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「赤にコーフンしてるんじゃなくて、ヒラヒラ動いてるものにコーフンしてるらしいよ!でも、闘牛の華やかさはあの赤があってこそだよね!」 「これもダメかあ」 「クレオメ雑学王はアキに決まりね・・・」 「エヘヘ、ありがとー!」 昨日から何だかサキとナキの様子が変だと思ってたけど、今日は2人とも青を着けて来たんだ。 それってつまり、私には内緒でクレオメしてるって事だよね。 何してるのかも何となく分かるんだけど、これって自分じゃ言い出しにくいしなあ。 「・・・」 「・・・」 無言のままだけど、今もサキとナキで何か合図し合ってる。 2人の気持ちはだけで十分嬉しいんだけど、それも口に出しちゃいけない気がするし。 サプライズってさ、される側は気付いちゃっても黙ってるのがマナーだもんね。 「アキは何処でそんな知識を身に付けてるの?」 「テレビとか図書館だよー?色んな人とお友達になる為、日夜頑張っているのです!」 「アキは真面目さんだ。私には真似出来んさね」 「私は実行係だもん!サキとナキに負けてられないからね!」 勿論、クレオメの為だけに友達作りをしてる訳じゃないけどね。 でもさ、噂好きで友達が沢山居るってやりやすいのもホントだよ。 この前みたいに噂を流すだけで良かったりするもん。 色んな知識があれば知らない人とも話し易いしね。 「インターネットとかは使わないの?」 「パソコン持ってないんだもーん!」 「え?持ってなかったっけ?」 「ないよー!ナキには良く借して貰ってるけどね!流石にマイナーなアイドルのライブとかはテレビじゃやらないもんね!」 「・・・ナキ?」 「地下アイドルの情報なんかはネット漁らないと難しいんさね」 「はあ、そうですか。それで、地下アイドルって何よ?」 「マイナーアイドルの事だよー!男の子にファンが多いかなー」 「ふーん。ご当地アイドルみたいなもんかしら」 「近いもんさね」 近いとも言えない気がするけど、まあ良いかな。 多分、サキは興味のカケラも持てないと思うし。 私、サキの趣味とか好きな物って全然分からないんだよね。 私がサキにサプライズをするとしたらどんなのが良いかな。 「ねえねえ、サキって何が好きなの?」 気になったら聞いてみるのが一番だよね。 聞かぬは一生の恥って言うし。 ちょっと違う気もするけど、細かい事は良いの良いの。 「私?好きなのって・・・食べ物とか?」 「何でも!私ってサキが何を好きなのか知らないなーって思ったの!」 「こっちの台詞なんだけど・・・まあいいや。そうね、食べ物なら羊羹とか好きかな」 「随分渋い好物さね」 「家がケーキ屋だと和菓子が美味しく感じるのよ」 「サキん家のケーキって美味しいよねー!」 「アキは常連さんね。何時もありがとう」 「この前の新作も美味しかったさね。白玉入りのケーキって、もしかしてサキが作ったのかい?」 「そうよ。ウチの和の要素があるケーキは大体私が考えた奴だわ」 「すっごーい!サキ、お菓子作り上手いもんねー!」 「そう?お菓子を作る機会だけは多いから、自然と慣れるのよ」 「サキのお菓子は美味しいさね。女子としては憧れる」 「なら少しは見習いなさい。ナキが料理する所は見たことないんだけど?」 「人間には得手不得手があるんさね。私も出来なくはないけど、サキって壁があると劣る部分は見せたくないのが人間じゃないかね?」 「言い訳は見苦しいわ。努力してから言い返しなさい」 ナキの気持ちも分かるけど、サキの言う事は正論だね。 努力なしで他人をひがむのはお門違いだもん。 私ももっと頑張らないと。 「やっぱりサキは手厳しいね。私達、友達だよねえ?」 「友達だよ!私はサキもナキも大好きだもん!」 