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今日書くことは、以前もこのブログに書いた日記です
ただ、まだまだ一般的には野生動物の生態については知られていないため、恐らく今年も同じような悲劇が繰り返されると思いますので、物言えぬシカやノウサギの代理人として、毎年この文章は掲載し続けようと思います
さあいよいよ春真っ盛り!新緑が萌え小鳥達が恋の歌を歌うこの時期は、僕ら人間にとっても心がうきうき野山へ出かけたくなる季節
しかし、この時期は僕にとって、毎年人間の無知と勘違いにより、引き起こされる悲劇に心が痛む季節でもある
それは、迷子になった仔ジカと仔ウサギの保護という名の誘拐事件。テレビや新聞で毎年性懲りもなく、美談として報道されるのだが、実はシカとウサギには生後しばらくの間、赤ちゃんを茂みに一人で隠しておく習性がある。赤ん坊のシカとノウサギは、足腰が弱いためうまく母親についていくことが出来ない。そしてこの時期の赤ん坊はほとんど体臭が無く、しかも鹿の子模様が見事にカモフラージュしてくれて、犬も気付かずに横を通り過ぎるのだそうだ
ただそれが人間には、親に置き去りにされた迷子に見えてしまうのだ。だが、親はそう遠くないところにいて、夕方になると数時間ぶりの感動の再会をして授乳を行う。ウサギの場合は、非常に高栄養の乳であることもあり、親子の触れ合いは一晩に10分という徹底した放任育児を行うそうだ
一方、シカは母親が近づいてくると、茂みからヨチヨチと這い出してきて、おぼつかない足取りで必死で母親の後を付いて回る。僕はそんな様子を、野崎島で撮影のために潜んだブラインドテントの中から何度も見たことがあるが、実に微笑ましい感動的なシーンだ
だからこそ、人々が良い事だと勘違いして幼児略取誘拐をしてしまうこと、そしてそれが美談として報道されてしまうことに毎年非常に胸が痛む。
そこで僕は、小学校でのゲストティーチャーとしての自然に関する授業、非常勤講師として野生動物管理学の講座を持たせてもらっている専門学校の講義でこの問題について必ず話をさせてもらうことにしている。
今日は入学希望者対象の体験入学講義だったが、そこでも「今日は、みんなが大好きな野生動物を救うために、一つ勉強して欲しいことがあるんだ。そして帰ったら、一人でも多くの人に教えてあげてね」と話をさせてもらった。
皆、純粋に心底から動物が好きで大切にしてやりたいと思っているからこそ、真実を知って欲しいからだ
また、以前福岡RKB毎日放送局に「第三回映像勉強会」の講師として呼んでいただいた時も、僕が撮影隊に同行したり野猿公園などで取材中にたまたま目撃した、予算をケチるためや面白い映像を撮るために行われている数々の卑劣なやらせとともに「この悲劇を絶対に美談として放送しないでください」ということをお願いした
ちなみに、僕は栗林慧さんのアシスタント時代に苦い経験がある。近所の方が「可哀想に迷子がいたよ」とノウサギの赤ん坊を届けてきたのだ。その頃の僕は、ノウサギに関しての知識が全く無く、可哀想にと牛乳をやって世話をしたが、後で獣医さんからそれは最悪の対処法だったということを知らされた。脂肪分の多い牛乳を与えると、動物の赤ちゃんはすぐに下痢をして命取りになる。だからまずは脱脂粉乳を与えるべきだったらしい
しかし、ノウサギの乳の成分が非常に高カロリー高栄養であることを考えると、連れて帰った時点でその赤ちゃんウサギの運命は決まっていたと言えよう。僕は無知のため、その赤ちゃんウサギを数日で殺すことになってしまった。シカの場合は、そこまで弱くはないようだが、人になれたシカの野生への完全復帰は無理であろう。恐らく人間のそばから離れず、畑や植林地で餌をとるようになり、結局有害獣として駆除されてしまう運命が待っているのでは
では、元の場所に戻してやれば良いのかというと、そうはいかないのだ。シカの場合は、人が素手で触ることにより人間の体臭が付いてしまい、親が自分の子供だと識別できなくなり、結果的には全て母親に見捨てられ死んでしまったという報告がある。
ノウサギについては分からないが、たとえ親に見捨てられなくても、異臭を感じたイタチやキツネなどの天敵が放ってはおかないだろう
さらにお話しすると、日本野鳥の会が毎年全国キャンペーンとして行っている「雛を拾わないで」も同じことなのだ。野鳥は種類によっては、ほとんど飛ぶことの出来ない状態で巣立ちをする。僕は以前フクロウの巣立ちを追跡したことがあるが、知らない人が突然見た場合「巣から落ちた」と勘違いするくらい羽はほとんど生え揃ってなく、巣の中にいる時とほとんど変わらない綿毛の状態であった
当然そんな状態では、羽ばたいて飛ぶことが出来るはずも無い。しかしそばにはちゃんと親が付いていて、雛は枝に逆さ吊りになったり地面に落ちてしまったりしながらも、次第に山奥へと消えていった。フクロウだけではない。小鳥達もちゃんとそばで親が見守っていて、安全な場所へと雛を誘導しているのだ
と言うわけで、この時期藪に潜んでいる仔ウサギや仔ジカそして野鳥の巣立ち雛を、絶対に連れ帰ってはいけないこと分かっていただけましたでしょうか。そして、もし報道関係の方がこの文章をご覧になったら、幼児略取誘拐事件を美談として絶対に報道しないよう、ものを言うことの出来ないシカやノウサギのお母さん達の代理人としてお願いします
