作家を目指しつつ、リーマンに・・・

我流ではありますが、作家を目指して行きたいと思います。

小説:夜の学び舎

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今さらだけどあとがき

約半年かけて書いた第2作目の小説「夜の学び舎」。書くのは楽しかったんですが、皆さんが読むのはつらいかったのではないかと思います。

この作品は友人に助言やアイディアを貰ったりしながら作ったのですが・・・いかんせん引っ張りすぎましたね;;

ミステリー感を出すために複雑怪奇な内容にしすぎて後半は自分自身かなり混乱してしまっていたのも大きな反省点です。


続編の「ホコロビ」では以上の点を重点的に注意して書いていきたいと思います!

「ぐ・・・・」

一人用の病室のベッドで目を覚ました慎は小さく呻いた。薄く開いた瞳に清潔な白が映える。

「ここは・・・!!」

5分ほどボンヤリとした後、弾かれた様に身を起こした。おぼつかない足取りで窓まで歩いて行き、カーテンを勢いよく開く。視界一杯に差し込む真昼の日差しで思わず目を覆う。目が光に慣れるまで数秒待ち、慎はゆっくりと目を覆っていた手をどけた。そこにあったのはまったく見覚えの無い町並みだった。
頭がズキズキと痛み、視界が歪む。足に力が入らない。
ガチャ
扉の開く音が聞こえた。反射的にポケットに手を伸ばす。慎自信があるわけないと思った小型のナイフがそこにはあった。病室に入ってきた白衣の女性が看護婦だと理解するのに数秒かかり、その隙にナースは慎からナイフを取り上げ、ナースコールを押す。数分で白衣の男性とスーツの男が病室に入ってきた。白衣の男性は慎の脈や呼吸数、血圧などを一通り調べると数回うなずき、スーツの男達に促されるままに看護婦と共に病室を後にした。

「私達は警察の者だ。そう身構えないでもいい。体は大丈夫かい?」

看護婦が慎の診断をしている時にスーツの男達に見えないようにそっと返してくれていたナイフをベッドの中で構えていたことを見破られたようだ。ナイフを手に持ってから頭痛と目眩は無くなった。

「平気・・・です」

「君に幾つか聞きたいことが有るのだが・・・・先に君が質問してもいいよ。何でも聞いてくれ」

スーツの男は病室に備え付けられた椅子に腰掛けると鞄から束ねられた数十枚の書類を取り出した。慎はナイフの刃の部分を男が鞄に視線を向けると同時にしまった。子供といえどもナイフを持った者が自分に敵意を向けているのに意識を逸らせる。それは己の力に自信があるか向かうに敵意がないからだということを慎は悟った。

「ここはどこですか?」

「朝草町だよ。君の生まれ育った町だろう?まだ記憶が混乱しているのかな?」

「俺はなぜここにいるんです?」

「君は8月26日。今から約1ヶ月前に夜中の学校に忍び込み、屋上で突然倒れたんだよ君の友達が直ぐに救急車を呼んで・・・」

「友達・・・そうだ!!伽藍!伽藍達はどうしているんです!?」

慎はスーツの男に掴み掛かろうとしたが、体を起こしたところで中断した。男の視線がそれを許さなかった。蛇に睨まれた蛙の様に体を硬直させた慎に男はニッコリと微笑みながら手の動きで横になるように指示をした。

「救急車が学校についた時には君同様に倒れていたよ。君と違っていたところは皆死亡していた所だ。砂原君。君のそのナイフによる刺殺でね・・・」

男が書類をめくりながら穏やかに言った言葉が静かな病室に響いた。慎の額に汗の粒が滲む。

「う、嘘ですよね・・・・?」

「こんな悪趣味な嘘を病み上がりの君に言うわけ無いだろう?」

「・・・違う・・・」

慎が隠れて再びナイフの刃を出す。

「砂原慎が犯人ではないことはわかっている。君が倒れたという連絡が友達から入っているのが証拠だよ。一応話を聞きたかったんだけど・・・もういいや。いろいろとわかったから」

書類を鞄に戻している男から微かに血の臭いがした。

「ああああ!!!!」

この男をここで殺しておかなければいずれ自分が殺される。慎の力はそれを見抜いていた。男の首をナイフで刺し貫き、そのままナイフを斜め下に向かって引き抜く。男はゆっくりと顔を上げ慎を睨んだ。