「アキは優しいね。それに比べてサキは・・・」 「悪かったわね。どうせ私は冷血な女ですよ」 「そんな事ないよー!私の誕生日を覚えててくれたしさ!」 「え?」 「え?」 「あ・・・」 あちゃ、つい言っちゃった。 折角サプライズを計画してくれたのに、私ったらうっかりさんだ。 「やっぱり分かってたのね」 「アキー、そう言うのは気付いてても言わないもんさね」 「ゴメン!うっかりさんだったー!」 「はあ、こうなったらもう隠し事はなしね。単刀直入に言うけど、今欲しい物とかない?私とナキでプレゼントしたいんだけど」 あああ、サキとナキには酷い事しちゃったかな。 折角サプライズを考えてくれてたのに。 やっぱり私は隠し事とかは苦手だなあ。 誰かに何かを隠すのてか、もう懲り懲りだしね。 「気持ちだけで嬉しいよー!2人ともありがとっ!」 「感謝されるのはまだ早いさね」 「そうね。バレちゃったけど、私達のクレオメはまだ終わってないわ。アキには覚悟して貰うわよ?絶対喜ばして見せるんだから」 「え・・・エヘヘ、じゃあ、誕生日を楽しみにしてるよ!」 「上等さね。絶対ビックリさせてあげるよ」 流石はサキとナキだね。
なら、私もそう簡単には驚かないんだから。 2人には覚悟して貰わないと。 私だってクレオメなんだから、そう簡単にはいかないんだからね。 |
クレオメ
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「はあ、予想通り手強いわ」 『アキの好みってイマイチ分からないさね。自分から何かが良いとか言わないし、何かを欲しがってる素振りは見せないからね。つい餌付けしたくなるんだけどさ』 「意外と見識広いのも問題なのよ。どんな話題にもついて来るのに、特に興味が強い訳じゃなさそうなんだもん」 『話を合わせる為に調べてるって感じさね。まさか寺院仏閣にも詳しいとは思わなかったけど』 「新たに興味を持ってくれたり、今一番夢中なものが分かればプレゼントの方向性も決まるんだけど・・・」 『今日は途中からサキとアキの雑学クイズ大会になってたさね。勝負になってなかったのは笑えたよ』 「いっそ私もトイレの前で叫ぼうかな。友達が喜ぶサプライズをしたいのにどうすれば喜んでくれるか分かりませんってさ」 『クレオメ流でそれを解決するなら・・・プレゼントをあげる予定の相手を消す事になるさね』 「そっちの方が大変なのは確かね。・・・ところで、他にもっと良い方法ない訳?」 『こう言うのは形から入るもんさね。この方が秘密の作戦会議っぽくて良いんさね』 端から見れば私は夜中に何時も着けている腕時計に向かって話し掛けている様に見えるだろう。 ナキ製のこの腕時計には電話機能が付いているから私の頭が疲れている訳じゃない。 ちゃんと会話も出来てるし。 でも、これって普通に電話でも良いと思う。 「形から入るにしたって極端でしょ。昼休みに時計貸してなんて言うから何かと思えば・・・」 『勝手に改造したのは謝るさね。でも、意外に便利でしょ?ボールペンの先じゃないと押せないけど、ちゃんとテンキーも付けたしさ』 「ホントだ・・・。ベルトの部分だし、色も考えられてるから目立たない・・・言われてやっと気付いたわ」 『理科室と美術室から材料を頂戴したんさね。授業中に組み上げたんだけど、性能は折り紙付きの筈さね』 ナキはどうして薄暗い方面のメカに強いんだろう。 普段はプラモデルどころかペーパークラフトも録に作れない子なのに、怪しい工作は大得意なんてさ。 努力の報告音痴なのかな。 「たまに、一番消すべきなのはナキなんじゃないかって思うよ」 『私の将来は刑務所の中さね。就活も花嫁修行も要らない気楽な人生設計でしょ』 「笑えないわ・・・。とにかく、今日はこれ以上の進展は無理ね。