ここから本文です
Blessed with Twins
ブログは終了いたしました。

書庫全体表示

以前紹介した、「オランダへようこそ」。これはスペシャルニーズのある子供のいる親の間ではあまりにも有名な文章です。
 
ところが最近、この「オランダへようこそ」が、実は一部の自閉症を持つ子供の親のあいだで不評であるということを知りました。「オランダへようこそ」は、ダウン症のお子さんがいる、エミリー・パール・キングスリーという人が書いたのですが、「自閉症は、そんなオランダなんて生易しいものじゃないよ!」と思う人たちがいるのも納得できます。
 
ゆったりとした優しい口調で語られる「オランダへようこそ」を皮肉って、「ベイルートへようこそ」を書いた人がいます。ちょっと自虐的な、切るような口調で書かれた文章を読んで思わず苦笑するのですが、最後の部分は胸に響いてくるものがありました。「他の子にとってはごく普通の成長に驚愕し」や、「喜びにまさる喜び」。そして極めつけは、一番最後の「普通のどこが面白い?」確かにこの人生に慣れると、普通の生活は退屈だろうなあと・・・。
 
私個人の場合は、「オランダ」を読んだ時も他人事として感動し(うちは事情が違う、と思ったため)、「ベイルート」を読んでも、わが子が徐々に壊れていくのを目撃しその後必死で答を模索している私の体験は少し違っている、と思うのです。そのうち私の「○○へようこそ」を書いてみようかな。行先はどこかな。
 
「ベイルートへようこそ」の原文へのリンクはこちらです。
 
とても長い文章なので、かなりあちこち省いて訳しました。雰囲気が伝われば・・。
 
 
ベイルートへようこそ(初心者のための自閉症ガイド)   Susan F. Rzucidlo
 
自閉症を持つ子を育てるってどんなふう?ってよく聞かれるのですが、経験のない人たちに理解してもらうために書くと、それはこんなふうです。(訳者注:この部分は「オランダへようこそ」の出だしを真似してちょっと皮肉っている。)
そこにいるのは幸せな暮らしを送るあなた。足元には一人か二人の赤ちゃんがいて、完璧な人生。
ある日のこと、何者かが背後から現れあなたの頭に黒い袋をかぶせる。そいつはおなかを蹴り、心臓を裂こうとする。恐怖におびえたあなたは叫びながら蹴り返し、そこから逃げようとするけれど、敵が多すぎる。ついには車のトランクに詰め込まれてしまった。痣だらけになり、どこにいるのかもわからず呆然とするあなた。これからどうなるの?生き残れる? これが、「お子さんは自閉症です。」との診断を受けた日。
あなたはベイルートにいた。そこは戦争の真っただ中。言葉もわからなければ、何が起こっているのかもわからない。「生涯治ることは無い。」「中枢神経の障害」という爆弾が落とされ、「冷蔵庫マザー」という銃弾がビュービュー飛んでくる。あげくに、「しつけが悪いから。」という言葉でひっぱたかれる。こんなところに志願した覚えはこれっぽっちもない、今すぐに出ていきたい。神様に過大評価されている。でも、残念ながら辞任を申し出る場所はどこにもない。
(訳者注:このあたりかなり略)
警告! あなたが妙なユーモアのセンスを身につけることは確か。時折銃弾や爆弾にやられるのだが、それらはあなたを殺すほどは強くなく、ぱっくりと開いた傷を作るのにちょうどよいだけ。子供の症状がわけわからずに悪化するときには、みぞおちを蹴られたかのように感じ、いじめっ子が子供をばかにしたときには心臓が痛む。「生涯治らない。」という理由で保険会社がセラピーの料金支払いを拒否するときには血圧も上がる。
それでも希望の泉は枯れない。
そう、希望はある。新しい薬もあれば、リサーチも行われている。あなたよりも以前に戦ってくれたすべての人たちに感謝。あなたの子供は必ず進歩する。子供が初めて言葉を話したとき、それはもしかしたら8歳のときかもしれないけど、天にも昇る気持ちになるだろう。奇跡を体験し、大喜びするだろう。ほんの小さな前進が大きな大きなものに感じられる。ほかの子供にとってはごく普通の成長に驚愕し、それがどんなにものすごいことなのかを知る。悲しみを知り、喜びにまさる喜びを知ることになるだろう。公園で、頼まれたわけでもないのにあなたの子に優しくしてくれる、泥だらけの顔をした天使たちにも会うだろう。あなたの子に敬意を払い、心から心配してくれる愛情のあふれる看護師や医者だって、いることはいる。レストランやモールで、あなたたちを理解のある目で見る人たちにも会う。彼らはわかっている。似たようなことを経験している人たちだから。あなたはこれらの人々に永遠に感謝するだろう。勘違いしないでほしいのは、これは戦争で、ひどいことだということ。除隊されることはなく、あなたがいなくなったときには誰かがかわりに戦わなければいけない。
それでも、戦争には小康状態もある。そんなときには銃弾にも爆弾にもあわないし、花が咲いているのが見え、それを摘むこともできる。生涯の友人もできる。よい時だってある。そして、悪いときがどんなに悪いかを知っているために、良いときはさらに良く感じる。あなたの人生が普通に戻ることは決してない。でもね、いったい普通のどこが面白い?
 

  • 顔アイコン

    こんにちは。私、そういう本があるとは知りませんでした。

    知り合いにダウン症のお子さんをお持ちの人がいます。我が息子はアスベルガー(でしたっけ?)といわれていますので、この「ベイルートへようこそ」の「頭に黒い袋を被せられて、、、」というのはよく分かります。
    ただ、息子の場合はマイルドみたいなのと、他のお父さんの話を聞くと、その子は高校生くらいで一般の子と変わらなくなったと聞いています(発達障害だからでしょうか?)。

    とにかく、Akoさんの本が出るのを楽しみにしています!

    [ suika ]

    2013/8/2(金) 午前 4:45

  • 顔アイコン

    Suikaさん
    本ではなくて、作者の方がインターネットで発表した短文です。多くの親に反響があって広まったようです。
    スペクトラムには、いろんな人たちがいっしょくたにされていますが、本当はたくさんの違ったケースではないかと個人的には思っています。アスペルガーと一言で言ってもその中にも違う人たちがいるかもしれませんね。

    [ Ako ]

    2013/8/6(火) 午前 3:25

本文はここまでですこのページの先頭へ
みんなの更新記事