「アンバー」って名前より、
日本人にはやっぱり「琥珀(こはく)」って名前のほうがピンとくるはず。
アンバーは宝石のひとつに数えられるけど、
鉱石じゃなくって、数千万年から数億年前の樹脂が地中に埋もれて化石となったものなんです。
珊瑚や真珠、鼈甲(べっこう)などなど、一部の動物由来のものを除くと、
宝石のほとんどは鉱石で、アンバーみたいに植物由来のものってとっても珍しい存在なんですよ。
アンバーの内部には、ときどき昆虫や植物の葉が混入してます。
昆虫が封じ込められたのは「虫入り琥珀」って呼ばれて、
見た目におもしろいだけじゃなく、学術的にもとっても価値の高いものなんです。
そう、アンバーって太古から現代に贈られた『タイムカプセル』なんですよね。
☆〜☆〜☆
アンバーって名は、古代アラビア語の「海の漂流物」って単語に由来してるって言われてます。
これは嵐のあとに海から打ち上げられたものだったから・・ってことだそうです。
和名の「琥珀」はもともと中国語で、
「虎死して、則ち精魂地に入りて石と為る。それすなわち琥珀なり」っていう
言い伝えに由来してます。
琥珀っていえば、いわゆる「琥珀色」の温かみのある透明な黄褐色を思い浮かべるけど、
産地や原料となる樹木で、褐色、白、青、緑、黒といろんな色があって、
250色もの色彩があるっていわれてます。
英語のアンバーもまた、日本語と一緒で、黄色みがかった褐色の色名でもあるんですよ。
☆〜☆〜☆
カリブ海に浮かぶドミニカ共和国では、
「ブルーアンバー」って呼ばれる、希少なアンバーが採掘されてます。
ブルーアンバーは通常の光の下では、典型的な琥珀色、すなわち黄褐色をしてるんですが、
紫外線があたると、青色やエメラルドグリーンの蛍光色を発するんです。
この神秘的な現象の原因は、まだ解明されてないことのほうが多いんですが、
一般的には、火山活動によって発生したガスがなんらかの影響を与えて、
アンバーの内部に金属イオンを形成するためだっていわれてます。
☆〜☆〜☆
アンバーの世界的な産地のひとつに、岩手県の久慈市があります。
久慈産のアンバーは、白亜紀後期のスギ科の針葉樹の樹脂でできていて、
赤みを帯びた茶褐色や黒色、縞目の模様なんかが多く産出されてます。
岩手県が誇る文学者『宮沢賢治』にも、琥珀は非常に馴染みの深い宝石でした。
「石っこケンさん」とからかわれるくらい鉱物好きの賢治は、
空や太陽、月、星、海などの色合いを、いろんな宝石を使った比喩で表現してます。
「水仙月の四日」って童話には、
「まもなく東のそらが黄ばらのやうに光り、琥珀いろにかゞやき、黄金に燃えだしました。
丘も野原も新しい雪でいっぱいです。」って溜息が出るくらい美しい朝日の描写があるんですよ。
☆〜☆〜☆
「昆虫が封じ込められた琥珀」っていえば、
1993年に公開されて大ヒットを記録した映画「ジュラシック・パーク」が記憶に新しいのでは。
恐竜の血を吸った蚊からDNAを抽出して、現代に蘇らせるっていう
壮大なストーリーで大きな話題を呼びましたよね。
現実的には長い歳月の間に、蚊も化石化しちゃうから、
DNAを取り出すってのは不可能近いんですが、とっても夢のあるお話。
最近ではアメリカでアンバー内のバクテリア生物を蘇らせて、世界中を驚かせましたよね。
日本の久慈琥珀は、中生代後期のもので、世界的にも古い年代の琥珀なんです。
珍しい動植物をいっぱい含んでるから、貴重な資料として研究者の注目を集め続けてます。
1997年には世界ではじめて、鳥類の羽毛入りのが発見されたんですよ。
☆〜☆〜☆
アンバーはとっても古い歴史を持つ宝石です。
デンマークの遊牧民族は、1500万年前から装身具やお守りに利用してたって伝えられてます。
イギリスには結婚10年目に、夫から妻にアンバーを贈る習慣があります。
アンバーの贈り物には、「しあわせを贈る」って意味があるといわれてます。
アンバーは18世紀前半まで、海の産物だって信じられてました。
18世紀後半に入ってから、陸からも採掘されるようになったんですが、
海にまつわる伝説を各地に残しているんですよ。
当時は「北方の金」って珍重されてて、同じ重量の金と交換されるほど高価なものだったようです。
あと、アンバー細工は金銭の代わりに、奴隷の売買にも使われたってことなんです。
☆〜☆〜☆
ギリシア神話の中にもアンバーにまつわる美しいお話があるんですよ。
海神ポセイドンには美しい人魚の娘がいました。
彼女は人間の男性に恋をしちゃって、海の岩の上にあがってうっとりその姿を眺めてたんですが、
それを知ったポセイドンはカンカンに怒って、彼を雷で撃ち殺しちゃったんです。
残された人魚の娘は、哀しみのあまり、アンバーの涙をポロポロと流し続けたって・・・。
このお話から、アンバーには「人魚の涙」って別名があるんですよ。
あと、アンバーはギリシア語では「エレクトロン」っていいます。
これは「太陽のしずく」「輝くもの」って意味で、
アンバーには静電気を帯びる性質があるから、英語の「電気(Electricity)」の語源になったんです。
☆〜☆〜☆
古来から「財運の石」って呼ばれてて、豊かさの象徴といわれてます。
仏教では七宝のひとつにも数えられてて、
風水では西方を守る「白虎」の象徴とされててて、
やっぱり金運を呼ぶ石だっていわれてます。
アンバーはクリスタルについで、万能のパワーストーンなんです。
植物由来の深い優しさは誰にでもなじみやすくって、深い癒しの効果があるんですよ。
全身をあたためて、自己治癒力を増して、毒素を排出する肝機能に効果があるっていわれてます。
また、血行をよくして、いきいきとしたバラ色の肌を作ってくれるから、
美容にも強い味方の石なんですよ。
☆〜☆〜☆
|