「おめでとう。永久の輪廻は君を中心に回り始めた。君は無の力を手に入れたのだ・・・力は君の望むままに姿を変える。君がその力で何に使うか・・・それは君が決めるんだ」

1滴も血がついていない病室の床に微笑みながら男は倒れた。

「・・・・力、か・・・」

数十分後。紙袋を持った看護婦が再びやってきた。看護婦は慎に紙袋を渡し、中に入っていた服に着替えるように言いながら床に倒れている男の首、慎がナイフで刺した辺りをそっとなでた。傷が綺麗に無くなり、男がゆっくりと起き上がる。

「大丈夫よ。これは人形だから。同じようなの見たことあるでしょう?」

看護婦は将の家であった出来事を見ていたかのように言った。

「砂原君。君は永久の輪廻を廻す側のものになったよ。それは他の運命を変えることもできるほどの力を持てたということ。伽藍は貴方の手に入れた力で呪われた運命を全て断ち切ろうとしていた・・・砂原君。君はどうする?」

「決まっている・・・伽藍の意志を継ぎますよ。任せてください。伽藍翔子さん」

慎はナイフをポケットにねじ込み、病室を出て行った。伽藍の母が看護婦をやっていたというのは初耳だったが、彼女は全てを覚悟していたようだ。おそらく誰が生き残っても息子と同じ道を歩ませていただろう。たとえどんな手を使ったとしても。前回の永久の輪廻の生き残りであった彼女は自分の手で運命を断つことを考えたが、それは叶わなかった。それは彼女が無の力を人形を直したような復元の力にしたせいなのか麻薬のせいなのか・・・俺の無の力はまだ形を持たない。この力を運命を断つ力にすることが当面の目標となるだろう。見覚えの無い町並みのはずなのに自宅がどこにあるのか、通っている学校、よく行く遊び場、スーパーマーケットやコンビニに至るまで全て場所がわかる。これが俺がもともと持っていた力。直観力。

「ただいま」

家には誰もいなかった。父親は前回の永久の輪廻に弾かれ死んだ。母親は仕事に行っているのだろう。
慎は携帯で母に電話をした。全てを話すために・・・・



「ホコロビ」に続く・・・

第15話 「核心へ」

いつの間にか夕日が沈み始めていた。俺の体内時間としてはまだ4時頃。真冬でもない限りこの時間に夕日が見れるはずない。と、いってもこの異常な状況で体内時計を信じろというのは無理な話だが・・・

「この世界には一般人はその存在にすら気づけない、運命という物がある。数ある運命の中の一つが永久の輪廻だ。それは呪われし家系の血塗られた儀式・・・わかるか!?慎!!俺達は選ばれた者なんだ!」

伽藍がこんなに楽しそうにしているのは初めて見た。俺と将達が徹夜で考えた伽藍の誕生日祝いでも伽藍は微笑むだけだった。

「冗談じゃない!選ばれた!?ふざけるな!!!これじゃあ生贄に選ばれた様なものじゃないか!将達も・・・俺も!殺し合いをする運命に選ばれたくて選ばれたわけじゃない!!」

「ほぉ・・・慎。お前、子供はどうやってできるか知ってるよな?」

「な!?」

ナイフを探す時間稼ぎをしようと口走った言葉だったが、まさか逆に質問されるとは思っていなかった。時間稼ぎが完全に裏目に出てしまったようだ。

「数億の種が自分の意思で1つの卵と結合する・・・慎。お前の意思でお前は生まれたんだ!お前がこの運命を望んだんだよ!!」

伽藍の言ってる事があまりにも正しすぎて言い返せなかった。その時の記憶の有無を抜きにして、俺が自ら生まれてきたのは事実だ。

「慎・・・だがお前は今この運命の核心に触れた。生贄・・・そう、生贄なんだよ。俺達は」

「生贄・・・だと?」

伽藍が再び話し出した。ナイフを探すなら伽藍の集中力が分散している今しかない。俺は目だけで辺りを見回した。

ナイフは最も厄介な場所にあった。伽藍の靴の下。すなわち、伽藍は俺にこれ以上の反撃を許す気は毛頭なく、話が終わったら本当に俺のことを殺すつもりなのだろう。

「そうさ!俺達の家系は5人の生贄の中で最も強い者を神に奉げ、その見返りとして特殊な力を授かっていた。紀元前からな。時代によっていろいろな呼び名で呼ばれていたんだぜ?陰陽師とか、霊媒師とか超能力者だとか・・・神と言われたこともあったな」

