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◆初めてお越しの方はトップページよりお入りください。 ◆R18ご注意ください。 その日の晩、クラウディスはなかなか眠れずにいた。寝台の中で昼間のテリドレアーネのことを考えてしまって眠れなかった。 そのとき寝所の扉が開く音がした。薄闇の中、静かな足音が自分に向かって近付いてくるのがわかった。足音はクラウディスの寝台の前で止まった。クラウディスが目を開けて見ると、そこにはテリドレアーネが立っていた。 テリドレアーネは無言のまま天蓋の中に入ってきた。寝台の軋む音が響いて、クラウディスの胸の鼓動は高まった。 テリドレアーネがこんなふうにクラウディスの寝台を訪れたのは久しぶりだったのだ。テリドレアーネはいつも突然現れてクラウディスを驚かせる。この日もクラウディスに心の準備など出来ていなかった。 「あっ・・・」 テリドレアーネに躯を触れられてクラウディスは思わず声を上げてしまった。 「クラウディス・・・」 テリドレアーネの甘く囁く声がクラウディスの耳元に響いた。久しぶりにそんな声を聞いてクラウディスの躯は震えた。テリドレアーネの手がクラウディスの躯を弄りだして、クラウディスは躯がどんどん熱くなっていくのが自分でもわかった。 「ああっ・・・あっ・・・」 繰り返される熱い抱擁と接吻にクラウディスの躯はすでに蕩けていた。クラウディスの躯はテリドレアーネを求めていた。しばらく忘れていた感触が呼び起こされ、無意識のうちにクラウディスはテリドレアーネを感じていた。焦らすように愛撫を楽しむテリドレアーネにクラウディスの躯はもう我慢が出来なくなっていた。 「クラウディス・・・私のことを許してくれるのか・・・?」 「王・・・?」 「そなたはまだ怒っているのかと思っていた。」 テリドレアーネはクラウディスの手を掴んで指に接吻した。そのまま指先や指の間を舌で舐られて、クラウディスは思わぬ感触に躯が震えた。 「あっ・・・」 「クラウディス・・・」 「もう来てはくださらないのかと思っておりました。私のことなどもうお忘れなのかと・・・」 「クラウディス・・・何故そんなことを・・?」 「あなたが私の手の届かないところへ行ってしまいそうな・・・そんな気がしてならなかった。」 クラウディスはテリドレアーネの腕の中にいてもまだ不安だった。手でテリドレアーネの肌に触れていてもどこか寂しかった。 テリドレアーネはクラウディスの額に落ちた乱れた金色の髪を指で掻き分け、そっと口づけを落とした。 「私はそなたのことを忘れはしない。その肌の温もりを・・・そなたの啼く声を・・・そなたの善がる顔を・・・どうしたら忘れることが出来る?」 「ああっ・・・」 テリドレアーネがクラウディスの腰を抱き寄せた。仰向けになったテリドレアーネの上にクラウディスの躯が重なって肌が密着した。少しでも躯を動かすと、お互いの下腹部が擦れあって熱くなった。クラウディスは堪らなくなってテリドレアーネの首筋から胸元に唇を這わせた。 「うっ・・・」 テリドレアーネの躯がピクッと動いた。テリドレアーネが感じているのがわかって、更にクラウディスはテリドレアーネの胸の突起に口づけをした。 「ああっ・・・クラウディス・・・」 クラウディスは夢中になってテリドレアーネの肌を求めていた。クラウディスはテリドレアーネが愛しくてならなかった。そんなクラウディスの愛撫にテリドレアーネも感じていた。テリドレアーネの長い銀色の髪が美しく乱れて、銀樹の甘くせつない香りがテリドレアーネを包んでいた。クラウディスはその香りに抱かれて酔い痴れていた。 「ああ・・・もっと・・・あなたを感じていたい・・・もっとあなたに抱いてほしい・・・」 クラウディスはテリドレアーネが熱くなっているのがわかると、上体を起こしてテリドレアーネの腰に跨った。クラウディスは躊躇いながらも腰をゆっくりと沈めた。 「あっ・・・ああっ・・・」 テリドレアーネの熱い牡に触れて、クラウディスは思わず声を漏らした。少し挿入させただけでクラウディスは苦しさに喘いだ。 「クラウディス・・・」 テリドレアーネの声に誘われるようにクラウディスはそのまま深く腰を沈めた。クラウディスに根元まで咥え込まれて、テリドレアーネも苦しそうに顔を歪めた。だがそれはやがて悦楽に変わり、テリドレアーネは恍惚とした表情を浮かべた。 「クラウディス・・・ああっ・・・」 クラウディスは我を忘れて腰を動かしていた。中で擦られる快感に背筋に戦慄が走った。 クラウディスの花はたちまち蜜を溢れさせた。滑った音が寝台の中で淫らに響いていた。 テリドレアーネの昂ぶった熱い塊はクラウディスの中で更に熱く蕩けそうになっていた。クラウディスも我慢できなかった。縋るようにテリドレアーネに腕を伸ばしていた。その手をテリドレアーネが掴むと、掌を合わせて指を絡めあい握り込んだ。そのままテリドレアーネはクラウディスを引き寄せた。 「あああっ・・・」 クラウディスはテリドレアーネに奥まで深く突き上げられて躯を仰け反らせた。