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スターリングラード ('00 アメリカ=ドイツ=イギリス=アイルランド)
(原題 ENEMY AT THE GATES) (132分)
監督/ジャン=ジャック・アノー 脚本/ジャン=ジャック・アノー、アラン・ゴダール
出演/ジュード・ロウ、ジョセフ・ファインズ 他
'42年、9月。前年からソ連に侵攻していたドイツ軍は遂にスターリングラード市に侵入。"史上最大の市街戦"が始まった。迎え撃つソ連赤軍は、ドイツ軍の猛攻に次々に躯となって転がって行く。戦闘が一段落した。シャワーを浴びるドイツ軍将校たち。彼らは転がっている亡骸のひとつがゆっくり上に持ち上がったことに誰も気づいていない。躯の下から覗く鈍く光る銃口。遺体をカムフラージュにし、ソ連軍が誇る一級のスナイパーがドイツ軍を狙っていたのだ…
後に第二次大戦のターニングポイントのひとつとまで言われたこの攻防戦で活躍、レーニン勲章を授与された人呼んで"ソ連の伝説"ザイツェフ曹長、片や"ドイツの奇跡"トルヴァルト親衛隊大佐をモデルに「セブン・イヤーズ・イン・チベット」('97 アメリカ)のアノーが映画化したのが本作。元々スターリングラードは人口200万程度の単なる工業都市。ところがこの当時、国の財政が苦しいヒトラーにとっては、背後にあるアジアの油田獲得の足がかり。一方ルーマニア始め、3か国を巻き込んで枢軸国軍として防戦するスターリンにとっては破られたらお終いとなる最後の砦。最早この地は地政学的な重要拠点に変貌していた。ドイツ軍優勢で進む戦闘初期、事件は起こる。戦闘後の静けさの中、立て続けに将校が狙撃されたのだ。1人、また1人と餌食になる上官。優勢と言ってもこれでは無意味ではないか。恐怖と戦意喪失に陥るドイツ側。勝ちをものにしたいソ連側がひねり出した策が当たった。この当時はソ連側も激しい”粛清”を重ねて秩序をようやく保っている状態。疲弊から来る戦意喪失は避けたい所。そこで狙撃兵を使い、仕事が成功すれば表彰し、英雄として祭り上げて士気高揚を計ろうという訳だ。抜擢されたのはウラルの山で狼を撃っていた男、ヴァシリ・ザイツェフ。しかしドイツ軍もこれまた恐るべき実力者、非情の高級将校ケーニッヒ少佐を送り込んでくる。戦闘の現場から殆んどカメラが離れない語り口。しかも作られたヒーローであることに疑問を感じ始めるザイツェフ。この地で闘うことのみに意味を見出しているケーニッヒ。いつしか国家の命運をかけた最前線の死闘は”私闘”へと収斂して行く。「プライベート・ライアン」('98 アメリカ)以降を感じる戦闘シーンにアノーらしい官能的なシーンまでありとユニークな戦争映画だ。この攻防戦を描いた作品は数本あり。「スターリングラード」('93ドイツ=アメリカ)はご覧になりましたか?
おすすめ度 7点
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なかなか面白い切り口ですね。トラバさせてください。
2007/2/1(木) 午前 4:24 [ nagata ]