また明日探ろうか」 『明日は私がアキに挑むよ。サキよりは勝負になると思うさね』 「無知で悪かったわね」 『私にとってもアキは友達だからね。アキを喜ばせてあげたいって気持ちは良く分かってるつもりさね』 「逃げたわね・・・。まあ、期待しとくわ。また明日ね」 『お休みさねー』 ピッと言う電子音を立て、アナログだった筈の私の腕時計は本来の時刻を刻む仕事に戻った。 電話として使えるのが便利かどうかは良く分からない。 携帯電話くらい持ってるし、人前で腕時計に話掛けるのは抵抗ある。 ナキの将来はホントに刑務所か、運よく捕まらなかったら怪しい組織になるんじゃないかな。 『サキー?』 再びピッと音を立て、私の腕時計からサキの声がした。 ナキなら空気は読んでくれるとは思うけど、外出用の腕時計を買っておこうかな。 「なに?」 『明日の色は何にするんさね?』 「黄色かな・・・ナキは?」 『青か黄色で悩んでるさね』 クレオメにはいくつかルールがあって、その1つに仲間内に対して秘密を作らないってのがある。 サプライズのプレゼント位なら別に気にする程でもないんだけど、クレオメとしての能力を使うのならばルールは守らなきゃいけない。 クレオメとして活動中なら決められた色を身に付けるってのもルールの1つ。 黄色は調査中、青は準備中。 サプライズだしアキには何をしてるか言わないけど、何かをやってるってアピールはしないといけない。 「調査中じゃない?実際、アキの好みを探ってるとこなんだし」 『黄色じゃ何か企んでるのがアキにバレちゃうさね。準備中なら何かあったのかなーで済むんじゃない?』 「アキの鋭さを舐めちゃダメ。下手したらもう気付かれてるよ」 『アキなら有り得るさね・・・。普段のアキからは想像も出来ない事をしれっと言う事多いし』 「アキの普段の姿は嘘の塊みたいなもんなんじゃない?ホントのアキがどんな子かなんて私も知らないわ」 『それを言うならサキもそうさね。普段はサッパリしてるのに、変に情に熱かったりするし。どっちが本当のサキなんさ?』 そう言われても、私は思った事を言ったりやったりしてるだけだし。 私は私なんだけどな。 「どっちもよ」 『そう来ると思ったさね。さて、そろそろホントに寝よっかね』 「結局色はどうすんの?」 『黄色か青で明日の気分に合わせるさね。それじゃ、おやすみー』 本日4度目の電子音が鳴り、今度こそ私の腕時計はただの腕時計に戻った。
アキの事だから、私達が何かを企んでるのは薄々気付いているだろう。 先の篠原さんみたいな赤の他人に関しては鈍いのに、自分に何らかの事件が起こる場合のアキは恐ろしく勘が良い。 そして、アキはお菓子をくれる友達だった筈の相沢さんを自分とは関わりのない人と簡単に割り切れる面も持ってる。 ある意味で私達の中で一番怖い子、アキ。 そんな子が心の底から喜んでくれるプレゼントが出来たら素敵でしょ。 アキには覚悟して貰わないとね。 |
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浪漫溢れる噂話。 元処刑場とか、卒業生が作った像が動くとか、そんな非現実的な不思議な話。 でも、稀に本当もあるんさね。 これみたいな、不思議な本当の話がね。 覚悟は出来たかな。 それじゃ、始めるうかね。 「相沢さん、転校するらしいよ・・・」 今回もクレオメは大成功だった。 アキが相沢さんと仲の良い子達にクレオメが相沢さんを狙ってるって噂を流しただけなんだけどね。 君子は危うきに近寄らず、クレオメが咲く藪を突く輩は無しって所かな。 クレオメに狙われた子を助けようとする子なんて居ない。 誰だって巻き添いは御免だもんね。 孤独になった相沢さんには逃げる以外に選択の余地は無くなった訳さね。 「怖い話さね」 「相沢さん、良い子だったのになあ。