クラウディスの腰に思わず力が入って、テリドレアーネもその刺激に一瞬顔を歪めた。クラウディスの腰は痺れて思うように動けなかった。 「あっ・・・もう・・・お願い・・・」 テリドレアーネはしどけないクラウディスを見て笑みを零した。 「おいで・・・クラウディス・・・」 テリドレアーネはクラウディスを抱き寄せ唇を重ねた。テリドレアーネに唇を吸い寄せられ口腔を舐め尽されて、クラウディスは全身の力が抜けそうになっていた。そのままテリドレアーネに身を委ねると、テリドレアーネは腰を突き上げて途端にクラウディスの中を熱で溢れさせた。 「うっ・・・んんっ・・・」 繋がったままテリドレアーネはクラウディスの唇を離そうとしなかった。クラウディスもテリドレアーネに抱きついたまま離れられなかった。テリドレアーネの胸に抱きかかえられたままクラウディスは至福の時を感じていた。 ああ・・・まだテリドレアーネの心は私から離れていない・・・私はまだこの方の妻でいられる・・・ クラウディスはそんな安心感を覚えてテリドレアーネに抱かれて眠りについた。 それからしばらくしてクラウディスは懐妊し、翌年には男子を出産した。 両性体ではなく完全な男子であったが、テリドレアーネと同じ銀色の髪と瞳を持った美しい王子であった。王子はマテアスと名付けられ、皆から可愛がられた。 「しかしさすがはラジールの女子はお身体も丈夫のようですな。虚弱なわが国の姫君たちとはお身体の出来が違うようじゃ。」 「さよう。これほど我が君のお子がお生まれになるとは思ってもおりませんでした。」 「大体我が君とお妃は不仲であったという噂は嘘であろう?我が君がかように愛妻家であられたとは・・・」 「ですが我が君ほどのお方が王妃以外に愛人もお持ちにならないとは・・・先代の王は妾妃や愛人を何人もお作りになられておいででしたが、我が君にそのような浮いた話は全くござらぬ。」 「それはラザの王女がよほど魅力的であったということですかな?」 臣下たちは声を上げて笑っていた。王子の誕生を皆喜んではいたが、クラウディスの出産に驚きを隠せないでいた。 銀の森では一人の女性が産む子供の数は一人か二人が普通であった。それは虚弱な体質のせいでもあったが、クラウディスのように一人で四人の子供を産む女性は珍しかったのだ。 元々この国では子孫繁栄の為に一夫多妻が認められていた。愛人すら作ろうとしない王のことをラジールに遠慮して王妃に頭が上がらないのではないかと囁く声もあった。だがそんな臣下たちの噂を気にすることもなく、テリドレアーネはクラウディス以外の女性には興味を示さなかった。 元々人に興味を持つことがなく人付き合いが苦手な王にとって、クラウディスは唯一身も心も許せる存在であったのだ。 クラウディスは太陽のような存在だった。テリドレアーネの空虚な心を満たしてくれるのがクラウディスであった。クラウディスは時に母であり姉であり妹であり、友人であり恋人であり妻であった。その全てを満たして温かく包んでくれるのがクラウディスだった。テリドレアーネ自身そのことに気づいてはいなかったが、クラウディスが自分にとって必要なものだということはわかっていた。 銀色に煌く孤高の月は今宵も静かに銀樹の森を美しく照らしていた。 そして月日は静かに流れて、銀の森に幾度と季節は廻った。 *「外伝 銀の森 第三章 月と太陽」をご愛読いただきましてありがとうございました。 続きは「外伝 銀の森 第四章 籠の鳥」でお楽しみください。 |
第三章 月と太陽
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◆初めてお越しの方はトップページよりお入りください。 「最近王はいかがいたした?お見かけせぬがどこか具合でも・・・?」 クラウディスは揺籃で眠るアデリースを眺めながら侍女に尋ねた。 「あの・・・」 侍女は言いにくそうに口を噤んだ。 「どうしたのです?王はどこかお悪いのか?」 「いえ・・・そうではなく・・・近頃はライナさまに会いに行かれているとお聞きしておりますが・・・」 クラウディスは侍女の言葉に耳を疑った。 「ライナ・・・?」 「はい・・・王はライナさまのお部屋によく足を運ばれていると・・・」 クラウディスは愕然とした。まさかライナに会っているとは思わなかったのだ。ライナは王の娘なのだから会っていても何の不思議もないはずであったが、クラウディスの中を一瞬不安な影が過ぎった。 最近王がアデリースに会いに来ないでライナに会いに行っているのかと思うと、クラウディスはどこか悲しく胸が苦しかった。 やはりテリドレアーネはまだ亡くなったレティシアのことが忘れられないでいるのだ。私が産んだアデリースよりもレティシアが産んだライナのほうが大事なのだ。 クラウディスはそう思うと躯が震えた。こみ上げてくる涙を必死で堪えていた。 だがクラウディスは気丈であった。二人の両性体の王子と一人の王女を産み育てている母親としての自覚がクラウディスをより強くさせた。子供たちのことを考えているだけで慌しく日々の時間は過ぎていった。日に日にテリドレアーネと会う時間は少なくなっていったが、クラウディスはそれを寂しいとは思わなかった。 