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セーラもジョシュも、黙ったままだった。
小さな女の子のつたない言葉で語られた思わぬ話に、頭が混乱していた。
信じられない思いはあったけれど、キリエの身なりの様子や表情から、それを信じた。
それに二人は、見かけ以上にとても広い世界を知っていた。
世の中には、不思議なことや恐ろしいことがたくさんあることを、知っていた。
キリエは話し終えてホッとしたのか、少し落ち着いた表情を見せたが、突然
「あ!」
と声をあげた。
「どうしたの?」
「・・・石。石がないの!コレくらいの、お母さんがくれたの!」
キリエは両手で、輪を作る仕草をして、すがるようにセーラを見てから、
ハッと何か思い出したのか、あわててポケットを探った。
出てきたのは、キラキラといろんな色のガラス玉が付いた、かわいい髪飾りだった。
キリエはそれを見つめると、両手でそっと包み込んだ。
「石って、それの事?」
「違うよ。これは、お父さんが私の誕生日にって買ってくれたんだもん。・・・ありがとうは・・・言えなかったけど・・・」
セーラは、キリエの髪をそっとなでながら言った。
「そう。。。じゃあ、きっと似合うわね」
黙って二人の様子をぼんやり見ていたジョシュが、突然「あぁ」と言った。
そして、胸ポケットから小さなビー玉くらいの小石を取り出した。
キリエが言っていたのよりも、だいぶ小さなそれは、いくつかの色が混ざったような変わった色をした、キレイな物だった。
「それは?」
「お前が泣いてた辺りに落ちてたんだよ。
さっき外で見つけたんだけど、面白いから拾ってきた。こんな小さいけど?」
キリエはジョシュから石を受け取って、まじまじとそれを見つめた。
手に乗せると、思ったよりもずいぶん軽くてすごく小さい。でも、奇妙な色の混ざり方は、あの石と同じようだった。
「たぶん、これだと思う。。でも、なんでこんな小さくなっちゃったんだろ?」
「力を使っちゃったんじゃねえの?こういう場合。 お前をふっ飛ばしてきたんだろ、それ?」
足を組んで頬づえをつきながら、さらりとジョシュが答えた。どうでもいいという感じに。
せっかく見つけたいいものを取り上げられた子供みたいだった。
でも、キリエはなんだか本当にそんな気がした。きっと自分を助けてくれた石。祖母と母の石。
ふと、このまま消えてなくなってしまいそうに思えて、慌ててギュッと握りしめた。
「お母さんとおばあちゃん、どうしたかな。 どうして一緒に来なかったんだろ・・・」
ポツリとつぶやくと、涙がポタリと落ちてシャツに染みをつけた。
それを見ると、また後から後から涙がこぼれ落ちてきて、キリエはうつむいたまままた泣いた。
どんどんシャツが濡れて、染みが広がった。
セーラは、かける言葉が見つけられず、そっとキリエを抱きしめた。
ジョシュは、やっぱり頬づえをついたまま、二人をぼんやり見つめていた。。。
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