コーヒーを挽きながら〜岸本静江のひとり言〜

ラテンアメリカのコーヒー農園村を舞台にした小説「コーヒーを挽きながら」の著者が描く『静江ワールド』

ギャラリー鶴舞窯「下川𠮷博展」いよいよ開幕


 お待たせいたしました。我が「ギャラリー鶴舞窯」秋展、いよいよ開幕しました。
 
10月初旬は真夏日があったり、台風が襲来したり、不順な天候が続き、10日頃からようやく本来の「仲秋」と言えるような時節になりましたので、1013日(土)〜11月4日(日)という今回の開催日程は「アタリ」と自画自賛です。
 
 しかも展示作品はこの落ち着いた秋の季節にふさわしい静謐な画面を半世紀にわたって描き続けてこられた下川𠮷博画伯作品です。

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ポスターと案内ハガキに使ったこの「月明かりの海」、秋の澄み切った夜空に煌々と照る銀色の月、その月光を反射する穏やかで静まり返った海、ですよね。
 
見ていると自分が銀白色の砂浜に一人立って月光を浴びている、そんな光景が浮かび上がってきます。
 
私は初めてこの作品を拝見した時下川画伯の故郷の福岡県田川市近くの海岸の風景を実写されたのかと思いました。また他にも緻密な風景画が沢山ありましたが、みんな実景の写生画だと思いました。武蔵野美術大学卒業後埼玉県や千葉県で長く美術教師をしておられただけに故郷の田川市に対する深い望郷の念がこんなに静謐で、しかも内に情熱を秘めた画面になるんだ、と。

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                                      (夕映え)

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(汀のうすれ日)

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(霧の林)

ところがお話しを聞くと、実写の画面はほとんど無い、とのことでした。すべて心の中の風景、心象風景、とのこと。
 
そう言われてみれば、風景画以外にも今回展示した点描の「母と子」シリーズも、母に抱かれた幼い頃の自分、記憶の底や夢の中で揺らめく母と自分、あるいは初めて母となった喜びなど、など誰しもが思い出の中に刻み込んでいる象徴的な「母なるもの」「幼子なるもの」を具現化したもののようです。

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                      (母と子)

画伯の心に浮かんだそんな風景や人物が、画伯個人の感慨に終わるのではなく、「ああ、この風景どこかで見た」、「幼い頃の自分と母の姿そのものだ」と見る者にこうまで共感を呼び覚まさせるのも、画伯の日頃からの筆遣いの細やかさ、デッサン力の正確さ、色彩感覚の卓抜さの賜物なのではないでしょうか。
 
どこの会派にも属さず、黙々と自己の心象風景を画面に再現することにのみ心を砕いてきた孤高の画家、下川𠮷博画伯。

私はその下川作品の静謐で緻密な画面から、作風はまったく異なりますが、大好きな静物画家モランディの作品をつい連想してしまうのです。
 
確かな技術力に支えられた豊かな想像力の結晶、それが今回の下川作品なのです。
 
それぞれの作品の中にご自分の過ぎ去った懐かしい日々の風景、家族の形を思い描いて下されば、今回の「下川𠮷博展」を開催している甲斐があり、喜びがある、というものです。

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    (かつての教え子が早速駆けつけてくれました)

ご来場を心静かにお待ちしております。



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