篠原さんと何かあったのかな?」 「さあねえ。篠原もずっと休んでるし、真実は闇の中さね」 闇の中どころか目の前に相沢さん転校の犯人が居ると知ったらこの子はどう思うだろう。 私達も含めた歴代のクレオメがやって来た事を思えば、バレたら転校じゃ済まないかねえ。 酷い代だと殺人紛いの事までやったらしいし。 「ナキ、ちょっと良い?」 友達との会話も途切れ、この機会にお花を摘みにと席を立った所でサキに捕まった。 サキは何時も微妙なタイミングを選ぶなあ。 簡潔に話すから私の膀胱が悲鳴を上げる事はないだろうけどさ。 「アキの事なんだけど」 「んー?どったのさ」 「そろそろアキの誕生日でしょ。2人で何かプレゼントしない?」 「ああ、そういう事ね」 放課後は皆例の場所に集まるから、サプライズにしたいならあそこじゃ確かに話難いさね。 アキの誕生日かあ。 サッパリした性格なんて言われてるけど、サキはこう言う所も多いと思う。 「お菓子でも作る?」 「それは何時もやってるわ。誕生日くらい特別な物をプレゼントしたいじゃない」 「そう言えばそうさね。ご苦労様ですな」 「メンバーの体調管理は計画係の仕事だと思ってるの。折角考えた計画が各自の体調で御破算になるなんて冗談じゃないし」 「ますますご苦労様ですよ。サキには頭が上がらないさね」 「なら、こう言う時は遠慮なく協力して貰うわ」 放課後、アキはほぼ毎日教室でお菓子を食べながらサキの委員会が終わるのを待っている。 サキは一番の仲良しだからなんて周りには言ってるけど、ホントはこれもクレオメ実行係としての行動なんだよね。 今回の計画も何時も通り教室でサキを待っていたアキがクレオメのサイン付きで『今度は相沢』って書かれたメモを見付けるって筋書だった。 アキには実行係として帰宅部なのに直ぐには帰らない理由が必要なんさね。 言い方を変えれば、毎日ただお菓子を食べて時間を潰すのは実行係としての準備って訳だ。 自分で言った通り、サキはお菓子ばかり食べるアキの体調を心配してわざわざカロリーを計算した太らないお菓子を作って来る事が少なくない。 パソコンと睨めっこが多い私には目薬なんかを用意してくれたりもするしね。 「勿論協力するさね。でも、アキって何が欲しいのかねえ?あんまりアクセサリーなんかも着けないしさあ」 「だからナキに相談なのよ。人の情報探るのは得意でしょ?」 「アキを調べるのは気が進まないなあ。友達以上の関係だしねえ」 「ナキ、言ってる事と口調が矛盾してる」 「意味が分からないねえ」 「ナキが特に変な話し方するのはやる気があるか興味が出た時でしょ」 「良く言われるけど、自覚はないんだよねえ。そんなに変な言い方してるのかねえ?」 「普段から変わった喋り方だけどね。簡単に言うと、語尾を伸ばす聞いててイライラする話し方になるわ」 「目の前でバッサリ言ってくれるねえ。でも、これくらいがサキらしくて私は好きさね」 サキはこの人ならと思った人に対してはオブラートを一切使わないんだよねえ。 下手なお世辞を言われるより良いけど、人によってはサキみたいな子は苦手なんじゃないかな。 友達の誕生日をちゃんと覚えてる様な子でもあるから、私とアキを含めて深い仲の友達は結構居るみたいだけどさあ。 でも、サキの性格について私がとやかく言うのは余計なお世話以外の何事でもないさね。 「その何とか"さね"ってどっかの方言なの?」 「語感が良いんさね。折角だし、私のチャームポイントにでもしようかねえ?」 「止めた方が良いと思うよ。変な口癖ある子は痛い子に見えるから」 「ああ、それなら手遅れさね。そうでなくても私は犯罪者だしねえ」 元々電子機器の細工はお手の物だし、歴代のクレオメの影響力は学校の近隣にも及んでいるからねえ。 