自分には三人の子供がいる。この子達に囲まれていれば自分は幸せなのだ。 クラウディスは自分にそう言い聞かせていた。 そうして一年が過ぎた。シェラ・ドーネ王子は五歳に、シェリーク王子は四歳に、アデリース王女は一歳の誕生日を迎えていた。 アデリースは立って歩けるようになり、言葉もようやく発することが出来て可愛い盛りであった。 だが相変わらずテリドレアーネはクラウディスの産んだ子供たちに顔を見せることは少なかった。 「王・・・アデリースを抱いてはくださらないのですか?この子はあなたのお子なのです。この子だけではありませぬ。シェラ・ドーネもシェリークもあなたのお子なのです。もう少し可愛がってやってはいただけませぬか?」 「急にどうしたのだ?クラウディス・・・そなたがそんなことを言うとは・・・子供たちの養育はそなたに任せると言ったはずだ。」 「そんなことを言っているのではありませぬ。私はただあなたに父として子供たちに愛情を注いでほしいと・・・」 「私に一体どうしろと・・・?私に父親らしくしろとでも言いたいのか?」 テリドレアーネはクラウディスが何を言いたいのかわからず苛立った顔をした。 「子供たちにもやさしくしてほしいのです。その手でやさしく触れてやってほしいのです。」 「クラウディス・・・?」 「あなたはライナのことはあんなに可愛がっていらっしゃるのに、どうして私が産んだ子たちにはやさしくしてくださらないのですか?」 「・・・?!」 テリドレアーネはクラウディスの言葉に驚きを隠せなかった。そのことに自分でも気づいていなかったのだ。 「私が何も知らないとでも思っていらしたのですか?あなたがライナに会いに行かれていることを・・・私が知らなかったとでも?でも私はそのことを責めているのではありませぬ。ライナと同じようにこの子のことも愛してほしいのです。」 クラウディスは思わず堰を切って、言うつもりでなかったことまで言葉に出してしまっていた。 これは嫉妬だ。私は嫉妬している。まだ幼い子供のライナに妬いているのだ。 クラウディスはそんな自分を羞恥した。 「すまない・・・クラウディス・・・そなたがそんなことを思っていたとは・・・」 テリドレアーネは申し訳なさそうにクラウディスを見た。 そんなつもりではなかったのだ。テリドレアーネはただライナのことが気がかりで会わずにはいられなかっただけなのだ。そのことでクラウディスを苦しめていようとは思いも寄らなかった。 アデリースはテリドレアーネを怯えるように見つめていた。テリドレアーネはアデリースにそっと手を伸ばした。 「おいで・・・アデリース。」 テリドレアーネはアデリースの両脇に手を差し入れて持ち上げると、自分の胸に抱きかかえた。アデリースは不思議そうにテリドレアーネを見つめていた。テリドレアーネがやさしい笑みを零したので、アデリースは安心したのか笑い出した。するとアデリースは突然テリドレアーネの長い銀色の髪に手を伸ばして引っ張り出した。いきなり髪を引っ張られてテリドレアーネは顔をしかめた。 「クラウディス・・・この子はお転婆だな。そなたにそっくりだ。」 「私はあなたの髪を引っ張るようなことはいたしませぬ。」 クラウディスは顔を紅くして言い返した。テリドレアーネはそれを見て微笑んだ。 「そんなところが可愛いのだ。アデリースはよい子になるぞ。そなたに似て賢そうな顔をしている。」 テリドレアーネははしゃいでいるアデリースの柔らかな頬に唇を寄せていた。それを見たクラウディスは胸を撫で下ろしていた。 ああ・・・テリドレアーネはこの子のことを嫌っているわけではなかったのだ。私の思い過ごしだったのだ。 クラウディスにいつのまにか穏やかな笑顔が戻っていた。 |
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◆初めてお越しの方はトップページよりお入りください。 シェリーク王子誕生から二年後、クラウディス王妃は王女を出産した。 王女はアデリースと名付けられた。銀の森の王族を象徴する、輝くような銀色の髪と銀色の瞳を持って生まれた美しい女の子であった。 「さすがにもう両性体は無理であったか?そなたは賢い。国の為には王女も必要だ。よくぞよい子を産んでくれた。」 「王・・・喜んでくださるのですか?王女でも許してくださるのですか?」 「無論だ。クラウディス・・・私はそなたが無事に子供を産んでくれればそれでいい。それ以上は望まぬ。」 テリドレアーネの言葉にクラウディスは思わず涙を零した。 クラウディスは生まれたのが両性体の王子でなかったのをテリドレアーネがてっきり落胆しているのかと思っていたのだ。 「どうかよくご覧になって・・・あなたに似た王女です。」 「似ているのは髪と瞳の色のせいだろう・・・顔立ちはそなたに似ている。クラウディス・・・そなたに似て美人だ。気の強そうなところも・・・」 テリドレアーネが喜んでいるのがわかって、クラウディスは安堵した。クラウディスは幸せを噛み締めていた。 銀の森の王城は平和であった。