「それがお前の言う力か?」

伽藍はフェンスに寄りかかるように座っている俺の1メートルほど先に立って俺を見下ろしている。この状況から俺が伽藍からナイフを取り戻すには伽藍の攻撃を何とか避け、伽藍を突き飛ばすのが最も確実だ

「わかってるじゃないか・・・だがな、本来の俺達の力は直観力が強いとか読心術ができるなんていう生温いものではない!!本来の俺達の力は生命を消し去る事に適した物だったんだ!それを・・・それをよそ者が持ち込んだ麻薬でこんなしょぼくれた力に!!だからリセットするんだ!!この輪廻を!!この運命を!!一度リセットして1からやり直すんだ!!俺達の代で!!」

今理解した。俺を殺した後伽藍が何をするつもりなのかを。伽藍は俺を殺した後自殺して、この運命の生贄にする1人を消すつもりだ。

「だったら町の人々を殺したのはなぜだ!この運命とは関係のない人々だろ!?」

「ふざけるな!!そもそもあいつ等が麻薬を麻薬と知らず今でも服用し続けていなければこんな事にはならなかったんだ!!将達のように力の覚醒が送れ、何もできないまま弱き者として死ぬこともなかったんだ!!!」

「グ・・・・」

伽藍の言葉が終わったと同時に凄まじい頭痛が俺を襲った。将達の痛みと怒り、悲しみが流れ込んできたような錯覚を覚え、その瞬間に俺の意識は体から解き放たれた。

ギィン

鈍い金属音と共にナイフが弾かれる。裂けた伽藍の靴下からは銀色の板状の物体が覗いている。俺はまだ立ち上がりきれていない伽藍のわき腹に蹴りを放った。難なくそれを腕で防ぎ、後ろに跳んで距離をとった伽藍に体当たりした。

「変だと思わなかったか?なぜ明治時代の話を持ち出したか!それとアレがどう関係しているのか!」

倒れながら伽藍が言い放つ。正直ずっと気になっていた。だが、それは聞いてはいけないと思う。聞いてしまったら今まで自分がしてきた事が全て否定されそうだから。俺は伽藍の言葉を無視して伽藍に馬乗りになった。が、すぐに伽藍が体を捻って落とされる。そして素早く立ち上がった伽藍の体当たりで倒された俺は逆に馬乗りにされた。

「教えてやるよ。聞きたくはないだろうがな!!」

俺はナイフで伽藍の腹を刺そうとしたが、またも何かに弾かれた。俺の行動が全て読まれている様な気すらしてきた。

「黙れ!!」

俺の意思とは関係なくナイフが伽藍の太ももに突き刺さった。しかし、少しも怯むことなく伽藍は俺の顔を殴った。伽藍はほんの少し俺が怯んだ隙にナイフを抜き、俺の喉に押し当てた。

「落ち着けよ。クールに行こうぜ?熱くなると力が暴走するしな・・・」

「さっきから力だの暴走だの麻薬だの意味わかんねんだよ!!」

俺は喉のナイフを気にもせずに。刃物を弾くような金属が入っている伽藍の腹を殴った。当然伽藍にダメージがあるようには見えない。しかし、それでも俺は殴り続けた。何度も、何度も。伽藍の服が俺の血で赤く染まった。

「もういいか?」

黙って殴られていた伽藍が口を開いた。

「殺せ」

言い放った俺の喉にナイフがほんの少し刺さる。俺にはもう動く気力すらない。脳も既に考えることをやめている。今はただ将達に会いたかった。会って他愛もない話をしたかった。

「殺せ」

もう一度言ったところで伽藍が立ち上がり、俺の服の襟を掴んで屋上のフェンスまで引きずって行った。
伽藍はそのまま立つ気力もない俺を容赦なくフェンスに叩きつけ、ナイフを投げ捨てた。

「殺してやるよ。だが・・・」」

伽藍はフェンスに寄りかかる様に座る俺に目線を合わせながら言った。

「明治時代に伝わった麻薬が現在もこの町に残っていると言ったらどうする?俺達が毎朝その麻薬を飲んでいるとしたら?俺がその麻薬をこの町ごと消そうとしてるとしたら?そして・・・もしも俺とお前、将や玲奈、香奈恵は血が繋がっていると言ったら?それでもお前はここで何もせずに、俺に殺されるか?」

俺の脳が再び思考を始める。毎朝飲んでいる、と伽藍は行った。この町は毎朝自治会から配布される錠剤を飲んでいる。昔この町を病が襲ったときから飲むことが習慣となっていたらしい。町中の人々が飲んでいるのでそれが常識なのだと思って俺も飲んでいたあの錠剤は・・・そして俺と伽藍、将達に血縁がある・・?

