上原正三の出身地が沖縄ということ。劇中のセリフに「日本人は美しい花を作る手を 持ちながら、一旦その手に刃を握るとどんな残忍極まりない行為をすることか。」という のがある。単一民族国家としての対面とその中で光を当てられない差別。考えてみれば日本史は その対面を守るための歴史の積み重ねであったともいえる。征夷大将軍以来、日本人は自分とは 違うカテゴリーを征することで歴史を作ってきた。そんな日本人のあり方を問うたのが、出現した 怪獣と闘うことをためらったウルトラマンである。 現代の我々の周囲を見直すとどうだろうか。我々の手は刃を握っていないだろうか。おそらく 美しい花だけを作っていると言い切れる人は少ないに違いない。しかしそれは日本人だからという 言い訳だけで済まされることなのだろうか。ウルトラマンの40年前のためらいは、現代では さらに根を深くしているような気がする。 ちなみにこの舞台となったのは川崎市である。高度成長時代には喘息の街、そして貧困層の多い 街としてその名を全国に轟かせたのはご存知の通りだが、このストーリーが初めて公開された際、 その内容について特に川崎市民から抗議の電話が殺到したらしい。後に上原正三も「あれはやりすぎ ちゃったかなって反省した」と語っている。その川崎市が全国で初めて職員の採用に際して国籍条項を 撤廃したのは彼の予見だったのだろうか。 帰ってきたウルトラマンの中でも11月の傑作群として名高い作品群のひとつ。他の作品に
ついてもいつか語る機会を持ちたいと思っている。 |

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昔のこういう特撮ものにはかなり深い意味がこめられてたりするんですよねぇ…。
差別に関しては日本はまだ欧米に比べたら緩いとはいえ、厳しいですよね…。人がある限り続く問題なんでしょうけど少しづつでも減らしていければいいですけどね…。
2008/1/30(水) 午後 8:57
ウルトラマンは何のために地球に来て、戦っているのか考えさせられる作品ですね・・・。番組として成り立ちませんが、ムルチの出現に対し、変身し戦う必要は無いですよね。
これとセブンの「ノンマルト」はいろいろと考えさせられます。
2008/1/30(水) 午後 9:52 [ delphinring ]
それにしてもこの様なストーリーを子供向け番組で放送していたって云うのは凄いですね!当時のワタシは・・・さっぱり解らなかっただろうな^^;
2008/1/30(水) 午後 10:04 [ delphinring ]
カシノオオサマさん、昔の人はたかが子ども向けと思っていなかったんでしょうね。日本の差別は表に出てこないだけに根が深いのでは?とこの回を見て思いました。
2008/1/30(水) 午後 10:32
デルさん、金城ノンマルトの双璧のようなストーリー。ひょっとしたら上原正三の返答なのかもという気がしました。上原正三の沖縄人の根幹みたいなものが戦いを拒否するウルトラマンの形をとって現れているのかも、と思います。
2008/1/30(水) 午後 10:34
デルさん、ワタシもさっぱりわからなかったです。一番覚えていたのは、なぜウルトラマンに変身しないのだろう?と思ったことと自分の掘った穴に埋められる少年の姿です。
2008/1/30(水) 午後 10:35
根上淳さんの虚無僧の姿が印象的だった。
2010/5/23(日) 午前 1:44 [ zuk*sah*20*2 ]