二人の王子と一人の王女に恵まれたテリドレアーネ王とクラウディス王妃に誰もが祝福し、国の未来は明るかった。 そんな穏やかなある日の午後、テリドレアーネは一人で庭を歩いていた。何かに誘われるようにテリドレアーネはただ歩いていた。 そのとき突然木の茂みから何かが飛び出してきた。 「レティシア?!」 テリドレアーネは思わず叫んだ。だがレティシアが生きているわけはなかった。 では、今目の前にいるのは幻か・・・? よく見ると確かにそれはレティシアによく似てはいたが、まだ幼い少女であった。レティシアであるはずがない。テリドレアーネがかつて愛した異母妹のレティシアは何年も前に亡くなっている。 テリドレアーネは夢を見ているのかと思った。その少女はレティシアと同じ白金の髪と銀色の大きな瞳を持っていた。少女は立ち止まって、じっとテリドレアーネを見つめていた。 「ライナさま。お昼寝の時間ですよ。隠れてないで出て来てくださいな。」 遠くで侍女の呼ぶ声がした。その少女を捜しているようであった。 「ライナ・・・?」 その名にテリドレアーネは驚いていた。テリドレアーネはライナと呼ばれた少女をもう一度眺めた。その小さな手には少し古びた人形が大事そうに抱えられていた。その人形にはテリドレアーネも見覚えがあった。着せている衣装は新しいものに取り替えられているようであったが、それはかつて異母妹のレティシアが大事にしていた少女人形に間違いはなかった。 そうか・・・ここは以前レティシアが使っていた部屋の近くだ。ではこの子はやはり・・・ テリドレアーネの姿に気付いた侍女が慌ててその場で跪いた。 「よい。顔を上げよ。そなたはこの子の侍女か?」 「は、はい・・・ライナさまのお世話をずっとさせていただいております。」 まだ歳若い侍女はテリドレアーネ王を前にして顔を上げることも出来ず、平伏したまま答えた。 「そうか・・・ライナか・・・驚いた。もうこんなに大きくなっていようとは・・・」 以前ライナに会ったときはもっと幼かった。まさかこんなふうに成長しているとはテリドレアーネは夢にも思っていなかった。 テリドレアーネは不思議そうな顔をして立ち尽くしているライナの前に跪くと、その両手を握った。 「ライナ・・・歳はいくつになった?」 ライナは恥ずかしそうに指を広げた。 「五歳・・・」 可愛らしい声が返ってきた。テリドレアーネは胸を撫で下ろした。この子は自分の声で話せるのだ。ライナを産んだレティシアは赤子のときの熱病が原因で声帯を失い、声を出して話すことが出来なかった。 「そう・・・五歳か。お利口だな。ライナは・・・」 やさしく話しかけるテリドレアーネをきょとんと見つめたまま、ライナはまるで人形のように動くことも出来ずに立っていた。 「私が誰だかわかるか?」 ライナは恥ずかしそうに頷いた。 「では言ってごらん。私は誰だ?」 ライナは少し考えてから恐る恐る答えた。 「おとうさま・・・?」 それはたどたどしい言葉だったが、確かにライナはテリドレアーネのことを「お父様」と呼んだのだ。 テリドレアーネは遠い日のことを思い出していた。テリドレアーネが初めてレティシアにこうして話しかけたときもライナと同じ五歳の頃だったのだ。テリドレアーネはすっかりレティシアの忘れ形見であるライナのことを忘れてしまうところであった。 しかしなんという偶然であろうか?これはきっとレティシアが私をライナに引き合わせてくれたに違いない。 テリドレアーネは思わずライナの背中に腕を廻して抱き締めていた。 「すまない。ライナ・・・私を赦してくれ。そなたがこんなにレティシアに似ていようとは思わなかった。レティシアが私の為にそなたを残してくれたというのに・・・」 「おとうさま・・・」 ライナは小さな手でテリドレアーネの頬に触れた。テリドレアーネの頬は零れ落ちた涙で微かに濡れて光っていた。 「泣いているの?どうして泣いているの?」 かつてレティシアもテリドレアーネの頬に触れて同じようなことを言ったのだ。まるでレティシアが生き返ったような気がした。 テリドレアーネはライナの柔らかな髪をやさしく撫でた。 「そなたが可愛いから・・・涙が出るほどそなたが可愛いから・・・」 テリドレアーネはライナを抱き締めたまま、ライナの頬にそっと口づけをした。 ライナは何故自分が抱き締められているのかよくわからなかったが、テリドレアーネの温かな胸と優しい声に安心してそのまま大人しく抱かれていた。気がつくとライナはすやすやと気持ちよさそうにテリドレアーネの腕の中で眠っていた。それは穢れを知らないあどけない寝顔であった。 テリドレアーネはライナを抱き上げると、ライナの部屋に向かって歩き出した。傍で控えていた侍女が慌ててライナの昼寝用の部屋を案内した。部屋でライナの帰りを待っていた侍女たちがライナを抱きかかえたテリドレアーネ王の姿を見て一斉に道を空けた。間近で王に会うことなどほとんどない侍女たちは美しい王を目の当たりにして慌てふためいていた。 「すみませぬ。お昼寝の時間でしたので急に眠くおなりになったのでしょう。」 侍女はライナの寝台を整えながら、ライナを寝かしつけた。その寝顔は天使のようであった。