京日記 花がたみ

四季折々の 美しいものを 随筆で

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教林坊の紅葉

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               石の寺 教林坊



  ☆  安土町のかくれ里 ― 教林坊


滋賀県近江八幡市安土町といえば、 織田信長の安土城があった場所。

しかし、 その歴史は古く、 聖徳太子の時代にまで遡る。


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『 教林坊 きょうりんぼう 』 は、 推古13年 ( 605 ) に

聖徳太子によって創建されたと伝わる 古刹。

お寺の名となっている 「 教林 」 とは

太子が 「 林の中で教えを説かれた 」 ことに由来している。

石段を登ると、 境内入り口の総門が見えた。


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門をくぐると、 赤一色に染まる紅葉が目に飛び込んできた。

夢の世界に迷い込んだような、 別天地の様相を成している。

小道に沿って歩みを進める。


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生垣の奥に門が現れた。

旅人たちは皆、 ここで足を止め、 上空を仰ぎ見る。

「 はぁ〜〜〜。。。 」 という溜め息と笑顔があふれていた。


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境内のまわりを取り囲む竹林の緑と、 今を盛りと燃える紅葉の赤のコントラストが

目にまぶしく映る。

うっとりと見とれていると、 目の前をモミジ葉がスッと舞い散る。



  ☆  青年僧の挑戦 ― 荒れ寺復興


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ご住職の廣部光信師がこの寺に入られたのは、 今から15年前の

平成7年、 24歳の時のこと。

「 お化け寺 」 といわれ、 無住となり 朽ち果てていた 『 教林坊 』 

何もないところから、 ただ1人で始めた復興は

瓦を並べ直し、 柱を入れ替え、 雨漏りを止め、 土塀を取り替える手作業から始まった。


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竹林を切り開いて、 庭園を巡る道を作り、 土蔵の屋根は

琵琶湖のヨシで葺いた、 合掌造とした。

建具も取り替え、 竹垣も自分で作った。

「 若住職が毎日屋根に上ってがんばっておる 」 と噂になり

地元の人たちが協力してくれるようになった。


以来、 寺の復興は破竹の勢いで整備が進み

「 一生かかる 」 と思われていた再興は

1年足らずで、 ほぼ完成したのである。


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振り返る景色まで絵になる境内は、 散策するが楽しい。

「 これまで私が見てきた紅葉は 一体、 なんだったのか? 」

と思うほど、 驚くべき極上の光景が広がっている。



  ☆  究極の紅葉と聖徳太子


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日が射して 照るモミジ、 まるで極楽浄土の世界。

一瞬、 言葉を失う。

木の陰がストライプを描いていた。


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真っ赤なモミジは葉が大きく、 子どもの手の平ほどの大きさがある。

その赤は強く鮮やかで、 生き生きとしている。

上からも下からも照るモミジ。


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         九十九折れたずねいるらん石の寺ふたたび詣らな法の仏に
         

御詠歌に詠われた 「 石の寺 」 とは、 ここ 『 教林坊 』

「 困難な願い事も2度詣でれば叶う 」 と信仰を集めてきた。


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                                                 太子の説法岩

この苔むした大きな岩の上に座って、 聖徳太子が教えを説かれたと伝わる。

なんと神々しく 麗しい きらびやかな光の中だろう。

今にも太子の尊像が現れそうな、 予感を秘めた、 輝きの中にある。



  ☆  白洲正子の愛した庭


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随筆家の白洲正子氏が愛した寺。

その著書 『 かくれ里 石の寺 』 の中に、 こう記してある。
         

         ここで私の興味をひいたのは、 慶長時代の石庭で

         よく見ると、 それは、 古墳を利用してあるのだった。

         その石室の巨大な蓋石を、 そのまま庭石に使ってあるのだが

         不自然ではなく、 日本の造園の生い立ちといったようなものを

         見せられたような感じがする。
         

小堀遠州作と伝えられる庭は、 魅力がある。

岩を配置し、 高低差をつけ、 見事な 「 池泉観賞式庭園 」 に仕上がっている。


しかし、 それよりもなによりも 今観られる、 この紅葉である。

復興前の昭和44年1月に訪れた白洲正子氏が 

この様子をご覧になったなら、 なんと書くだろう。


1人の若き青年僧の挑戦が、 ここに結実した。

廃寺に情熱を注ぎ、 命を吹き込み、 生き返らせ

観音浄土世界を地上に再現して見せた、 夢幻の庭園。

ここは 秋の棲み家。 

雨のように舞い散るモミジに濡れながら、 私も錦の一部となる。


                                         ♪ ご案内 → 教林坊

                         

