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薦められ図書館で、初めて読もうと小池真理子氏の著作を探したら、
直木賞受賞作の長編小説「恋」が在った。
読みいい文章だったが、性描写が好きな作家と知った。
「恋」というタイトルなので学園のミステリーものかと思ったところ、私小説の匂いが漂う官能文学といった印象だ。
心に誓った秘密をバラすという、人間として共感できない結末の苦々しさ。
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小池真理子
1952/10/28東京生れ。少女期よりお父さんの勤めの関係で転校が多く、
高校も1967年に都立高校に入って間もなく、仙台市に転居したため宮城県立第三女子高校(現・仙台三桜高校)に編入した。
時は我々、大学生が反日共系三派全学連の渦中に在り、やがて高校へと波及しつつあった。
彼女は、由緒ある女子師範の伝統を受け継ぐ転校先で、制服廃止・卒業式ボイコットなどの闘士となり、"ゲバルト・ローザ"の異名で知られた。
ヘル姿のビラ配り、小説本を抱えタバコを吸いながらクラシック音楽喫茶でバッハ。歌うは吉田拓郎。しかも美少女と来ている。
学園が全共闘の敗北〜赤軍の死の彷徨へと変貌して行く。
1970年に一浪し、東京の成蹊大学文学部英米文学科に入る。
76年に出版社に就職するが1年半で退職し、エッセイ作家となり78年にエッセイ「知的悪女のすすめ」(山手書房)でデビュー。この頃からマスコミ嫌いとなる。
夫で同業の藤田宜永氏 (よしなが、1950/4/12福井市生まれ、早稲田大学第一文学部中退、渡仏しミステリーの翻訳、エールフランス勤務7年、1980年帰国) とは、1983年から同居・事実婚した。
85年には「第三水曜日の情事」(角川文庫)で小説家に再デビューし、89年にはもう「妻の女友達」(集英社文庫)で日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞したのだ。
90年に夫婦揃って軽井沢に移住。
ミステリー〜恋愛小説の著作を続け、95年には夫婦同時候補で騒がれ、妻の「恋」(早川書房)が直木賞に輝いた。 2001年に夫の「愛の領分」(文藝春秋)が遂に直木賞を受賞したのである。
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「恋」
単行本: ハヤカワミステリーワールド1995年10月、
文庫本: ハヤカワ文庫1999年4月、新潮文庫2002年12月。 主人公・矢野布美子は、学園闘争の運動家と同棲し、相手の学生・唐木俊夫が病んで破局となる。
彼女は、大学助教授・片瀬信太郎が翻訳する外国官能小説「ローズサロン」を筆記するバイトが切っ掛けとなり、
その妻・雛子(ひなこ)との夫婦生活の優雅さに思想的抵抗を感じたものの、
自由奔放かつ倒錯的な性生活へと引き込まれてしまう。
時として退廃に対する虚無が彼女を襲うが、深層から悦楽が湧き上がる。
そんな果てなき耽溺(たんでき)の日々に、青年・大久保勝也が出現する。
雛子は今度は、勝也に熱中してしまい、四角関係の危うさに均衡が崩れる。
自由恋愛の筈だった信太郎は嫉妬に狂い、雛子とは異母兄妹の近親相姦という衝撃の秘密を暴露する。
この真実は決して語るまいと心に誓った。
雛子もまた勝也に秘密を明かし、勝也はあろうことか信太郎を "義兄"(にい)さんと呼ぶ。
そんな二人と異常性愛を持って来た布美子は、
全関係を清算するかのように信太郎の猟銃を、勝也そして信太郎に向けて発砲するのだった。
あの日本全体を震撼(しんかん)させた連合赤軍による浅間山荘事件が勃発した、
同じ1972年2月末の軽井沢での出来事だった。
刑期を終えた布美子は子宮癌の病魔に冒され、余命幾許(いくばく)もなかった。
ノンフィクション作家・鳥飼三津彦が病床を訪ねる。
その熱意に押され、とうとう布美子は全ての過去を語り始め、封印した筈の兄妹の秘密にまで及ぶ・・・・・。
直木賞の選評・・・中でも辛口のコメントを抜粋
平岩弓枝
「(委員の殆んどが指摘したように) 主人公の男女が兄妹である必要は全くないと私も思った。少くとも、この小説では不要というかマイナスであった。それでも受賞から外せなかったのは、感嘆する程の作者の筆力・文章力で、結局、私も何のかのと言いながら、その魅力に溺れてしまった」。
渡辺淳一
「久し振りに大人の男女の小説をわくわくしながら読む楽しみを味わった。軽井沢のシーンまでの瑞々しさは中々のもので、この作家の並々ならぬ力量を示している。最後に謎解きを見せてからは、やたらに理に落ちてつまらなくなったが、それは作者が推理小説を書いて来たせいかと、一種の情状酌量のような気持から受賞に賛成した」。
津本陽
「作品の基調に破滅を暗示する重い韻律が流れており、それを軽井沢の夏の風景を繊細に描くことによって、快いリリシズムの色調にまとめて行く手際は隙がない。隙があるとすれば、このような大方の人々にとっては異質であろう男女の関係を、文句なしに読者に納得させ小説世界へ引き摺り込む程の熱が、左程、感知できなかったことである」。
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小池真理子の小説は10年程前「恋」「欲望」「美神(ミューズ)」を読んだことがあります。
そして先日短編6編のサスペンス小説「女房の女友達」を久し振りに小池作品を読みましたが推理小説家とは知りませんでした。
同世代なので時代背景がわかるし面白い本があればまた読んでみようと思います。
2012/9/19(水) 午後 9:17 [ ヤッサン ]
「恋」は残念ながら共感できませんでした。
2012/9/19(水) 午後 10:10 [ doranyankoドラにゃんこ ]
大人になって殆ど小説を読まなくなってたのですが、ある理由で読もうと古本屋で見つけて買ったのが、小池真理子の「雪ひらく」というものでした。女の性を描いているのかと思うのですが、イマイチ掴めずじまいで全篇を読まなかったかもしれません。
そんな縁でここでも彼女の記事を拝見させて頂きました。
仙台三女なのですね。
同じ地域で青春を暮らしたので経歴を見て驚いてます。
こんばんは、初めまして、訪問履歴から伺いました。
ありがとうございました。
2013/6/11(火) 午後 9:20 [ carmenc ]