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放射性セシウムの医学的影響

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2章 放射性セシウムの体内への取り込みが起こす基本的な病変とその形成機序
 
8.神経系
 
神経系は放射線の影響を最初に受ける器官系のひとつである。

・・・・・(中略)・・・・・

放射性セシウムが体内に取り込まれている期間が長くなるほど、不均衡の程度もひどくなる。

大脳半球で・・・・・(中略)・・・・・生理活性アミンと神経作用性アミン酸の変動は、外部被曝の場合よりも、内部被曝の場合のほうが著しく大きくなるさらに、多くの再構築された影響(セロトニン系の抑制とGABA系の早期の活性化)の大きさは、半致死量や過致死量の放射線を実験動物に照射した場合の影響の大きさに匹敵する。

セシウム137を長期間体内に取り込んで、胃腸の慢性疾患をもつ子ども(セシウム137の濃度19.70±0.90 Bq/㎏)では、自律神経の適応機構と代謝機構に緊張状態が引き起こされ、自律神経の交換神経緊張型の異常が広くみられる。

自律神経の異常の程度とは、体内に取り込まれたセシウム137の濃度に相関している。セシウム137の体内濃度が100 Bq/㎏以上になると、交感神経緊張症になる子ども数が増大する。

チェルノブイリ事故後に、器質的精神疾患とうつ病の増加が報告されている。

精神疾患の増大を、放射線に対する必要以上の恐怖とストレスが蔓延した結果だと主張する者がいる。

そのような「放射線恐怖症」論者と私たちは意見を異にし、とくに成長中の若年者で、放射性セシウムによって神経系組織が影響を受け続けていることが真の病因であることを立証する。

妊娠したメスの実験動物で、着床期の子宮膜に実験的な研究によれば、胎児の神経系に系統的な異常がひき起こる。

ウクライナの科学者による神経生理学的研究によれば、おもに左側(優位側)の大脳半球で、大脳辺縁系―網様体系に機能障害が存在することが、詳しく述べられている。

この機能障害は、出生前および生後に放射線被曝することで、大脳に機能的構造的異常が、引き起こされることをはっきり示している。








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イメージ 1第2章 放射性セシウムの体内への取り込みが起こす基本的な病変とその形成機序

7.妊婦の進展と胎児の成長
 
妊娠は、母体内へセシウム137の顕著な蓄積を伴う。


放射性セシウムを445Bq/㎏含むオート麦を実験動物に投与したところ、妊娠末期(21日目)には、放射性セシウムの体内濃度が120 Bq/㎏を超えるようになった。


セシウム137の含有量が5587 Bq/㎏の牛肉を実験動物にエサとして与えた場合も、同様な結果が得られた。これらの実験動物では着床前の胚の死亡率が高まり227±0.52%になった(対照では、0.80±0.31%、p<0.05)。



胎児では、骨組織の形成の異常が認められ、管状骨では骨形成の異常と成長の遅延が観察された。


セシウム137は主に胎盤に蓄積し、汚染地帯の主婦では胎盤内のセシウム濃度が200 Bq/㎏に達した。一方、セシウム137は、基本的には胎児に進入しなかった。妊娠中に暫定的に機能する器官のなかで、胎盤も重要な機能を担っているため、放射性セシウムが胎盤に蓄積すると、胎児と胎盤からなる複合体の機能は決定的な悪影響を受ける。


・・・・・(中略)・・・・・


セシウム137の体内濃度が100 Bq/㎏を越えると、妊娠末期に母体中のプロゲステロン濃度がエストロジオールの濃度より著しく高くなるこのことは、出生時の合併症の原因になる。


   ・・・・(中略)・・・・・


セシウム137が胎児の体内に取り込まれた場合、先天性欠損が特別に重要な意味を持つ。



統計データでは、セシウム137で汚染された地域の住民の間で、先天性欠損の数が年々増加している。多因子性の欠損が最も多いが、それは遺伝子的素因と特別な環境要因の両方の産物である。


放射線照射は、セシウム137で汚染されたゴメリ州とモギリョフ州に住む親たちの遺伝的欠損のようである。


それは真の催奇性要因であるかもしれないが、遺伝的欠陥を引き起こす特別な環境因子である。



神経系の先天性奇形(無脳症、脳腫)を持つ胎児で放射性元素の分析をしたところ、他の胎児と比べてセシウム137の胎盤濃度が際立って高かった。



このように、母体―胎児系へのセシウム137の直接的な影響が、胎児の成長に悪影響を与え、胎児の出生前死亡や、産児の出産直後の死亡にも関係している。
 
 



 
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6.女性の生殖系

 