閉じる コメント(16)

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こんなに美しい場所が日本にあるのですね♪
見惚れてしまいます。
美しくて知らない所がいっぱいです(*_*)

2010/11/30(火) 午後 9:53 [ kuu*261 ] 返信する

kuu*261さま。
本当にこんなに美しい所にめぐり合えて、言葉を失いました。
私のこれまでの人生で最高の紅葉のような気がします。
モミジの木が天を突くほど高く、様々な種類があるのですが
特に、真っ赤で大きな葉のモミジには驚かされました。

このお寺は、観音正寺の塔頭寺院で、石馬寺と共に聖徳太子の開山。
繖 ( きぬがさ ) 山にあります。 信長に焼き討ちにされた一帯で
その昔は壮麗な寺院が数多く建ち並んでいたそうです。

2010/11/30(火) 午後 11:06 月の真珠 返信する

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こんばんは。教林坊へお行きになったのですね!。かれこれ6年ほど前、滋賀県の外郭団体の仕事で、県内観光スポットの写真を半年間撮り歩く仕事をしていたことがあります。同寺へは2度ほど訪れましたが、何と素晴らしい庭園!!。心躍らせながらシャッターを切ったのを覚えています。長らく無住だった寺を、若い住職夫婦が入寺して復興したと聞きます。とっておきの寺院ですね!
ポチッ!

2010/12/1(水) 午前 1:23 Rev.Ren'oh 返信する

Ren'ohさま。
素晴しい佇まいですね。
赤川観音さまもお不動さまも美しい仏様でした。
教林坊は昨年より訪れたいと思っていたお寺で
彦根在住の友人に案内していただきました。

あまりの美しさに、私も心躍らせながらシャッターを切りました。
まだ39歳のご住職。
15年前、新婚さんでこのお寺を復興されたそうです。
石馬寺さんも昨年29歳で入られたご住職。
湖東の古刹には、若き住職が情熱をもって、お寺を甦らせているようです。

近江は中世がそのままに残されていて、京都や奈良とはまた違った
深みや情趣があり、圧倒されます。
興亡を繰り返しながら、今もこうして歴史がつながっていることに
感激を覚えます。

2010/12/1(水) 午前 9:28 月の真珠 返信する

真珠さま、こんばんは☆ あまりに美しい真紅の紅葉と、素晴らしい随筆、何度も拝読させていただきました。
青年僧のひたむきな挑戦のお姿が、人々の心を動かし、一年足らずで荒れ寺を、紅葉きらめく見事な庭園に、姿を変えたお話。感動です!

50才にして能の舞台から去り、近江の山河を只一人、
旅された、白州正子さん。
常に日本と日本人の原点を求めての旅、
きっと、感嘆の声を上げられたことでしょう。
この紅葉を届けて差し上げたくなりますね。

いつにもまして、京都の奥深い芳香ただよう絢爛たるお写真の数々、ありがとうございました。

2010/12/1(水) 午後 7:48 リヤドロジョゼ 返信する

リヤドロジョゼさま。
こちらは京都ではございません。
白洲正子氏の愛した 『 教林坊 』 は、近江
滋賀県の安土町にあります。

復興を成し遂げた若きご住職は素晴しいですね。
夜間のライトアップも行われているようです。
地域のお年寄りが拝観受付を手伝っておられて、案内板の真下には取れたての白菜!
地元農家のお百姓のおじいさんが 「 買うてや!買うてや!2百円やで!買うてや!」
と参道にもいろいろと置いておられました。無人販売所です。

檀家さんを増やすのではなく、まずお寺のファンを増やしていこう!
と努力され、香道のお稽古場を開いたり、地域の人々が集まることのできる場所
とされた姿勢も、結果的に復興につながっていったのだと感じます。
「 お寺は住職次第 」 とつくづく感じた次第であります。

2010/12/1(水) 午後 8:52 月の真珠 返信する

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素晴らしい紅葉の景色にしばし言葉をうしないます。この世に出現した極楽浄土、極楽浄土そのものなのでしょう。目を閉じても余韻が残ります。ありがとうございました。

