還暦スイマー望郷日記

30余年のニューヨーク、今浦島の心境を…

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ワインブームだそうだ。
日本もそうだが、アメリカもそうだ。
「ワインブームって、随分前にも聞いたような…。」
そう思われるかも知れないが、今のブームはちょっと趣が違う。
一口で言えば、地に足が着いたブーム。
ぱっと広まるのではなく、じわじわと着実。
価格的にも、無理無なく呑める程度のもの。
日本なら¥1,500、アメリカなら12,3ドル。

ニューヨークは、アメリカの中でもヨーロッパにかなり近い。
物理的にもそうだが、精神的にもそうだ。
服装や、装飾品も落ち着いた感じのものが好まれる。
大人の街、と呼べるかも知れない。
冬は、黒一色。
全てにヨーロッパの影響が強い。
だからだろうか、フレンチワインが主流になる。

ブームとは言え、日本ではワインは未だ傍流。
人が集まれば、先ずビール、次いで焼酎、日本酒、と続く。
ワインは、ごく限られた場面で登場する。
イタリアン、フレンチ、若しくは洋風スナックの店。
当然、客は若い女性が中心。

日本の酒席は、食い物が重要である。
刺身、焼き鳥、なべ物。
人々は、呑みながら食う。
食いながら、呑む。
宴が果てる頃は、腹も一杯。
或る意味、健康的かも知れないが。

アメリカ人は、呑む時はあまり食べない。
食い物の代りを勤めるのは、「会話」である。
呑みかつ喋り、喋りかつ呑む。
合い間に、ナッツやクラッカーを摘む程度。
黙々と呑んでいる奴は、敬遠される。
適当に呑んだら、お開き。
まあ、帰宅時のラッシュを外す「呑み会」程度。

アメリカ人は、食べる時はレストランに行く。
ニューヨークには、幾千のレストランがある。
一人数千ドルのピンから、せいぜい20ドルくらいのキリまで。
ピンでもキリでも、食事への期待感はある。
メニューを睨んで、ああでもないこうでもない。
ウエイターを呼んで、詳しく内容を聞く人も多い。
色々尋ねた後、デザートのメニューを要求する人もいる。
前菜からデザートまで、きっちり計画してからオーダーする。

オーダーと合せて、飲み物も頼む。
「とりあえずビール」と言う人は、あまりいない。
本場フランスほどうるさくないが、ビールはこう言う場の飲み物ではない。
食前酒か、最初からワインか。
うやうやしくワインリストが差し出される。
キリの店なら、食事のメニューの最後に書いてある場合が多い。
ワインリストには、多い店なら数百種類のワインが載っている。
1本数千ドルの超高級フレンチワインから、2,30ドルの手ごろなものまで。

私は、先ず赤か白かを決める。
シーフード中心なら白、肉なら赤。
これは、全世界共通の選び方のようだ。
で、次は価格である。
「食べる物によって、軽いタイプとか重いタイプとかは?」
そういうことは、頓着しない。
知らないワインは、呑んでみなければ分からない。
ラベルで講釈を垂れるような、舌も経験もない。
「でもお客さんがいる場合…。」
なに、私はそんなにワインが分かる客や友人を持っていない。
分かるのは、白と赤の違いくらい。

普通、リストの上から3,4番目。
たまに、普段呑んでいる安いワインが、リストにある場合もある。
それは決して頼まない。
リストの半値以下で買えるものを、高い金を出して呑むことはない。
あまり知らない銘柄を選ぶ。
もし良かったら、後日酒屋でそのワインを探す楽しみもある。

ソムリエという人間がいる店もあるが、それは高級店。
普通は、ウエイターがその役を務める。
「このPenfoldというShirazを。」
なるべく正確に、ワインの銘柄を告げる。
行き当たりばったりに頼んだことを悟られるのは、面白くない。
「That is very good choice. (それは良い選択ですよ。)」
ウエイターも調子よく合せてくれる。

ワインが運ばれて来ると、お定まりの「テイスティング」。
何となく気恥ずかしい儀式だ。
ウエイターが、目の前でワインのコルクを抜き、グラスに少しだけ注ぐ。
コルクを逆さにして、注文した人の前に置く。
「ね、ちゃんとコルクが湿っているでしょ。」
そういう意味らしい。
注文者は、グラスを手にして、注がれたワインをゆっくり口に含む。
グラスの中身をぐるっと回したりしても良いが、あまり時間をかけると嫌がられる。
なんせ、ウエイターは幾つかのテーブルを掛け持っている。
こうしている間にも、向こうの席の客のメインディッシュが、キッチンで冷えかかっている。
気が気ではないのが、見て取れる。

このテイスティングは、何のためにするのか。
諸説がある。
曰く、
「酸化しているかどうかを、みるだけ。」
又曰く、
「そのワインの、本来の味かどうかをみる。」
しかし、それはよっぽど呑んでいないことには…。
未だに、しかとは分からない。

「不味かったら、返していいんだろう?」
そんなことが、出来るんだろうか。
以前、フレンチレストランで働いていた人に尋ねたことがある。
「良いんですよ、返しても。ただ、勘定書きには付いて来ますがね。」
それじゃあ、何にもならない。
「そりゃそうですよ。返されたワイン、どうすれば良いんですか?」
言われてみれば、もっともだ。
つまり、勘定書きを気にしない人だけが、そういうことが出来る、という訳。

