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銀の森の王国はテリドレアーネ王の長きに渡る治世で平和が保たれていた。王国の象徴でもある銀の森の風景は古来より変わらず美しかった。国は豊かに富み、諸国との争いもなく、民衆は皆偉大なる王に敬意と感謝を捧げてやまなかった。若くして王位に就き、文武に秀でた美しい王としてその名を世界に馳せたテリドレアーネ王は銀の森同様今も色褪せることのない稀有な美しさで人々を魅了していた。
だがそんな王国を築き上げたテリドレアーネ王にも不安や悩みがないわけではなかった。
「我が君・・・私に何か御用でしょうか?」
突然テリドレアーネ王に呼ばれた第一の側近エメリア伯爵は急いで王の間に駆けつけると静かに頭を下げた。
「遅い。エメリア伯・・・早急に来いと言ったはずだが・・・」
「申し訳ございません。急いで参ったつもりでしたが・・・」
不機嫌そうなテリドレアーネの様子にエメリア伯爵は慌てて頭を深く下げた。いつもは感情を面に出さない冷たい美貌を湛えたテリドレアーネ王であったが、長年王の傍に仕えてきたエメリア伯爵はその声色だけで王の機嫌を敏感に察することが出来た。
「ふっ・・・大方シェラ・ドーネのお守りに手を焼いていたのであろう?いい加減シェラ・ドーネを甘やかすのはやめにしろ。」
「そのようなことでは・・・」
シェラ・ドーネのことを指摘されてエメリア伯爵は思わず口籠った。シェラ・ドーネの世話をしていて遅れたことは紛れもなく事実であった。テリドレアーネの前で否定することも出来ず嘘を吐くことも躊躇われた。
「どうした?エメリア伯・・・いつものそなたらしくないな。」
「・・・?」
「それともそなたが相手していたのはクラウディスの方か?」
テリドレアーネ王が冷やかに笑みを浮かべたのを見て、エメリア伯爵の背中に冷たい戦慄が走った。テリドレアーネが王妃クラウディスと自分との仲をまだ疑っているのかと思うと激しい動悸がエメリア伯爵を襲った。
「我が君はまだお疑いなのですか?私は王妃さまとはもう・・・」
「関係がないと申すか?そなたがそのつもりでもクラウディスはどうなのだ?」
「それは・・・」
冷たい王の言葉にエメリア伯爵は返す言葉もなかった。正直クラウディスが自分のことをどう思っているのかはわからなかった。王家に仕える者として王妃にも自分なりに忠義を尽くしてきたつもりだった。王妃に求められれば何の躊躇いもなく情交を重ねた。それは絶大なるテリドレアーネ王を裏切る行為に過ぎなかったが、エメリア伯爵は背徳に溺れるつもりもなかった。
「女とは愚かなものよ。一度肌を合わせれば情が湧いてそれを愛だと勘違いする。そなたも罪作りな男だ。その若い肉体でどれだけ女を泣かせてきたのだ?」
「我が君にお許しを請おうなどとは思ってはおりませぬ。私は王家に仕える身なれば・・・ただ王妃さまの慰みにこの身を差し出したまで・・・そのことがお気に召さないと言うのであればいかようにも罰をお与えになればいい。私は逃げも隠れもいたしませぬ。」
「狡い物言いだな。エメリア伯・・・もうよい。私がそなたを呼んだのはそのことではない。クラウディスのことで今更そなたを咎めるつもりもない。」
王の言葉に一瞬ほっと胸を撫で下ろしたエメリア伯爵であったが、王が何の為に自分を呼んだのかわからず不安に包まれたままだった。
「エメリア伯・・・わからぬか?」
テリドレアーネの問いかけにエメリア伯爵は頭を悩ませた。
「もしやウルリカの件でございますか?そのことでしたら先日ご報告申し上げたとおり・・・」
「そのことはもうよい。ウルリカの神殿は聖域で斎の姫のことは何もわからぬと言うのであろう?ラジールにも不穏な動きがないとあれば責めることすら出来ぬではないか。」
「申し訳ございませぬ。ノアーレ公の周辺も探らせてはいるのですが何も掴めないままで・・・」