2010/12/1(水) 午後 10:13 [ momonohana ] 返信する

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おおっ!何と素晴らしい紅葉でしょうか。
日本でしか見られない、まさに日本の原風景。
どれも絵葉書になりそうな紅葉。アングルも最高。
住職さんの熱心さが、お寺の隅々に生きている。
そんな感じも受けました。
先週末に滋賀県方面に行ったのですが、
これを知ってたら、第一コースに入れてましたよ。
残念・・。
白洲正子さんの「かくれ里」には自分も感銘しました。
著書にある教林坊と石馬寺に、次回は足を運びたいと思います。
素晴らしい紅葉をありがとうございました。

2010/12/1(水) 午後 10:58 [ sat&sat ] 返信する

momonohanaさま。
伝わったようでうれしいです、ありがとうございます。
これほど美しい紅葉は、生まれて初めてのような気がしました。

また、京都や奈良と違って、人が少ないのです。
本来の風情をたっぷりと堪能する環境が、近江にはあります。
しかし、大河ドラマ 『 お江 』 の舞台。
近江・湖東、来年は寄りつけなくなりそうです。
この教林坊では、映画 『 最後の忠臣蔵 』 のロケも行われました。

2010/12/1(水) 午後 11:20 月の真珠 返信する

sat&satさま。
先週末に滋賀方面。。。 残念でした。
ぜひ! 貴方さまに訪れてほしかったです。

この紅葉は、私のこれまでの人生の中でNo.1かもしれません。
美しいとか 素晴しいとか 見事とか言うよりも、その次元を超えて
観音極楽浄土そのものでした。

ですから、私の手の平サイズの小さなデジカメでも、こんなに美しく撮れました。
光線もいい感じで庭に射したり落ちたりしていました。

石馬寺さんは昨秋訪れ、ご住職の西史観さまとお知り合いになりました。
30歳とお若い住職ですが、立派な方です! まっすぐで志の高い方。
この日も、教林坊のあと、石馬寺さまへお参りして、積もる話をしてきました。
昨年の模様は、こちらの記事です。もし、よろしければ、どうぞ。
→ http://blogs.yahoo.co.jp/tsuki_no_shinjyu/30987688.html

2010/12/1(水) 午後 11:28 月の真珠 返信する

真珠さま、こんにちは☆
コメント欄に京都と書いてしまい、大変失礼しました。
檀家さんの数より、お寺のファンを増やすために努められた結果、
お寺は、本当に、住職さん次第なのですね。
心の内に、ひしひしと生命力が溢れ出てきそうな、この紅葉。
今日も元気が出て参りました。

2010/12/2(木) 午前 11:15 リヤドロジョゼ 返信する

リヤドロジョゼさま。
白洲正子ファンでいらっしゃる、ジョゼさま。
いつの日にか教林坊へ足を運ばれる日が来ますように。
感性豊かな貴女さまなら、どう感じられることでしょう。。。

聞いた話によると、このあたり一帯のお寺に
白洲正子ソックリの扮装をし、大きな丸いサングラスをかけて
「 私は白洲正子よ 」 と、散策される女性がいるのだとか。
ファンもそこまで行くと、凄いですね〜。。。( 爆! )

2010/12/2(木) 午後 3:45 月の真珠 返信する

そっくりさんとは、それは又、すごいですね!(@_@)(*_*)

2010/12/2(木) 午後 4:05 リヤドロジョゼ 返信する

リヤドロジョゼさま。
めっちゃ!怖いです。(@_@)(*_*)

2010/12/2(木) 午後 4:14 月の真珠 返信する

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はじめまして、sat&satさんのブログからお邪魔しました。
志ある僧侶の存在を嬉しく拝見いたしました。
近江は一度も訪ねたことはありませんが、貴方様のブログを拝見して訪ねてみたくなりました。
寺の復興のお話にポチ☆ そしてお気に入り登録させていただきました、よろしくお願いいたします。

2010/12/3(金) 午前 0:48 さと蓮さと蘭 返信する

さと蓮さと蘭さま。
はじめまして、ようこそお越しくださいました。
ご訪問とコメントをいただき、ありがとうございます。
sat&satさまのブログからですか。
こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします。

最近、近江の魅力にはまっています。京都・奈良とはまた違った
古刹がたくさんあり、信仰がそのままの姿で息づいています。
心に染み入るようなところがたくさんあります。

2010/12/3(金) 午後 1:31 月の真珠 返信する

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