侍女はライナの眠る横にライナが持っていた人形をそっと置いた。 テリドレアーネが不思議そうにその人形を見たので、傍にいた侍女が恐る恐る声を出した。 「この人形はライナさまのお気に入りなのです。ずっといつも一緒で片時もお放しになりませぬ。」 「それはレティシアの人形だった・・・」 「はい・・・新しい人形もご用意したのですが、ライナさまは何故かその人形をいたくお気に召されて・・・ですがあまりに古く痛んでおりましたので、奥方さまがライナさまの為に新しい衣装をお作りになられて・・・」 「・・・?」 「あっ・・・すみませぬ。私ったら出過ぎたことを・・・」 侍女の話でテリドレアーネはレティシアの母がライナの為にその人形を与えたのだとすぐに察した。 幼いながらもライナには亡くなったレティシアのことがわかるのだろうか。やはりまだ小さなライナは見たこともない母親が恋しいのだろう。かつてレティシアが大事にしていたその人形に母親の温もりを感じているのだろうか・・・ テリドレアーネにふとそんな想いが駆け巡った。母親を知らぬライナが不憫でならなかった。 「そなたたちにも面倒をかけるが、これからもライナのことをくれぐれも頼む。」 思いがけないテリドレアーネの言葉に侍女たちは驚き平伏した。 いつも冷たい美貌で臣下たちからも近付きがたいと恐れられている天下の王に直々にやさしく声をかけられたのだ。テリドレアーネが穏やかな笑みを浮かべているのに気付いて、侍女たちは皆呆然と美しい王に見蕩れていた。 それからもテリドレアーネは時々ライナに会いに来た。ライナの顔を見るのが楽しみだった。それはまるでレティシアと過ごした遠い過去に戻ったような不思議な錯覚を呼び起こした。あの頃の自分に戻っているかのようなどこか懐かしい想いで満たされていた。 |
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◆初めてお越しの方はトップページよりお入りください。 ◆R15ご注意ください。 それからもテリドレアーネはクラウディスに会っては何処であろうと昼夜を問わずに躯を求めてきた。それが庭の中や回廊でもテリドレアーネは気にすることはなかった。 クラウディスはテリドレアーネから逃れられなかった。いくら抗ってみてもテリドレアーネの胸に抱き締められると、それだけでクラウディスの躯はテリドレアーネを許してしまい受け入れてしまうのだった。 だが自分が本当にテリドレアーネに愛されているのか、クラウディスにはまだわからなかった。ただ寂しさを紛らわす為だけの欲望のはけ口にされているような気がしてならなかった。クラウディスはまだ一度もテリドレアーネの口から好きだとか愛しているとか言われたことがないのだ。それなのにテリドレアーネはクラウディスを執拗に抱くのだ。 クラウディスにはわかっていた。テリドレアーネの中にはまだ愛するレティシアが住んでいて、そこに自分の入る余地などないのだということを。それでもクラウディスはテリドレアーネを拒むことなど出来なかった。クラウディスはいつかテリドレアーネが心から自分のことを愛してくれるときが訪れることを願うしかなかった。 そして月日は流れた。 クラウディスは懐妊していた。シェラ・ドーネ王子を出産してまだ一年にも満たないというのにあまりに突然なことで城中は騒然とした。 知らせを聞いたテリドレアーネは笑っていた。 「さすがはクラウディス。思ったよりも早かったな。次も王子が生まれるのか楽しみではないか。」 クラウディスは愕然とした。 そうだ。テリドレアーネは本当に私が両性体の王子が産めるのか試してみたかっただけなのだ。テリドレアーネにとって私は子供を産む道具でしかないのだ。 クラウディスはそんなことを思うとつい抑えきれずに涙を零していた。 「クラウディス・・・?」 テリドレアーネはクラウディスの涙に気付いて声をかけた。 「具合でも悪いのか?」 テリドレアーネに思いがけない優しい言葉をかけられて、クラウディスの目からは止めどなく涙が溢れ出した。 テリドレアーネはクラウディスの横に腰を下ろして、やさしく肩を抱いた。そしてクラウディスの頤に手を添えると、テリドレアーネは口唇を重ねた。それはやさしい口づけだった。 何故テリドレアーネはこんなふうに私を融かしてしまうような口づけをくれるのだろう。何故テリドレアーネの唇はこんなにもやさしくて・・・テリドレアーネの舌はこんなにも甘いのだろう・・・ テリドレアーネの唇が離れたとき、クラウディスの胸は熱くなっていた。 「そんなにやさしくしないで・・・」 クラウディスは自分がどうしていいのかわからなかった。テリドレアーネはそんなクラウディスをじっと見つめていた。 「自分が惨めになるから・・・私のことを愛してもいないのに・・・そんなふうに私を見ないで・・・」 テリドレアーネは微かに笑った。 「私がそなたにやさしくしてはいけないのか?私は愛してもいない女を抱いたりはしない。」 テリドレアーネはクラウディスを胸に抱き寄せた。クラウディスは耳を疑った。 「聞こえなかったのか?私は愛してもいない女は抱かないと言ったのだ。」 クラウディスはまだ信じられなかった。