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ゆうべの晩ごはん。
手巻きずし(まぐろ、サーモン)、ほうれん草のおひたし、新たまねぎのスープ、からあげ。
先日芝居を見に行った時のこと。
右斜め前に座った人の横顔が、昔付き合っていた人にそっくりだった。
吃驚した。
そして反射的にその人の右手をみた。
昔付き合っていた人は、いま、右手がない。
数年前に事故で失い、その後は義手で暮らしている。
だから、右手をみた。
手は、ちゃんとあった。
そしてまた吃驚。
その「昔付き合ってた人に良く似た人」(ややこしいっすね…)の右手は、
火傷のあとなのかケロイド状に醜くひきつれ、ところどころが大きくえぐれていた。
偶然。ただの偶然。
でもやっぱり驚く。
芝居を見ている間、無意識なのか、ときどき左手でその右手をさする。
彼は芝居を見ている。
わたしは芝居を見ている彼がさする右手を見ている。
彼はたぶん今見ている芝居のことを考えている。
わたしはずいぶん長い間会っていない右手のない彼のことを考えている。
芝居が終わる。
すかさずさりげなく顔を見に行く。
正面から見た顔は、全然彼と似ていなかった。
ずっとずっと若く、ずっとずっと快活そうだった。
でもあの右手。
ミギテとミギテで繋がるキオク。
このキオクも、いつかきっとどこかで「私の物語」として紡がれてゆくだろう。
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