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アイヌ聖典
神伝[カムイ オイナ]Kamui Oina (1)
(1)カムイカッ チャシ Kamuikat chashi
神の工(たくみ)の 山城(やましろ)の
1.Kamui(神)kar(造)chashi(山城)の音便。山城の善美をほめたる語。
イレス チャシ iresu chashi
我を育てし 山城の
2.i(我を)resu(育つる・育てし)なり。我とは、オイナ神(Oina Kamui)自ら叙していふ語。
チャシ ペンノキ chashi pennoki
山城の 東(ひんがし)の軒
チャシ パンノキ chashi pannoki
山城の 西の軒、
3.nokiは屋根の茅葺の切りそぎてる切口をいふ。アイヌの屋根は段々茅にて、切口も段々になりてあり。其をrikun noki(上方の軒)rankenoki(下方の軒)などといふ。又その屋根は東屋造りに四方そぎなる故その東面(かみを)pen noki西面 (しも)を pan nokiといふ。
(5)トカプチュプ ノカ tokapchup noki
日輪の 象(かたち)を
4.この山上の住居に、オイナ神を育つる女神は、後文に明らかなる如く、日の神なり。故にこのあたりの如き叙述あり。
チエヌイェ カラ chienuyekar
えがき、
クルカシケ kurkashike
そのおもて
ツ゜ペケッ チュプキ tu peket chupki
二重(ふたへ)の 明光
レ ペケッ チュプキ re peket chuuki
三重(みへ)の 明光
5.6.peker(明るき・輝やかなる)chupki(光線・光華)の音便。語頭のtu及びreは、数詞の二及び三といふ語なり。かく打ちつらねて互文に用ふる時は、単に「数多の」を意味す。
(10)チオエロッキ chioeroshki
差(さ)し 延(は)へて
7.直訳「立つ」なり。後光が差すといふところを、後光が立つといふ如き云ひ方をしたるなり。もとroshkiはash(立つ)及び ashi(立つる)の複数形なり。語頭のchiは他動詞へ添ひて自動化する接辞なれば、chiroshkiはやはり「立つ」意なり。chioeroshkiといひたるそのeは「そこ」と指す意ありて前の語を受くる辞、ここにては「日輪の象をえがき」たる「そのおもて」という語を指す。 o の方は、色々な意味あれど、ここのは、重なる義の o なり。即ち光が二重に三重にあまた立つ義を添ふるもの。
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