その言葉の意味をすぐに理解出来なかった。 「また私のことをからかって・・・」 テリドレアーネはクラウディスの言葉を遮るようにクラウディスの口唇を塞いだ。それは深く激しく狂おしいまでに熱い接吻だった。躯の芯まで蕩けてしまいそうな濃厚な口づけにクラウディスは気を失いそうになりながら、やっとの思いでテリドレアーネに縋りついた。 「あっ・・・ううっ・・・んんっ・・・」 クラウディスは感じていた。テリドレアーネの口づけが自分を愛しているのだと訴えかけるように何度も唇を重ねてくる。クラウディスはそれがテリドレアーネの自分への愛し方なのだとわかって一層躯が熱くなった。 何故今まで気付かなかったのだろう。こんなにもやさしく、時には狂ったように抱かれながら、どうしてテリドレアーネの心に気付かなかったのだろう。 テリドレアーネの唇がクラウディスから離れても、クラウディスはまだ喘いでいた。 「クラウディス・・・そなたには言葉で言っても信じてもらえないと思っていた。躯を重ねればそなたはわかってくれると思っていた。」 「わかりませぬ・・・そんなこと・・・私にはあなたのことなど・・・」 テリドレアーネはクラウディスを思い切り抱き締めていた。胸が締め付けられて苦しくなるほどテリドレアーネはクラウディスを抱き締めていた。 そうだ・・・テリドレアーネは愛しているとかそんな言葉を簡単に言うような人ではないのだ。言葉ではなく行動で示す人なのだ。 クラウディスは男というものをよく知らなかった。初めての男が結婚相手のテリドレアーネであったのだから無理もなかった。ラジールにいた頃は兄のセラフィスをはじめ周囲には口の軽い男が多かった。男たちは好きな相手には皆平気で愛を囁くものだと思っていた。だがテリドレアーネはそうではなかったのだ。それゆえクラウディスは自分がテリドレアーネに愛されていないのだと思い込んでいた。 「クラウディス・・・」 テリドレアーネはクラウディスの首筋にかかった金色の髪を指で掻き分けると、項に口づけを落とした。 「ああっ・・・」 クラウディスの首筋に痺れるような快感が走った。テリドレアーネはそのままクラウディスの細い首筋に唇を這わすと耳の裏側を舌で擽った。クラウディスはそれだけで躯が震えて甘い疼きが躯の奥から湧き上がってくるのを感じた。 「クラウディス・・・」 テリドレアーネの少し掠れた低い声がクラウディスの耳元で甘く囁いた。その熱い息遣いまでも近くで感じてクラウディスの肌は震えた。追い討ちをかけるようにテリドレアーネは耳の形を舌で舐って耳朶を何度も甘噛みした。クラウディスは思わず甘い吐息を漏らした。 「はあっ・・・んん・・・」 クラウディスは我慢出来なくてテリドレアーネの頬に手を伸ばした。自分でも信じられなかった。クラウディスはテリドレアーネの顔を自分に引き寄せると、テリドレアーネの唇を啄ばんだ。そのままテリドレアーネの唇を味わうように自分から舌を差し出した。テリドレアーネは一瞬驚いたが、すぐにクラウディスに応えるように舌を絡めた。 クラウディスはテリドレアーネの首に腕を絡ませて、更に躯を押し付けるようにテリドレアーネを抱き締めた。クラウディスに激しく攻められてテリドレアーネのほうが押し倒されそうになっていた。テリドレアーネはそんなクラウディスを見るのが初めてだった。 クラウディスの艶かしさについテリドレアーネも夢中になって貪るようにクラウディスの接吻を味わった。 「んんっ・・・クラウディス・・・」 テリドレアーネに口づけをされて、放心状態だったクラウディスは突然我に返った。クラウディスは慌ててテリドレアーネから躯を離そうとした。 「ああっ・・・すみませぬ・・・」 顔を紅くして目を逸らしたクラウディスにテリドレアーネは微笑んだ。 「何故謝る・・・?そなたがこんなに気持ちよくさせてくれるとは思わなかった。これがそなたの本当の姿か?今まで私に隠していたのか?」 「ごめんなさい・・・そんなつもりじゃ・・・」 「クラウディス・・・そんな淫らな躯で言い訳する気か・・・?」 「あっ・・・」 テリドレアーネはクラウディスを背中から抱き締めると首筋に口づけをした。 「そなたは強い・・・よい子を産め・・・私の為にたくさん産むがいい。」 クラウディスはそのときテリドレアーネの愛を実感した。自分は紛れもなくテリドレアーネを愛しているのだと確信した。 そして翌年クラウディスは二人目の子を産んだ。 生まれたのは両性体の王子であった。もはや奇跡とは言えなかった。 しかし王子は両性体でありながら銀の森の王族らしからぬ金髪と碧い瞳であった。それはテリドレアーネではなくクラウディスと同じ髪と瞳の色であった。 人々は複雑な気持ちであった。銀の森の王族の象徴たる銀色の髪と瞳を持たないことは、たとえ両性体であってもあまり喜ばしいことではなかった。 クラウディスはそのことを知って悲しんだ。臣下たちの不安をよそに、テリドレアーネはクラウディスに似た子が生まれたことを喜んでくれた。クラウディスはそれだけが救いだった。 生まれた王子はシェリークと名付けられた。シェリークは先に生まれたシェラ・ドーネと同じように大事に育てられた。 それは銀の森に新しい時代の訪れを予感させた。 |