先の篠原さんの件でも駅員の協力の下で駅のカメラに細工を施したし、盗撮・盗聴なんてのは日常茶飯事。 クレオメ情報係は、まとまで真面目な子には出来ないって訳さね。 そういえば、駅員さんに頼む時に使った写真のデータ、約束通り消してあげないとねえ。 「自覚はあるんだ?」 「これから友達を監視するしねえ。まあ、私もクレオメって事さね」 「分かってると思うけど、身内のデータの悪用は許さないからね」 「分かっているさね。クレオメの正体がバレたら問題だしねえ」 「それじゃ、また夜に話しましょ。サプライズにしたいからアキには内緒ね」 「了解さね。私はアキの周りに目と耳を置いて、アキが必要にしてる物を探すよお」 アキは持ち前の性格から友達も多いし、小動物系の子と言うか、何かをあげたくなる不思議な雰囲気があるんさね。
お菓子とかゲーセンの景品何かを良く貰ってるし、私があげた事も何度もある。 でも、アキから何かが欲しいとは聞いた事がないんだよねえ。 良い機会だし何時も以上に、跳び上がる程喜んでくれる様な物をプレゼントしたいもんさね。 今回のターゲットは決定。 アキには覚悟して貰おうねえ。 |
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皆知ってる噂話。 元処刑場とか、卒業生が作った像が動くとか、怖くて面白いお話。 でも、たまには本当もあるんだよね。 こんな感じの、素敵な本当の話とか。 用意は良いかな。 それじゃ、始めよっか。 「2人共遅かったじゃん」 体育館裏の用務員専用トイレの個室は秘密の場所の入口になってるの。 使う人なんて誰も居ない和式の便器を持ち上げれば梯子があって、その下にある教室の半分位の部屋が私達クレオメの秘密基地。 先に来ていたナキも今日は緑のメガネを着けてるね。 「私はナキと違って委員会があるのよ」 「私はオヤツ食べてたー!ナキ、サキ、クッキー食べる?」 2人の為に残しておいたクッキーを渡して、私用のソファーにダイブする。 クレオメの秘密基地は丸いテーブルを囲むみたいに4つのソファーがあって、黄色いソファーが私用。 ナキとアキのソファーよりもフカフカでお昼寝に丁度良いんだ。 「アキらしいねえ。さてさて、皆緑って事は、早速やるのかい?」 「今回は私が一番楽だね。計画係としては、毎回こんな仕事が良いよ」 「情報収集係の私は何時も大変だねえ。たまには変わって欲しいよ」 クレオメには3人全員に役割があるんだ。 パソコンが得意なナキは情報収集とか監視の係。 何しても怒ったり泣いたりしないアキはクレオメ計画を作る係。 で、一番友達が一杯居る私はアキの計画を実行する係。 私、アキとナキみたいに頭使うの苦手だしね。 「ナキは電子面でしか役に立たないじゃない」 「アキはやっぱりサバサバしてるよね!」 「友達に向かって酷い事言うねえ。でも、アキらしくて好きだよ」 「本当の事言っただけだよ。それより、ナキも準備出来てるって事は、裏は取れたのね?」 「概ね、ね」 ナキの言い方が気になったのか、アキがちょっぴりムッとした。 私的には何時もと同じの、スッキリはしないナキらしい言い方だと思うんだけど。 「どしたのアキ?」 「実は私もちょっと気になるんだよね。篠原さんが何考えてるかなんて知らないし。まあ、関係は無いんだけどさ」 「んー、まあ確かにクレオメとしては関係無いんだけどねえ。アキ、篠原さんが何を言ったかは覚えてるよね?」 確か、友達になろうって言ったのに裏切られたとか言ってたかな。 それって酷い事だよね。 篠原さんの悲しい気持ち、良く分かるんだけどなあ。 「アキは篠原さんに友達が居そうに見えた?誰かと話してたり、一緒に帰ったりしてるの見た事ある?」 「うーん、ないかも・・・」 「そもそも友達になろうって言われたのは、篠原さんの勘違いなんじゃない?