エメリア伯爵の脳裏にふと疑問が過った。テリドレアーネがウルリカの斎の姫の件を言っているのではないと気付いてエメリア伯爵は訝しげな顔を向けた。
「エメリア伯・・・私が気にしているのは他でもない。シェリークのことだ。」
思いがけない名前が王の口から出て、エメリア伯爵は驚いて目を円くさせた。
「シェリークさま・・・?でございますか?」
「ああ・・・そろそろあれも身を固めてもよい頃だ。」
「と申しますと・・・ご結婚でございますか?確か我が君はシェリークさまに結婚はまだ早いと申されて、ことあるごとに縁談をお断りなさっておいででは・・・」
「気が変わった。あれをいつまでも野放しにしてはおけぬ。」
エメリア伯爵は突然の王の方針に何が何だかわからず怪訝そうな顔をしたままだった。
「どういう心境の変化でございましょう?シェリークさまのご結婚は臣下たちも待ち望んでいることではございますが・・・」
「心境の変化・・・?」
テリドレアーネの眉間に深い皺が刻み込まれたかと思うと、突然杖の先を目の前に突き付けられてエメリア伯爵は身体を硬直させた。
「ふっ・・・私が何も知らないとでも思っておるのか?」
「一体・・・何のことでございますか?」
今にも杖で打たれそうな緊迫感にエメリア伯爵は身動きできないまま立ち尽くした。そんなエメリア伯爵を冷たく笑うと、テリドレアーネは杖の先でエメリア伯爵の顎を持ち上げた。
「シェリークが後宮に入り浸っているという噂は本当なのか?」
「それは・・・」
「しかも東の姫の下に出入りしているというではないか?エメリア伯・・・一体どういうことなのか説明してもらおうか?」
いつかテリドレアーネの耳に入るかと恐れていたことであったが、思っていたよりも早く嗅ぎつけられてエメリア伯爵は驚愕に慄いた。
「何を仰せかと思えば・・・東の姫はシェラ・ドーネさまの第二夫人でございます。そのようなことは・・・」
「ないと申すか?私の目は節穴だと・・・そう申すか?」
刺すような冷たい視線に見つめられてエメリア伯爵は返す言葉が出てこなかった。何もかもわかっていると言いたげなその銀色の双眸はエメリア伯爵の嘘までも全て見抜いているかのようだった。
「くっ・・・我が君は何処までご存じで・・・?」
「やはり噂は真実であったか?その女・・・シェラ・ドーネだけでは飽き足らずシェリークまでも誑かしているのか?まるで淫売ではないか。ファルド侯爵家の養女になったとはいえ、やはり侍女上がりの下賤の身・・・汚らわしいことこの上ない。」
「お待ちください。我が君・・・それではミーシャ夫人が一方的に悪いように聞こえます。」
エメリア伯爵は慌ててミーシャを庇った。ミーシャを取り上げるようなことをすればシェラ・ドーネが黙ってはいないだろう。そんな事態だけは避けたかった。
「そなた・・・その女を庇うのか?場合によっては姦通罪で捕らえられても仕方あるまい。」
「ですからお待ちを・・・そのことはシェラ・ドーネさまもご承知おきなれば罪に問われるようなことでは・・・」
「何・・・?今何と・・・?」
エメリア伯爵の言葉にテリドレアーネは眉間に皺を寄せた。聞き間違いかとテリドレアーネはエメリア伯爵を睨み付けるような視線を向けた。
「シェラ・ドーネさまがお許しになられたことなのです。お二人はミーシャ夫人のことでずっと争いが絶えませんでした。ですが漸く争いを止め、和解なさったのです。ミーシャ夫人を共有することでシェリークさまはシェラ・ドーネさまに従うと・・・そう誓いを立てられたのです。」
「馬鹿な・・・そのようなこと・・・シェラ・ドーネが許しただと・・・?」
「はい・・・シェラ・ドーネさまとシェリークさまは仲睦まじいご兄弟ぶりで・・・ミーシャ夫人といつも三人で楽しくお過ごしでございますれば・・・」
「・・・?!」