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◆初めてお越しの方はトップページよりお入りください。 ◆R18ご注意ください。 シェラ・ドーネ王子が誕生してから数ヶ月が過ぎ、銀の森の王城もその騒動からようやく平静を取り戻していた。 ある日の昼下がり、王子が気持ちよさそうに眠っているのを眺めていたクラウディスは、ついうとうとと自分も眠りかけていた。ふと足音に気付いて顔を上げたクラウディスの前にはテリドレアーネ王が立っていた。 「すまない。起こしてしまったようだな。」 「王・・・?」 突然の王の来訪にクラウディスは驚いて飛び起きた。 「お声をかけてくださればいいのに・・・あなたはいつも黙って入ってくるのですね。趣味の悪いことをなさる。」 クラウディスは不機嫌そうにテリドレアーネを睨んだ。 「ここは私の城だ。誰に遠慮がいる?それに王子の顔ぐらい見に来るように言ったのはそなたではなかったか?」 「確かにそう言いましたが・・・」 クラウディスは困って言葉に詰まってしまった。だがテリドレアーネはそんなことなど気にする様子もなく、揺籃で眠る王子の顔を覗き込んでいた。いつになく穏やかな瞳でテリドレアーネは王子を見つめていた。すくすくと元気に育っているシェラ・ドーネを見て、テリドレアーネも安心しているようだった。 「不思議なものだな。まさかそなたが両性体の王子を産むとは思ってもみなかった。しかも私と同じ銀色の髪と瞳を持って生まれてくるとは・・・」 クラウディスも同じことを考えていた。レティシアが産んだテリドレアーネの子は銀の森の王族の血を濃く受け継いでいるにも関わらず、両性体ではなく王女として生まれた。しかもレティシアに似て瞳は銀色であったが、髪は淡い白金であった。ラザの王女である自分がテリドレアーネのような子を産めるとは思ってもみなかったのである。 「ただの偶然ですわ。運よくあなたによく似て生まれただけです。」 テリドレアーネはくすっと笑った。 「何が可笑しいのです?」 クラウディスはテリドレアーネを訝しく見つめた。テリドレアーネもクラウディスを見つめ返した。 「偶然だと・・・?そなたは本当にそう思っているのか?臣下たちはまるでそなたのことを女神のように崇めているが・・・この国を救う王子を産んでくれたと皆大喜びだ。さぞかしそなたは気分がよいであろうな。」 「そ、そんなことは・・・あなたは嬉しくないのですか?この子は何であろうとあなたのお子なのです。」 クラウディスは悲しかった。テリドレアーネの子を産んだとはいえ、自分はまだテリドレアーネには認められていないのだ。 テリドレアーネはいつのまにかクラウディスの傍に近寄っていた。 「本当に偶然かどうかもう一度試してみるか?」 「えっ・・・?」 クラウディスが驚いて顔を上げた途端、テリドレアーネがクラウディスの腕を掴んで口唇を重ねてきた。突然口唇を塞がれてクラウディスは悶えた。思いがけないテリドレアーネの行動に、クラウディスは慌てて躯を押し退けた。 「な・・・何をなさいます?!」 テリドレアーネは眉を寄せた。 「私とそなたがすることと言えば・・・わからぬほど初心ではあるまい。」 テリドレアーネはクラウディスの腕を掴んで引き寄せた。すかさず背中と腰を抱き寄せられて、クラウディスはテリドレアーネの腕の中に閉じ込められてしまった。 「いや・・・離して・・・」 「ふふ・・・可笑しなことを・・・何を今更生娘のように嫌がっている?私に抱かれるのはそんなに嫌なのか?」 「あ・・・困ります。こんな所で昼間から・・・誰かに見られたら・・・」 クラウディスは恥ずかしくて顔を真っ赤にさせた。 「何を気にしている?ここは私の城だと言ったであろう?私が何をしようが構うまい?」 テリドレアーネはクラウディスを抱きかかえたまま椅子の上に押し倒した。 「あ・・・いや・・・」 クラウディスは逃げようとしたが、テリドレアーネの躯がクラウディスの上に重なって自由を奪われてしまっていた。テリドレアーネはそのままクラウディスの口唇を塞いで息も出来ないほど深く吸い上げていた。それは久しぶりに味わうテリドレアーネの激しい口づけだった。噛み付くように何度も角度を変え、唇を吸われて口腔を貪られた。喉の奥まで蹂躙されて苦しくなったクラウディスはいつのまにかテリドレアーネの背中に腕を絡めてしがみついていた。 「ああっ・・・んんっ・・・」 クラウディスの喘ぎ声が口の端から漏れて、クラウディスは自分でも感じているのに気付いて羞恥した。 「もうそんなに感じているのか?淫乱だな・・・そなた・・・」 クラウディスの顔が紅潮した。自分は確かにテリドレアーネの腕の中で熱くなっていたのだ。 テリドレアーネはそんなクラウディスの胸元に手を差し入れて愛撫を始めた。気がつけばクラウディスの胸は淫らに肌蹴て、テリドレアーネの唇が肌の上を滑るように這っていた。 