東北の田舎で内科医さんちゃごがたまに書く日記

悲観主義は気分によるもの、楽観主義は意志によるもの。楽観主義で参りましょう!

理系

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先週からこの近所で、「吐き気・下痢を伴う風邪」が流行っているようです。
そのことに関連してひとつ…。


1996年(平成8年)の夏のことでした。
大阪府堺市で病原性大腸菌O−157による感染性胃腸炎が大流行しました。
患者さんの中には、『溶血性尿毒症症候群(HUS)』を併発して重症化された方もいました。
HUSは、O−157が産生するベロ毒素による重篤な合併症です。

主に小児で重症化したケースが多かったようです。
亡くなった方もいらっしゃいました。

大流行が落ち着いた頃に、数千人に上った患者さんについて「治療歴(=どのような治療をうけたか)」
が調査されました。
その解析の結果いくつかの傾向が判明しました。その一つが以下のようなものです。


『下痢止め』の薬を飲んだ方は、HUSを発症する可能性が高かった。
(平たくいうと、『下痢止め』を飲んだために却って重症化させてしまった…ということです。)


下痢という現象は、腸管内に入り込んだ異物を洗い流そうとする生体の反応と見ることもできます。
それを止める(下痢止め)ことは、病原菌や毒素を体内に留めてしまうことになりかねないのです。
結果的にHUSの発症・増悪を(間接的にでも)促してしまうことになりかねません。

それを知ってから私は、下痢の方にはほとんど『下痢止め』は処方しません。
(ちなみに乳酸菌製剤などの『整腸剤』は、『下痢止め』とは違います。
『整腸剤』(ラックビーやビオフェルミン等)は、むしろ積極的に処方します。)


食中毒(食あたり・水あたり)が疑われる下痢の時、(商品名を出して申し訳ないのですが)
『正露丸』や『ブスコパンA錠』を服用するのは非常にまずいのです。


公け(厚生労働省など)のHPでは、このような意見は表立っては発表できないと思われます。
しかしこれは、1996年の事件から導かれる一般的な考察です。
(私は大正製薬や日本ベーリンガーに恨みがある訳ではありません。優秀なお薬をたくさん出している会社です。)

下痢の時は、まず十分な水分の補給を心がけて下さい。
「水を摂ると下痢をする(下痢がひどくなる)」と考えている方が時々いますが、誤解です。

ひどい下痢というものは、体の水分を搾り出してでも出るものです。
コレラがその典型です。失われた水分(と塩分)は補給しなければなりません。

さらに1日5回以上の下痢をする時は、速やかにお近くの医療機関にご相談下さい。


『下痢止め』の服用は、『習慣性下痢』『神経性下痢』(過敏性腸症候群)の時だけにしましょう。

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『正露丸』や『ブスコパンA錠』は日頃からお世話になってる薬ですが、使いどころをきちんと見極めねばなりませんね;´_ゝ`)素朴な疑問ですが、『コーラック』のような所謂下剤は整腸剤とは違うんでしょうか?

2005/8/14(日) 午後 5:30 [ - ]

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全然関係ない余談ですが、下痢止めの『正露丸』と下剤の『コーラック』を同時に飲んで『正露丸』vs『コーラック』でどっちが勝つか対決させるとコーラックが圧勝して下痢する確立が格段に高いんだそうです。恐るべし『コーラック』ですね;´_ゝ`)

2005/8/14(日) 午後 5:32 [ - ]

ハンクさん、こんばんは。『コーラック』は『腸管刺激性下剤』と呼ばれます。腸を少し刺激して動きを良くし、排便を促すお薬です。ラックビーなどの『整腸剤』は、腸内のいわゆる『善玉菌』を増やして腸の働きを整えようというものです。(ヤクルトやヨーグルトも整腸剤と同様の働き)

2005/8/15(月) 午前 1:40 さんちゃご

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『下痢止め』として最も強いお薬は、もしかすると『モルヒネ』かも知れません。(しかしモルヒネを『下痢止め』として処方することは許されませんが…。)

2005/8/15(月) 午前 2:04 さんちゃご

お水の補給なんですね、まずは。たとえばポカリとかでもいいのかしら?

2005/8/15(月) 午前 9:43 姉さん

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さらさん、こんにちは。ポカリがいいと思いますが、結構甘いのが気になります。個人的には「ポカリを水で2倍に薄めたもの」をお勧めしています。

2005/8/15(月) 午後 6:21 さんちゃご

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なるほど、乳酸菌が作る抗生物質で腸内で繁殖している連中を殺してもらおう、というのですね。

2005/8/16(火) 午後 9:57 海風@えんじに屋

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海風さん、こんばんは。乳酸菌とは、乳酸を生成するいくつかの菌の総称です。いわゆる「抗生物質」は産生しません。しかし乳酸菌が種々の病原菌の感染を抑制しているのは確かです。(乳酸による酸性化、H2O2を産生し抗菌する)さらに免疫応答を活性化させるという報告もあるようです。(南山堂・戸田新細菌学32版より)

2005/8/18(木) 午前 0:43 さんちゃご

古い記事にレスして済みません。私も、時々(非常勤で)、田舎医師をしていますが、下痢止めは、まず使ってません。ビオフェルミン細粒と胃薬を混ぜたものを処方して、補液(抗生剤を入れたりもします)して、様子をみることがほとんどです。早く腸管から菌を追い出した方が良さそうですからね。上記の記事の1996年頃、まだ学生で、「下痢に下痢止めは使わない方が良い。」と講義で聞いたのを、ちょっと懐かしく思い出させて頂きました。

2005/10/14(金) 午後 6:57 [ ShinShin ]

おお。shinshinさん、ご同業でしたか!その頃私はほんの駆け出し(研修医)でした。宜しくお願いします。

2005/10/14(金) 午後 7:54 さんちゃご

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私も、「ポカリのお白湯(さゆ)割り」を患者さんに勧めています。原液だと、却って腸管刺激になったりするかなあと思って、勝手な「あみ出し療法」でしたが、「さんちゃご」さんもそうされている(上記2005/8/15のレス)と書いてあって心強いです。

2005/10/14(金) 午後 8:16 [ ShinShin ]

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学生の頃の登山の時の経験で、何となくそうしていました。実際に、原液のポカリは糖分が高すぎるため胃からの排出(つまり吸収も)が遅くなるそうです。薄めた方が、吸収がずっと早いらしいです。

2005/10/15(土) 午後 1:17 さんちゃご


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