たまたま話しかけられただけとかさ」 「でも、篠原さん泣いてたよ?嘘は付いてないと思う!」 「嘘じゃなくて、篠原さんだけがそう思ってだけなんだよねえ」 「どーゆーこと?」 えっと、篠原さんは友達になろうと言われたんだけど、本当は違かったのかな。 でもさ、友達になろうって言われたんなら友達になろうって意味だよね。 「裏は?」 「駅の監視カメラの映像だよん。良いマイクも取り付けといたのさ」 「ナキ、アンタ何時か捕まるよ?」 「私がその気になれば学食の食材調達リストを操作してトマトを駆逐する位朝飯前だしねえ。捕まる前にどーにでも出来るんさ。んで、これが問題のシーンね」 さっきからテーブルに置いてあったノートパソコン、やっぱりナキのだったんだ。 また新しいの買ったのかな。 『あれ?篠原さんもこの電車なんだ。今日は友達と待ち合わせしてるからゴメンだけど、今度一緒に帰ろーよ』 ナキのパソコンに映ったのは篠原さんと、同じクラスの相沢さんかな。 相沢さんは私ともお友達なんだけど、とっても良い子だよ。 良くお菓子くれるしね。 「こんだけ?」 「こんだけなんだよねえ」 「え?でも、友達になろうなんて言ってないよ?」 「やっぱりね。一緒に帰ろうって言われたのに教室では話し掛けても来ないし、裏切られたって勘違いしたんでしょ」 なんだ、篠原さんの勘違いだったんだ。 最初から友達になろうなんて言われてないのに、勝手に思い込んでクレオメ使っちゃったのか。 可哀相だなあ。 「それで、今回はどうするの?」 「ターゲットは相沢さんね。アキ、相沢さんとは仲良いでしょ?辞めても良いんじゃない、こんな下らない話」 「うん。でも、私と相沢さんがお友達なのってクレオメには関係ないよね」 「実はアキが一番サバサバしてるよねえ」 クレオメは正義の味方じゃないもんね。 勘違いでもなんでも、相沢さんが篠原さんを傷付けたのは本当だもん。 誰が何をされたら傷付いちゃうのか、良く考えないと。 本当、可哀相。 「可哀相だよね?こんな事になっちゃってさ」 「誰が?篠原さん?相沢さん?」 「ううん、私。もうお菓子貰えないんだよ?残念だなあ」 「や、やっぱりアキが一番サバサバしてるわ・・・」 「私、今鳥肌立ったわ・・・」 ああ、ヘアピン変えなきゃ。
緑はおしまいで、今度は赤のヘアピン。 赤は私だけの色。 意味は、計画実行中なんだ。 クレオメは悪者だもんね。 覚悟、しちゃってね。 |
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何処にでもある噂話。 元処刑場とか、卒業生が作った像が動くとか、そんな誰かが作った怪しい話。 でも、時々本当もあるんだよ。 これみたいな、怪しい本当の話がさ。 覚悟は出来たかな。 それじゃ、始めるよ。 「あー、今日は篠崎はどうした?また休みか?誰か知っている者は・・・」 朝のホームルームでは担任の教師が出席確認を行う。 毎朝の事だし、多分何処もやっている事だと思う。 予め連絡があれば先生は誰が何故休みなのかを発表し、連絡事項を伝えればホームルームはそれでおしまい。 今回みたいに先生が知らなくても友達が知ってたりすれば済むし、最悪誰も知らなくても先生はそれほど気にしたりしない。 高校生にもなって誰かが休んだ位じゃ騒ぎになんてならないよ。 普通はね。 「嘘だろ?」 「昨日も休んでたよな?」 「風邪だよね!?違うよね!?」 「どうしよ・・・私、この前篠崎さんの悪口言っちゃった・・・」 篠崎さんはクラスではあんまり目立たない感じの、休み時間は1人でずっとスマホを見ている様な女の子。 友達と話している所なんて見た事ないし、特別誰かに虐められてたりもしない。 そんな女の子が連続で休んだんだから、普通じゃないこの学校では大騒ぎになる。 