「あああっ・・・やっ・・・」 吸い付くようなテリドレアーネの口唇に翻弄されて、クラウディスは身を捩って逃れようとしたが、テリドレアーネの力強い腕はクラウディスを決して離そうとはしなかった。 「何故逃げようとする?そなたは私に抱かれたかったのではないのか?」 クラウディスはそれを否定することが出来なかった。テリドレアーネはそれをわかっていてクラウディスを弄んでいるのだ。 「あっ・・・」 いつのまにかテリドレアーネの指がクラウディスの足の間に忍び込んでいた。テリドレアーネに触れられてクラウディスの躯はビクッと仰け反った。 「ふっ・・・もうこんなに濡らして・・・いやらしい女だ。」 テリドレアーネの軽蔑するような声が尚一層クラウディスを淫らにさせた。 クラウディスは耐えられなかった。テリドレアーネに触れられているだけで、躯の奥から熱くなっていくのを止められなかった。しばらく忘れ去っていた感覚が鮮明に蘇って、クラウディスの躯は快楽を呼び戻していた。 だがテリドレアーネはクラウディスの大腿を愛撫するだけでその奥には指を伸ばしてこなかった。すぐ傍まで触れている感覚はあるのに、それより先には触れてこないのだ。クラウディスは自分が焦らされているのだとわかって辛くなった。目を開けるとテリドレアーネが意地の悪い笑みを浮かべていた。 「どうした・・・?物欲しそうな顔をして・・・そんなに欲しいのならおねだりしたらどうだ?」 クラウディスは必死で耐えた。だが躯の震えが止まらなかった。 テリドレアーネはそんなクラウディスの羞恥を煽るように、クラウディスの足を開いた。 「いやっ・・・」 クラウディスは尚も抗おうと足を閉じようとした。 「欲しいのだろう?クラウディス・・・もっと素直になったらどうだ?私が欲しいと言え。」 「ああっ・・・やめて・・・許して・・・」 「言わぬか?そなた相変わらずだな。そんなに言わせてほしいのか?」 テリドレアーネの指がクラウディスを弄りだした。クラウディスの躯は途端に体温が上昇して燃えるように熱く躯が火照りだした。 「あああっ・・・いや・・・」 しばらくするとクラウディスの躯は微かに痙攣を始めた。紅く色づいた花は見る見るうちに蜜で溢れ出し、足の間を流れ落ちた。足の先まで熱くなってクラウディスの躯はもう動けないほど痺れていた。 「クラウディス・・・まだ我慢する気か?そなたのここはもうこんなに蕩けているというのに・・・さあ、言ってごらん。私が欲しいと・・・」 クラウディスの息は乱れて喘いでいた。苦しくて声にならず首を横に振った。 「頑固だな、そなた・・・それともまだ足りぬか?」 テリドレアーネは指を更に奥まで入れた。内壁を掻き回されて、クラウディスはその刺激に耐えられず腰を震わせた。 「あっ・・・もう許して・・・」 「それだけか?そなたが欲しいと言わねば許しはせぬぞ。」 クラウディスはもう限界だった。無情なテリドレアーネの声を聞いて、クラウディスの目からは涙が零れていた。 「うっ・・・お願い・・・早く・・・」 「クラウディス・・・どうしてほしいのか言ってみろ。」 「ああっ・・・入れて・・・あなたを私の中に・・・入れてほしい・・・」 テリドレアーネは満足そうに微笑むと、己の熱くなった牡をクラウディスに押し付けた。クラウディスはその熱い感触に驚いて身を捩った。 「そなたが焦らすから・・・そなたのせいだ。」 そう言うとテリドレアーネは一気にクラウディスを貫いた。 「あああっ・・・ううっ・・・」 クラウディスはその熱さと圧迫感に堪らず腰をくねらせて悶えた。テリドレアーネもクラウディスに締め付けられて苦しそうな顔を浮かべた。 「ああ・・・クラウディス・・・もっと・・・」 テリドレアーネは我慢出来ずに腰を動かした。クラウディスは自分の中で蠢くテリドレアーネを感じていた。 「あっ・・・あっ・・・はっ・・・あん・・・」 「いい声だ・・・私はずっと待っていた。その声が聞きたくて・・・たまらなかった。そなたが身重の間・・・私は・・・」 「ああっ・・・あっ・・・」 「わかるか・・・?我慢を強いられる私の躯がどれほど苦痛で・・・どれだけそなたを待ちわびていたか・・・」 「あっ・・・あんっ・・・」 「そなたを見ているのが辛かった。目の前にいるそなたを抱けなくて私は気が狂いそうだった。」 テリドレアーネは喘ぐクラウディスの口唇を塞いだ。唇を舐めて舌を絡めて口腔を嬲った。クラウディスはテリドレアーネの熱い接吻で躯中が蕩けそうな感覚に襲われ、全身の力が抜けていった。 ああ・・・テリドレアーネは我慢していたのだ・・・ずっと・・・私を待っていてくれた・・・何故気付かなかったのだろう・・・テリドレアーネが私に余所余所しかったのは抱きたい衝動を抑える為だったのだ。それを私は・・・ テリドレアーネに抱かれながらクラウディスはそんな想いを馳せていた。 そしてクラウディスの緊張が解けた瞬間、テリドレアーネは奥まで突き上げた。 「あああっ・・・」 クラウディスの躯に電光が突き抜けたような衝撃が走った。クラウディスの頭の中が一瞬白くなった。 「クラウディス・・・」 甘く囁くようなテリドレアーネの声がクラウディスの耳元に響いて、クラウディスは夢見るように身も心も蕩けていた。 |




