|
≪受験者の実力が明確に順序付けられている場合≫
この場合には,各大学では実力順に上から10人が合格することになる。
先と同様に,まずは入試日程が同一である場合を考えよう。
この場合には,受験者の実力が拮抗している場合とは異なり,受験者の合格の確率が,受験者の実力に応じて異なるという(直観的と整合的な)結果が示される。
論点を明らかにするために,ここでは実力ランキング20位の受験者と21位の受験者について考察する。
受験者にとっては,どちらの大学も同じくらい魅力的なので,100名の受験者のうち,ランダムに選ばれた50名が大学Aを受験すると仮定しよう。
そこで,実力ランキング20位の受験者が大学Aを受験する場合を考えるとする。
この受験者が大学Aに合格するのは,大学Aの他の受験者49人の中に自分よりも高い実力の受験者が9人以下の場合,かつその場合のみである。
自分が大学Aを受験することを所与として,自分以外に大学Aを受験する49人の組合せは全部で【99C49通り】ある。
その49人の中に,自分よりも高い実力を持つ受験者が9人以下であれば,ランキング20位の受験者が大学Aに見事合格を果たせることになる。
自分よりもランキングの高い受験者が一人もいない場合というのは,大学Aの他の受験者49名全てが,自分よりもランキングの低い80名から選ばれている場合である。
このような場合の組合せは全部で【80C49通り】ある。
同様に,自分よりもランキングの高い受験者が一人しかいない場合というのは,大学Aの他の受験者49名のうち48名が,自分よりもランキングの低い80名から選ばれており,なおかつ,自分よりもランキングの高い19名から残りの1名が選ばれている場合である。
このような場合の組合せは全部で【80C48×19C1通り】ある。
このように,自分よりも実力の高い受験者が二人いる場合,三人いる場合,…九人いる場合を求め,全てを合計すれば,ランキング20位の受験者が大学Aに合格する場合を全て数え上げられる。
これらによって,実力20位の受験者が大学Aに合格する確率は約4.1%と計算できる。
この受験者が大学Bを受験したとしても,合格率は同様に約4.1%なので,結局,実力20位の受験者の大学合格率は約4.1%となる。
次に,実力が21位の受験者についても,合格率を同様に求めてみよう。
この受験者が大学Aに合格するのは,大学Aの他の受験者49人の中に自分よりも高い実力の受験者が9人以下の場合,かつその場合のみである。
先と同様にこの場合の総数を数え上げると,実力21位の受験者が大学Aに合格する確率は約1.0%と計算できる。
この受験者が大学Bを受験したとしても,合格率は同様に約1.0%なので,結局,実力21位の受験者の大学合格率は約1.0%となる。
ランキング21位の受験者の合格率が約1.0%というのはずい分と低い数値に見えるかもしれない。
しかし,これは正しくない。
このことを確認するために,次に入試日程が異なる場合を考えてみよう。
入試日程が異なる場合には,100名全ての受験者がまず大学Aを受験し,次いで(大学Aに合格しなかった場合に)大学Bを受験する。
各大学は,実力の高い方から順に10名を合格させるので,ランキング1位から10位の受験者は大学Aに合格し,11位から20位までの受験者が大学Bに合格するだろう。
つまり,実力20位の受験者は\textbf{必ず}(100%の確率で)大学に合格することになる。
他方で,実力21位の受験者は決して大学に合格することはない(合格率0%)。
つまり,ばらばら日程の入試日程とは,実力上位者にとっては厳しく,実力下位者にとってはチャンスのあるシステムだと言えよう。
|