口に含んだワインを、ごくっと飲み干して、
「Very good. (結構です)」
と、かるく頷けば、儀式終了。
他の人たちのグラスに手早く注ぎ、最後に注文者にも注ぐ。
一回目に注ぐ量は、グラスの数による。
5,6人に1本のワインなら、グラスの半分より少なめ。
でないと、全員に行き渡らない懼れがある。
2,3人なら、たっぷりと注ぐ。

高級店では、ウエイターの受け持ちテーブルの数が少ない。
だから彼は頻繁に現われて、ワインが未だあるかどうか、確かめてくれる。
安い店では、そうは行かない。
悠長に構えていると、誰も来ない。
止む無く、自分で注ぎ足すことになる。
どちらが良いか、は別の問題だが。

レストランで、ワインは何本オーダーすべきか。
これは、状況によって随分違う。
違うが、ある程度の適量はあるだろう。
2カップル、4人のテーブル。
前菜に合せて、白ワインを1本。
メインコースが肉中心なら、赤をもう1本。
これで充分。
2人だけの食事なら、白をグラスで貰い、赤をボトルで取る。
若しくは、最初から1本の赤だけ。
そんなところが、一般的のようだ。
酔っ払わない程度、が紳士のたしなみか。

子供の頃。
ワインなどという呼び名ではなかった。
「ぶどう酒」が普通。
ハチぶどう酒とか、赤玉ポートワインが銘柄。
赤くて甘い酒だった。
クリスマスなどの特別な時、ほんの少量飲ませて貰える。
これが、大好きだった。

親のいない時に、コップ一杯を盗み呑み。
酔っ払ってふらふらしているところを、帰宅した母にみつかった。
さんざん怒られたことより、ぶどう酒が旨かったことを良く憶えている。
栴檀は双葉より芳し、とか。
今はもう、あんな甘い酒はご免だが。

年代物のワインは、びっくりするほどの高値がつく。
1960年代の「ロマネ.コンティ」や「シャトー.ディケイム」。
まあ呑むことはないだろうが。
フランスでは、親から譲り受けた古いワインを持つ人が多いらしい。
「呑んでみないんですか?」
「とんでもない、これは大事な宝だよ。」
どうしても金は要る時、オークションに出す。
何十万円、時には何百万円の値もつく。

「で、結局誰が呑むんですか?」
開けたら、酢になっているかも知れない。
「誰が呑むのかねぇ。」
売った方も、買った方も知らない。
開けなければ、価値は永遠。
昨今のワインブームとは、いささか趣が違う話だ。


コーリー.ライドル、 34歳。
妻と6歳の息子。
職業 メジャーリーグ投手。
趣味 飛行機操縦。
自分の飛行機でマンハッタン見物の最中、50階建てのマンションに衝突、死亡。

彼の最後のマウンドは、10月6日のタイガースタジアム。
ヤンキースの2番手として登板。
1回3分の1を投げて、4安打3失点。
これがプレーオフでの彼の成績。

ライドルは、いわゆるジャーニーマンである。
「Journey man (旅行者)」
大リーグでは、チームを頻繁に変わる選手をこう呼ぶ。
誉め言葉、とは言えない。
ライドルも10年間の大リーグ生活で、7チームでプレーしている。
今年の開幕は、フィラデルフィア.フィリーズ。
そして7月、ボビー.アブレイユと共にヤンキースにトレードされる。
怪我人だらけのヤンキースの投手陣は、猫の手も借りたい状況。
先発に回って、4勝2敗。

昨年、ヤンキースには二人の救世主がいた。
アーロン.スモールとショーン.シャコン。
苦しい投手陣に彗星のように現われ、勝ちまくった。
ライドルは、このスモールと高校のチームメイト。
そしてもう一人、ジェイソン.ジアンビも同じチーム。
カリフォルニア、サウスヒル高校。

ライドルは、リプレースメントプレーヤーでもある。
「Replacement player (代役選手)」
1994年、大リーグ選手会はストライキに突入。
対するオーナー側は、マイナーリーグの選手を起用して試合を続行した。
この選手たちは、今でもそう呼ばれている。
ある意味で、「裏切り者」という含みがある。
ストライキが解決した翌年、彼らは苦しい立場に立たされることになった。
ローッカールームで、徹底的に無視される。
一緒の練習を拒まれる。
もともとマイナーにいた選手、それ程の実力は無い。
プレーさせた球団も、手の平を返すように冷たい。
必然的に、チームを転々とするようになる。

阪神タイガースにいたシェーン.スペンサーやロッテのベニー.アグバヤニも、リプレースメントプレーヤーだった。
彼らは、今でも選手会には入れない。
ライドルの死亡弔慰金も、選手会からは出ない。
それでもヤンキースは、彼の死に半旗を掲げた。
「2ヶ月しかプレーしていなくても、ヤンキースの選手には変わりない。」
早々と、プレーオフで敗退したヤンキース。
ほんの小さな、「良い話」かも知れない。

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