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前回は,韓国と北朝鮮の置かれた状況をゲームの木で表現し,そのゲームの木の見方を説明した。今回は,そのゲームの木を用いて実際にプレーヤー(韓国,北朝鮮)の行動を考えてみよう。

図1(前回の記事に掲示)が示す通り,行動の実際の手順は,まず韓国が行動を選択し,次に北朝鮮が行動を選択することになる。しかし,ゲームの木を用いた分析では,二番手である北朝鮮の行動を先に考える。この分析方法を後向き帰納法 (backward induction) という。

つまり,仮に韓国が「軍事訓練する」を選択した場合に,北朝鮮は「砲撃する」「砲撃しない」のどちらを選択するのかを初めに考えるということだ。

図1によれば,北朝鮮が「砲撃する」を選択した場合に獲得する利得はマイナス2であり,他方で「砲撃しない」を選択した場合に獲得する利得はマイナス1である。北朝鮮は,自らの利得が高い方の行動を選択すると考えられるので,「砲撃しない」という選択を採用するはずである。

北朝鮮が「砲撃しない」を選択することを前提(所与)として,次に韓国の行動を考えてみよう。韓国が軍事訓練を実施しない(「軍事訓練しない」)場合には,韓国が獲得する利得はゼロである。他方で,韓国が「軍事訓練する」を選択した場合には,北朝鮮は「砲撃しない」を選択するので,その場合に韓国が獲得する利得はプラス1である。つまり,韓国にとっては「軍事訓練する」が望ましい選択肢であることがわかる。

結局,図2が示すように,韓国が軍事訓練を実施し,それに対して北朝鮮は砲撃しない,という結果が実現することと考えられる。実際,黄海での韓国の軍事訓練はこれが初めてというわけではないが,それらの軍事訓練に対して北朝鮮が砲撃してきたことは無かった。それでは今回に限って北朝鮮が砲撃してきたのはなぜなのか。

上述の結果は,ゲームの木に示される利得構造に大きく依存することに注意が必要である。もし利得構造が変化すれば,両者の選択する行動は変化してしまうかもしれない。実際に,利得が一か所変化しただけでも,プレーヤー(韓国と北朝鮮)の行動はがらっと変わってしまう。

次回は利得構造の変化によって,韓国と北朝鮮の行動がどのように変化するのかを見てみよう。

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