確かに、可哀想な迷子の動物や雛を助けてあげたいという優しい気持ちは大切なのですが、残酷なことに雛や幼獣たちは、人間に見つかった時点で、もう死ぬことがほぼ決まってしまうと思われるのです
恐らく飼育された動物は、人間に世話をされて体は大人並に育ったとしても、野生の厳しい世界で、餌を得ること、天敵の攻撃をかわすこと、同種の仲間との縄張り争いや恋の戦いに生き抜いて子孫を残すという知恵を身に付けることは不可能だろうと思われます。だって僕達人間にとっては、それは想像を絶する世界なのですから、誰もそれを教え込むことは出来ないでしょう。
だから大きくなった時点で「さあ、仲間が待ってるよ。森に帰れて良かったね」と野生復帰させることは、実際は仲間ではなく猛獣の群の中に「さあ餌におなり」って大きなヒヨコを放すようなものだと思うのです。
一度でも人間の手にかかった動物は、もう籠の中で死ぬまで一生面倒見るしかないんじゃないかなと思います
写真は皆、迷子ではない正常な状態の野鳥の巣立ち雛と、茂みにお母さんが隠している仔ウサギとバンビです。参考のために、モノクロ処理してみました。僕ら人間は、色が分かるのでたやすく見つけることが出来ますが、全色盲の捕食者(食肉獣)にはこういう風にカモフラージュされ見つけにくいのです
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私もよく虫仲間に言ってます。飼うということは、最後まで飼うのは当たり前で、自分に何かあったら、その生き物を殺す覚悟が必要だって。それが出来ない人は生き物を飼ってはいけない。
人が飼ったり栽培した時点でその生命は人の所有物になって自然から切り離されます。それが解らない人が増えてますね。
2010/5/15(土) 午後 11:16
今日、動物園に行ってきましたが「野鳥の子が落ちていても、拾わないで!親は近くに居てちゃんと世話をしますから」とあちこちに看板がありました!(動物園内に自然があり野鳥がいっぱい住んでいます)
ここの動物園はいいなぁと思いました。普通の家族が雛見つけたら、やっぱり拾って人間の臭い付けちゃいますよね><
こういう事実を報道してほしいですね。
2010/5/16(日) 午前 2:29
弱い動物なら、肉食獣に食べられて自然淘汰されるからまだ良いのですが、人が放した沖縄のやんばるの野猫やマングースは、天敵がほとんどいないため身を守る術を知らない、ヤンバルクイナやカエルなど在来の希少種を食べて大変なことになってますね。僕もネズミの調査で児童撮影装置を仕掛けたことがあるのですが、ネコが写ってましたよ
2010/5/16(日) 午前 8:29 [ TSUDAKEN ]
前知人から、出入りしている海辺の施設で、「カルガモのヒナが犬にやられるってことで保護されたのですが、どうしたら良いでしょう。親は周りを飛び回っていますって相談され、「すぐに戻してやってください」と答えたのですが、出入りしている人たちの間で、犬を放して散歩させる人がいるとかで意見が分かれ、喧嘩になったらしいのです。結局雛は死んでしまったそうです
犬やネコそして人に見つかったってことは、親が子を置く場所を誤ってしまったわけで、もうその動物は生存競争に敗れてしまったと思うのです。自然界では、その種が存続し続けるために弱い個体は死んで、強い遺伝子だけが残らなければいけないわけなので、もう放っておくかペットとして一生飼うかしかないですね
2010/5/16(日) 午前 8:44 [ TSUDAKEN ]
大変勉強になりました。
参考にさせていただきますと共に
知らない人に教えることで広めて生きたいと思います。
2010/5/19(水) 午後 7:33 [ まーくん ]
まーくんさん
なるべく自分の感情を入れずに、事実だけを冷静に書いたつもりです
シカやウサギそして小鳥達は、僕ら人間に抗議することは不可能なので、代わりに一般の皆さんにこの事実を伝えてもらえばありがたいです
2010/5/19(水) 午後 7:45 [ TSUDAKEN ]
人間がよかれと思ってやったことが、野生の動物たちにとっては命取りになってしまうのですね。知らないって恐いですね。教えてくれてありがとう!!それにしてもバンビも野うさぎもふくろうもみんな超かわいい!! みんなに見せてあげようっと。
2010/7/30(金) 午後 1:01 [ くみちゃん ]
くみちゃんさんは、あのベーシストのくみちゃんさんですか
ご訪問&コメントありがとうございます
野鳥や野生動物の子供は、本当に可愛いですね。でもだからと言って、僕等人間の感情を持ち込んで接するとかえって虐待になったり、時には命さえ奪ってしまうことになるんです
ペットや家畜と違って、野生動物とうまく付き合っていくのは本当に大変なことです
2010/7/30(金) 午後 9:42 [ TSUDAKEN ]
凄いですね!ベンガルトラには驚きました
凄い!凄い!
2010/10/16(土) 午前 5:48
あまりに突然の出会いだったので、虎はこの一枚しか撮れなかったのです。今度はネパール人の兄貴分と、インドの虎の巣窟へ行きたい
2010/10/20(水) 午前 7:56 [ TSUDAKEN ]