女性の生殖系は電離放射線の影響を非常に受けやすい。下垂体―卵巣―子宮の系のホルモン分泌の変化は、卵巣機能と月経の異常を伴い、とくに被曝の初期段階で高い感受性を有することが特徴的である。


チェルノブイリ事故によって汚染された地域に住む生殖年齢の女性の身体にセシウム137が取り込まれると、ホルモンの体内環境が乱れ、月経周期の不調が引き起こされる。


セシウム137の蓄積が、40Bq/㎏を超えると、月経の周期の手前の前半期(卵胞期)では、血液中のプロゲステロン(黄体ホルモン)の増加とエストラジオール(卵胞ホルモンのひとつ)濃度の低下が起こり、月経周期の後半期(黄体期)では、その逆となる。


こうした病理的変化は、女性の健康に悪影響を及ぼす。セシウム137の体内取り込み濃度の増加によって、子宮付属の炎症、月経周期の異常、子宮筋腫、男性の性的特徴の出現が引き起こされる。


・・・・・(中略)・・・・・


このように、セシウム137の体内取り込みによって、下垂体―卵巣―子宮系の機能に顕著な変化が引き起こされ、性機能の不調が現れる。病変はほかの内分泌器官にも起こる。とくに副腎と甲状腺を考慮に入れる必要がある。

 
 






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5.造血系


汚染地帯の子どもと10代の青少年の血液検査のデータを数多く査定して、一連の病変を解明できた。すなわち、大赤血球症、白血球リンパ球減少症をまれに伴う赤血球減少、さらに好中球と好酸球の量的変異である。


私たちの研究では、居住地のセシウム137汚染値と体内のセシウム137濃度を子どもたちの血液学的指標として用いた。


・・・・・(中略)・・・・・


研究の結果、子供の体内セシウム137濃度の上昇につれて赤血球が減少し、一方で、ヘモグロビンの濃度は対象グループより高くなることが判明した。


このように外部被曝と内部被曝によって、子供の造血幹細胞の増殖能が低下していることが明らかである。ただし、これは鉄の飽和過程には影響しない。


・・・・・(中略)・・・・・


ビスターラインラットによる実験(体内セシウム137濃度62.76±3.84Bq/㎏、対照グループは9.76±1.79Bq/㎏)で、赤血球の絶対値の減少と桿状核球の相対比率の減少が見られた。これは子供の血液検査の結果と一致している。


・・・・・(中略)・・・・・


放射線量に応じた桿状核球、赤血球の減少、リンパ球数の相対的な増大、血小板数の絶対数の減少となって現れる。


以上の所見は、子供たちの体内の多くの臓器や系に共通して発生する好ましくない病理的変化が広く起こることを示している。








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4.免疫系


放射線被曝の影響を受けた人々の免疫系の状態を年齢別に分析した出版物は数多く存在する。しかし、人体への放射性セシウムの取り込みに起因する免疫系の変異について明快な見解を述べたものはない。


・・・・・(中略)・・・・・


免疫学的な指標と血清中の代謝産物について、土壌中のセシウム濃度が15Ci/平方キロメートルの地域で体内放射性セシウム濃度が33.6±0.12Bq/㎏の子供、土壌中のセシウム濃度が1540Ci/平方キロメートルの地域で体内放射性セシウム濃度128.38±13.38Bq/㎏の子供、それに対照グループの子供(土壌濃度1/平方キロメートル以下、体内濃度が29.6±0.72Bq/㎏)で比較研究した。


・・・・・(中略)・・・・・


IgGIgA,と各代謝産物(尿素、ビルリビン、クレアチニン、尿酸、グルコース、カルシウム、アミラーゼ、アスパルターゼアミノペプチダーゼアラニンアミノペプチダーゼ、アルブミン、GGTP、リン酸塩、トリグルセリドなど)対照グループはマイナス、試験グループはプラスの相関関係にあった。代謝過程への液性免疫の影響は弱まっていると思われる。


セシウム137の土壌汚染が1540Ci/平方キロメートルの地域で、体内放射能が200Bq/㎏以上の子供は、免疫グロブリン、ホルモン、各代謝産物の間の相関がなくなり、コンチゾールとの相関が新たに生じていた。このことは、免疫と代謝の相互関係は放射線が影響を与えることを示している。


上記の相関関係の変化は、放射性セシウムの体内取り込みの持続的な影響に対する子供の順応過程を示している。その順応過程には免疫系が関与していて、永続的な病変を伴っている。


このことは、汚染地帯の子供たちのアレルギー学的調査の結果によって、証明される、ゴメリ州ぺトカ郡スベチロビッチ村の児童の半数は、牛乳の蛋白質に対するアレルギー反応が陽性であったり、強いアレルギー反応を示したりした。彼らの放射性セシウムの代内平均濃度は128.38±12.38 Bq/㎏であった。

 







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