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厚生労働省の毎月勤労統計など一連の統計不正問題で国政の信頼が揺らぐ中、総務省が今月1日に出した告知が驚きを広げた。今年10月18日の「統計の日」に向けて、国民に統計の重要性を知らしめる標語を募集する、というのだ。間の悪いことに告知した1日、総務省の小売物価統計でも不正が発覚した。ネット上では統計のいいかげんさを皮肉る「標語」があふれ「大喜利」状態となっている。【江畑佳明】
「統計の日」は明治初期に農業生産高などの近代統計の実施が布告された日にちなみ、1973年に制定された。毎年標語を募り、今年度は約9800件の応募作から「活(い)かせ統計、未来の指針。」が選ばれた。
総務省公式ツイッターなどによる募集告知では<統計の重要性の理解を深めるため……><統計の重要性について周知広報を……><統計の大切さや重要さを伝える標語を……>と3度も繰り返す。ネット上では「一体どの口でそんなことが言えるのか」とあきれる声が出ている。
告知日に不正が発覚した総務省所管の小売物価統計は国の基幹統計だが、調査員3人が過去の数字を報告していた。だが、告知のツイートに謝罪はおろか言及もない。同省公式アカウントには、今の標語のパロディー「ごまかせ統計。疑惑の指針。」など怒りを含む痛烈な「標語」が押し寄せている。
こんな時に標語を募る同省の浮世離れぶりは、話を民間に置き換えれば分かりやすい。自社商品で欠陥が判明し批判を浴びたその日に、自社商品の素晴らしさをPRする宣伝文句をユーザーから募集する……。
中止や延期の判断はなかったのか。担当する同省の「政策統括官(統計基準担当)付統計企画管理官室普及指導担当」の職員とのやり取りは、以下の通り。
記者 今回は見送るべきではないのか。
職員 昨年12月下旬に全国の都道府県に事前周知と広報をお願いし、その時点で2月1日から募集すると伝え、都道府県も1月上旬から募集の広告をしているところもあって……。
記者 中止の検討は。
職員 今年も例年通り行うということになっている。
記者 ネット上で大喜利状態となっているが。
職員 既に報道発表もしているので。
厚労省の元官僚で神戸学院大の中野雅至教授(行政学)は「官僚の世界で予算のついた定例の業務は、よほどの事情がない限り中止や延期はしない。今回もそれでいいと考えたのではないか。(告知に釈明がない点は)簡単に過ちを認めない役人特有の病理現象」と批判している。標語の応募は来月末まで受け付けている。
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