「俺達が飲んでいる麻薬の効果はある血筋の者に特殊な効果を出す。それが俺達の血筋だとしたら?将達は覚醒が遅すぎたために永久の輪廻に弾かれて死んだとしたら?俺達のこの忌々しい戦いが紀元前からずっと続いているとしたら?」

混乱する俺に追い討ちをかけるように伽藍が問う。先ほどまで眠っていた脳が高速で回転するような錯覚を覚えた。たまらないほどの吐き気がする。だが、徐々に欠片だった謎が固まり始めた。俺の直感力が突如良くなり始めた理由がわかった。俺が毎朝飲んでいた錠剤の正体も・・・だが、1つだけどうしてもわからない。

「永久に輪廻に弾かれた?紀元前から続いている・・・?」

話に食いついた俺に、伽藍がにやけたような気がした。

「麻薬か。80%は正解だ」

「80%?」

「そうだ。その薬草はただの麻薬ではない。放射能を浴びせ続け、突然変異を起こした物を栽培、量産した物だ」

突然変異を起こした麻薬。普通の麻薬でさえ過剰摂取すると身体に絶大な影響を与える代物なのに、その突然変異体を薬代わりに1日に数回摂取していた町の人々がどうなったか。一寸想像しただけで吐き気がする。

「町に訪れた異国人の真の目的はこの突然変異した麻薬が人体に及ぼす影響及び商業価値の調査だった。この町の様な地図にも載っていない無名の島は打って付けの実験場だったわけだ」

「人体実験をしていたって言うのか!!ふざけるな!!!」

ナイフを握る手に自然と力が入る。爪が皮膚に食い込み、血が滲み出るほどに。

「確かにふざけていることかも知れない。だが、この事により町の人々の苦しみは消えた。慎。なぜ麻薬はやってはいけないと思う?」

「苦しみは消えた!?黙れ!!そんな一瞬の安らぎのために未来を犠牲にさせられたんだぞ!!」

「その一瞬の後に何が残っていようとも欲しい安らぎだとしたら?それほどの苦しみを毎日味わっていたとしたら?町の人々だって馬鹿じゃない。見ず知らず、どこから来たのかすらもわからないような人間の差し出した物を用意に口にしたりしない」

「だったらなぜ!!!なぜそれを!!」

異国人はどのようにして人々に突然変異体の麻薬を摂取させられたのか。この話を俺は過去に聞いたことがある気がする。だが、どこで誰から聞いたのか全く思い出せない。いや、思い出したくないだけなのかも知れない。その証拠に俺の目線は俺の握るナイフに釘付けになっている。

「異国人は自分の腹を持っていた小さなナイフで切り裂き、麻薬を飲んだ。痛みを感じなくさせる薬だと言うことをアピールするためにな」

右手に持ったナイフが熱くなってきている様な錯覚。異国人が腹を切ったナイフ。そのナイフは今、俺の手中のある。認めたくは無い。だが、否定しようとすると頭が割れるように痛くなる。

「アピールの効果は絶大だった。人々は懇願するように麻薬を求めた。異国人はこの時に継続して摂取しなければ効果が消えることを説明しなかった。代わりに数日文の麻薬を人々に渡した。そっちのほうが効果があると思ったんだろうな」

「黙れ!!もういい!!もうたくさんだ!!!」

俺は自分の意思とは関係なく伽藍の座るタンクに向かって走りだしていた。何をすればいいのかわからない。ただ、これ以上伽藍にのまれてはいけない。そんな気がする。

「ははは・・・まだ力を制御出来てないのか!好都合だ。慎!!悪いな!これが俺たちの宿命なんだ!」

伽藍が何か叫んでいる。が、全く耳に入ってこない。今の俺には伽藍の息の根をどう止めるか、ただその思いだけが俺を支配し、動かしている。

タンクから跳び下りた伽藍の足元に向け、俺はナイフで切りかかった。

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