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私は、日本のニュースは新聞のインターネット版で読む。
宅配の日刊紙を取っていた時代もあったが、無意味に気づいて止めた。
朝日、読売、毎日、産経、どの新聞もサイトがある。
1時間毎に更新されるので、ニュース性は抜群。
わざわざ高い金を出して新聞を取る人の気が知れない、と言えば暴論か。
朝日の「国際版」に、
「米軍、アイスランドから完全撤退」、という記事があった。
要は、アイスランドに長年駐留していた米軍が、時代の要請も薄れ基地を撤廃する、ということだ。
アメリカは、アイスランドに基地の用地代を払っていた筈である。
その代金は、アイスランドの経済に少なからぬ貢献をしていた。
アイスランドは、駐留費を払うから存続して欲しいと要請して、断られたと言う。
軍隊を持たないアイスランドは、今後は警察力をもって対外警備に当たる、とある。
20年前、アイスランドは時ならぬ脚光を浴びた。
所謂「レイキャビク サミット」である。
アメリカのレーガン大統領とソ連のゴルバチョフ大統領が、この国の首都レイキャビクで会談した。
人口僅か30万人の小国の、晴れがましい一瞬だった。
仲介役の、ヴィッディス..フィンボガドッティール大統領も、世界に名を知られた。
全て、この会談の持つ重要性ゆえ、である。
東西の融和の第一歩が、ここで始まった。
それから20年。
東西の融和はどんどん進み、アイスランドの基地は不要になった。
以前それは、ソ連にとって目の上のたんこぶどころか、喉もとの匕首とも思われた。
一役買ったサミットが、結果的にはアイスランドの経済と治安に不安を与えている。
私は、このアイスランドに4,5回行っている。
所詮仕事がらみだから、それほど国情に通じた訳ではないが、なかなか面白い国ではある。
面白い、と言うより奇妙な、と言った方が正しいかも知れない。
少なくとも日本人から見れば、変わった国だ。
まあ、日本もどちらかと言えば変わった国だろうから、人のことは言えないが。
ある意味では、日本とは正反対のような国である。
人口は、30万人前後。
最大の都市は、首都レイキャビク。
国民の40%近くが、そこに住んでいる。
北緯70度にある、小さな活火山の島。
言わば、絶海の孤島である。
人が住み始めたのは、9世紀後半と言われている。
とは言えヨーロッパ本土からの距離は、この国を半ば鎖国状態にする。
人種は、スカンディナビア、アイルランドが中心。
デンマークやノルウエーの支配下に置かれたこともあったが、何分遠い。
江戸時代の北海道のようなもの、と言えば分かり易いか。
隔絶された状態が続いた為か、面白い風習が残っている。
現代では、子供は父方の姓を名乗るのが、一般的だ。
日本もそうだし、アメリカやヨーロッパ各国もそれが普通。
だがアイスランドでは、子供は父の名前を名乗る。
厳密には名前だけではない。
父の名前の後に、男なら「Son」、女なら「Dottir」と続ける。
このDottirは、英語の「Daughter」だろう。
もし父の名前が、Christian(クリスチャン)なら、息子の姓は、Christianson(クリスチャンソン)となる。
娘なら、Christiandottir(クリスチャンドッティール)である。
この場合、父の姓は関係無い。
仮に父の姓が、Johanson(ヨハンソン)だとする。
つまり、父はJohan(ヨハン)という男の息子だ、と分かる。
彼は、クリスチャン ヨハンソン という人物である。
で、母はどうか。
母は母で、別の姓を持っている。
母の父の名前が、Birgir(ビルギール)であれば、母の姓は Birgirdottir(ビルギールドッティール)なのだ。
両親に息子、娘の4人家族は、全員が異なる姓を持っていることになる。
なんとややこしい習慣だろうか。
この姓名の付け方、昔は北ヨーロッパで一般的だったようだ。
アンダーソン、ジャクソン、ロバートソン、すべてその名残らしい。
ただ、他国はその面倒臭さ(?)に辟易して、それは廃れた。
遥か絶海の孤島のアイスランドだけは、取り残された。
今でも、彼らはそれを改めようとはしない。
まあ、意固地になっていることも考えられる。
うんざりしたような名づけ方も多い。
父が、クリスチャン ヨハンソン。
息子が、ヨハン クリスチャンソン。
孫が又、クリスチャン ヨハンソン。
別に困らなければ、それで良いが。
この習慣を守れば、結婚しても夫婦の姓は異なったままになる。
だから、新婚旅行には「婚姻証明書」が必携になる。
ヨーロッパの一流ホテルは、姓の異なる男女は同じ部屋には泊めない。
いい加減なホテルは知らず、4っ星5っ星のホテルは厳格だ。
「婚姻証明書」を提示して、初めて一つ部屋に入れる。
アイスランドでは、習慣的に普段は酒を飲まない。
月曜から木曜は、ほとんど禁酒に近い。
アルコール抜きのビールを飲む程度。
別に法律で禁止されている訳ではない。
どうも長い間の習慣らしい。
だから、中には飲む奴も出て来る。
そういう手合いは、皆に後ろ指を指されるそうだ。
かと言って、酒が嫌いな訳ではない。
私が行けば、必ずレストランでワインが抜かれる。
「良いんですか?」
と尋ねると、ウインクして、
「貴方が来てくれたことを感謝して、乾杯。」
こういう場合は,飲んでも構わないらしい。
そんな彼らだが、週末はがらっと変わるそうだ。
とにかく飲む。
流石に朝は飲まないが、昼は飲む。
夜はもっと飲む。
ずっと付き合ったわけではないから、これ以上は分からない。
だが、あの体格が「飲む」と言うのだから、推して知るべしだろう。
なんせ、国際線の到着サイトに、免税店がいくつもある。
乗客は、大きな瓶を抱えて出て来る。
「外国の免税店でお金を使うより、国内で使え」
そういう趣旨のようだ。
民主主義国家ではあるが、貧富の差は小さい。
「大学教授もホテルのメイドも、収入はあまり変わらない。」
だから、能力がある人は外国へ行きたがる。
と言っても、平均年収は決して低くない。
世界で5番目、日本よりずっと高い。
高い税金、基地の使用料がそれを支えて来た。
基地が無くなった今、アイスランドの経済の先行きは、あまり明るいとは言えない。
アイスランドの人々は、日本に親近感をもっている、そうだ。
と言うのも、この国は有数の捕鯨国。
国際世論の非難をものともせず、出漁している。
「早く日本に鯨を売りたい。」
漁業関係者の願いは切実。
レイキャビク市内にある鯨肉レストランでは、日本人には「刺身」を出す。
私は、この店で「尾の身」を入手、アメリカへ持ち帰った。
もし捕まったら、一騒動だったろう。
だが、ニューヨークで食った「刺身」は実に旨かった。
「密輸」のスリルも、加味されていたのだろう。
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なかなか興味深く読ませて貰いました。 名前はややっこしいですね^^; 確か最近はIT企業が盛んだと、テレビで見たような記憶があるんですけど、この先どうなって行くんでしょうね?
2006/10/1(日) 午前 4:52 [ bet*mo*u ]
人材流出が問題でしょうね。何処と無く日本の「過疎」に似て来たようにも見えます。 メールありがとうございました。
2006/10/1(日) 午前 8:52 [ tyke ]