原因は、皆あの怪しい話を知っているから。 体育館裏の用務員専用トイレの怪しい話。 「またクレオメか・・・」 クラスのざわめきに混じって誰かが放った言葉に皆が凍りついた。 当然と言えば当然かな。 それがクレオメの目的でもあるんだから。 「サキ、またクレオメだって!どうしよ?」 声を掛けてきたのは後ろの席のアキ。 皆黙り込んだお通夜みたいな中でもアキは何時も通りのニコニコ顔を崩さない。 短い前髪を左側だけ纏めているヘヤピンの色、今日は緑なんだね。 「怖いよね・・・。篠崎さん、何考えてるか良く分かんないし・・・」 「そうだねー。でも悪い子じゃないと思うよ?」 「そうかな?素直な子ならクレオメなんて使わないんじゃない?」 私の言葉にまた教室が凍りついた。 クレオメ。 放課後の6時に体育館裏にある用務員専用のトイレに行くと、個室が何時も閉まっているの。 中にしかない鍵が閉まっているのに何をしても返事は絶対返って来ない。 怪しいでしょ。 「え、江ノ島さん、あんまり悪口言わない方が良いよ・・・」 「悪口じゃなくて、思った事を言ってるだけよ。本人にも言った事あるし」 「でも、狙われちゃうよ?」 開かずの個室で何をすれば良いのか知っている人はあんまり居ない。 ただ、誰かがクレオメを使うと誰かが酷い目に遭うのは皆知ってる。 クレオメは爆発しそうな位溜め込んだ悩みを聞いてくれる存在。 そして、本当に潰されてしまいそうな人には手を差し延べてくれる存在。 些細な事が誰かを傷付けて、傷付いた子はクレオメを使うかも知れない。 この学校はクレオメと言う正体不明の悪者が恐怖で偽物の平和を維持している。 それだけ聞くとクレオメだけが悪者みたいだけど、イロイロと溜め込んだ子が自殺したりとか事件を起こすのとどっちが良いのかな。 「私は平気。篠崎さんとは接点ないから、狙われたりしないよ」 篠崎さんは確かにクレオメを使った。 クレオメの使い方は、開かずの個室にありったけの勇気で全部を話す事。 皆気味悪がってトイレには近寄らないから、泣いちゃったって気にしなくて良い。 何がどうして辛いのか、それを教えてくれなきゃどうしようもないもんね。 『友達のフリをされたの!私、皆とどうすれば友達になれるか分からなくて・・・友達になろうって言われた時、凄く嬉しかったのに!』 篠崎さんはクレオメに助けて欲しかったんじゃないと思う。 ただ、誰かに聞いて欲しかったんだよね。 辛かったって、悔しかったって、話せる人が誰も居ないのに、誰かに聞いて欲しかっんだよ。 クレオメは正義の味方じゃない。 クレオメは、たまたま聞いてしまった誰かの悩みにちょっかいを出したがるただの悪戯好きの悪者だから。 「サキはサバサバしてるねー!」 「アキがホワホワし過ぎなのよ。緑のヘヤピン、似合ってるよ」 アキの鼻に人差し指を当て、そのまま軽く押してみる。 アキは私の余り多くない友達であり、それ以上に秘密の時間を共にする仲間だったりもする。 クレオメの花言葉は、秘密の時間。 篠崎さんはクレオメに全てぶちまけて、これから起こる"かも知れない"出来事に怯えて学校を休んだ。 クレオメを使った人は皆そう。 少なからず期待を持っているのに、自らの願いに怯えてしまう。 クレオメは悪者だから仕方ないよね。 「ありがとっ!サキは今日は何色なの?」 「緑だよ。お揃いだね」 前に向き直り、ポニーテールを持ち上げてヘアゴムをアキに見せる。 緑は準備万端の合図。 今日の秘密の時間は、篠崎さんの悩みに悪戯する事。 何度も言うけどクレオメは正義の味方なんかじゃじゃない。 秘密の時間は今日の放課後だよ。 覚悟、しておいてね。 応援よろしくお願いします!
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