テリドレアーネは思わず絶句した。自分の息子たちがよもや一人の女を仲良く共有しているとは思いもよらぬことであった。
「我が君・・・どうかお二人のことをお許しくだいませ。全て私が責任を持ちますゆえ何卒・・・」
「ならぬ・・・」
「・・・?」
「そんなことが許されるとでも思っておるのか?そのようなことを認めてしまっては王家の恥だ。断じて許すわけにはいかぬ。」
テリドレアーネは震える拳を握り締めながら断固として認めようとはしなかった。
「シェリークを二度とその女に近付けさせるな。シェリークには一刻も早く結婚させる。相手は誰でもよい。そなたが責任を持ってシェリークに相応しい花嫁を見つけてくるがよい。」
「我が君・・・それではあまりにも・・・」
「私に逆らうのは許さぬ。これはそなたの監督不行き届きでもあるのだぞ。シェラ・ドーネが正妃である白の谷の姫を蔑にしていると言われても仕方あるまい。」
エメリア伯爵は返す言葉もなかった。テリドレアーネ王の言うことは尤もであった。シェラ・ドーネの評判が落ちるようなことはあってはならなかった。いずれシェリークも王族としての責任を果たすべく結婚して独立しなければならなかった。その為にはシェリークをシェラ・ドーネから引き離さなければならないことも重々わかっていた。
「よいな。エメリア伯・・・シェリークには今までのように好き勝手なことはさせられぬ。婚儀が無事決まるまで監視の目を怠るな。」
「御意・・・」
テリドレアーネの銀色の双眸に冷たく射竦められて、エメリア伯爵はただ頭を垂れて従うしかなかった。これ以上テリドレアーネを憤慨させて無理難題を押し付けられては堪らなかった。
やれ・・・困ったことになったものだ。やっとお二人の仲が修復されたかと安堵していたのも束の間・・・シェリークさまを結婚させるとなるとシェラ・ドーネさまも黙ってなどいまい。せっかく手懐けた愛玩具を取り上げてしまっては・・・それよりもシェリークさまにいかにして結婚話を勧めるか・・・それが問題だ。
エメリア伯爵に悩みは絶えなかった。額に落ちた金色の髪を指でかき上げると、思わず深い溜息が零れた。
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内緒さま
いつもたくさんのコメありがとうございますぅ!
実はずっとwikiで記事アップしてたんですが
wikiもなんか面倒だなと思ってそういえば簡単モードとか新しい機能あったよね?
と気付いて今回初めて挑戦を・・・(笑)
いつもワードで小説書いてそれをコピペしてアップしてたんだけど
wikiのときはそのままのサイズでいけたはずが簡単モードだと文字サイズでかっ・・・ってなってしまってサイズはちょっと小さく変更したんですが
フォントは変更できないみたいでワードで使ってる明朝体そのままコピペされてしまって
なんか目茶目茶読みにくくないですか?
また投稿しなおすのも面倒だったのでとりあえずアップしちゃいましたが
心機一転のつもりがなんだかですね(>_<)
それともっと早く物語進展させたかったのですが
3Pに思いのほか時間をとられてしまってすみません
この先怒涛の展開になるかも・・・?
エメリア伯はなんだかんだとテリドレアーネの崇拝者なので
テリドレアーネに責められると弱いのデスww
ほんとエロいシーンでもないのに萌えていただいて嬉しいですっ///
2012/6/20(水) 午後 10:53
内緒さま
続きですみません
ああもうそんなお褒めの言葉をいただくと赤面しちゃいます///
黒バスはほんと今期アニメの中でもやばいです
私の中ではもう黒子っちが総受けなBLゲームのようにしか見えない・・・キャッ///
萌えキャラ多いのでどのCPでも美味しいよね
pixivの黒バス祭はまじやばいっ
私もすっかりハマってますww
2012/6/20(水) 午後 11:04