還暦スイマー望郷日記

30余年のニューヨーク、今浦島の心境を…

全体表示

[ リスト ]

「ストロベリーフィールド」
こう聞けば、
「ジョン.レノンの名前をつけたセントラルパークの一画」
を思い浮かべる人も多いだろう。
彼が住み、その前で殺されたダコタ.ハウスというアパートがある。
マンハッタンの西72丁目の角。
そこから通りを隔てて、セントラルパークがあり、パークに入ってすぐこのフィールドがある。
そして今もなお、多くのビートルズのファンがこの地を訪れて来る。

「ストロベリーフィールド」
この名前は、ジョン.レノンの子供時代にかかわっている。
イギリスの労働者階級の街、リバプールがジョンの故郷。
両親の離婚を契機として、彼は叔母ミミ.スミスに引き取られる。
その叔母の家の近くの、救世軍が運営する孤児院の名が、
「ストロベリーフィールド」
この孤児院で催される年に一度のお祭が、彼の最大の楽しみだったと言う。
「Strawberry Field Forever (ストロベリーフィールドフォーエバー)」
1967年にリリースされたビートルズの曲。
作者はジョン.レノン。

私は、ジョン.レノンに一度だけ会ったことがある。
会ったと言うよりちょっとすれ違った、と言う方が正しいかも知れない。
場所は、グリニッジヴィレッジのワシントン広場。
彼は、オノ.ヨーコと一緒だった。
こちらは数人が連れ立っていた。
気付いた仲間が声をかけた。
勿論、日本語で。
相手は、オノ.ヨーコだ。
一言、二言言葉を交わし、彼等はリムジンで去って行った。

それから3年後の1980年、彼は狂気のファンに拳銃で撃たれた。
ダコタ.ハウスの正面玄関で。

土曜日、私はストロベリーフィールドに行った。
と言っても、セントラルパークではない。
ニュージャージーにある、本当の「苺農場」。
我が家から、車で2時間。
渋滞もあって、実際は3時間半。
とてもニューヨーク近辺とは思えない、田園の風景が続く。

土曜日とあって、「苺農場」はそこそこの入り。
$1.40の入場料を払う。
これで、食べる方は幾らでも自由。
ただし、持ち帰り分は買わなければいけない。
摘んだ苺を入れる小さな箱を、幾つかくれる。
それをもって、大型トレーラーが牽引する木製のワゴン車に乗り込む。
20人ほどの乗客を乗せて、ワゴン車はゆっくりゆっくり進む。
乾いた土の道だから、急げば土ぼこりが立つ。

精々5分の乗車時間で、現地到着。
「奥から2番目の畑で摘んで下さい」
指示が下る。
何処でも、という訳にはいかないらしい。
だが、その畑には既に幾人かの人たちが散らばっている。
「これじゃあ、あんまり採れないかも知れないな」
採り始める前から、弱気な言葉も洩れる。

紙製の小箱を手に、畑にしゃがみ込む。
見れば、小さな赤いものが見え隠れしている。
おお、苺ではないか…。
小指の頭ほどの奴をちぎって、口に運ぶ。
かすかに甘く、かすかに酸っぱい。
何となく、昔食べた苺を思い出させる味だ。
木箱に並んで、果物屋の店先にあった苺。
牛乳と砂糖をかけ、スプーンで潰して食べる。
一人に5,6粒程度だったから、高価だったのだろう。

2,3粒食べて改めて見回すと、結構赤いものが見える。
大きめのものは小箱に入れ、小さいものは口に運ぶ。
大きいものを食べても、誰にも文句を言われることはない。
分かっているのだが、自然に大きいものは小箱へ。

15分も経つと、この苺摘みの手法が段々分かって来る。
苺は、ひとつの小枝に4つ5つ生っている。
その場合、大きいものは精々一粒か二粒。
そして、重み故か地表についているものも多い。
つまり、下に目を配ることが肝要なのだ。

その昔、「地見屋」という商いがあったと聞く。
要するに、朝早く地面を見ながら歩く商売。
結構色々な物が落ちている、と言う。
財布のような大物は滅多に無い。
が、小銭やライター、めがねなどの収穫はそこそこあったらしい。
「聞いた話」だから、何処までが本当かは分からない。
ただ、苺摘みをしていて、ふっと思い出した。

童心に還って苺を摘む。
楽しくないことはないが、腰が痛いのは応える。
いちいちしゃがみ込んで2つ3つ採り、腰を伸ばして場所を換える。
これの繰り返し。
大きい奴を見つけた喜びと、かがめる腰の痛さ。
秤にかけてみると、段々腰の痛さが重たくなる。

日本人は、しゃがむことになれている。
それでもこれだけ痛いのだから、しゃがみが不得手の異人種はどうか。
見てみると、彼等はしゃがまずに腰を曲げて苺を摘んでいる。
足が長い分、曲げる角度は大きくなる。
かなり辛そうではある。
とは言え、小箱を3つも4つも一杯にしている。
根性はかなりのもの、と見た。

小箱を3つほど満たして、そろそろ止め時かと思ったら、
「新しい畑を開けます」
このアナウンスを聞いたからには、行かねばならぬ。
他の連中も、痛む腰をさすりながらそちらへ向かっている。
そうなると、こちらも急ぎ足になって来る。
早く辿り着いても、どうということは無いのだが。

流石に今日初めて開けた畑だけに、大きな粒が探さずとも見つかる。
何となく嬉しくなって、腰の痛さも忘れて苺を摘む。
先ほどなら興奮したような大粒が、幾らでもある。
手元の小箱の苺が、みすぼらしくさえ見える。
小さめの物は、食べたり捨てたり。
結局4箱を満たして、終わりにすることにした。
と言っても、この4箱は帰り際に代金を払わされる仕組みだ。

帰りも再び、トラクターの引くワゴン車に揺られる。
改めて見てみると、苺畑の隣には桃の木が植えられた一画がある。
そろそろもいでも良さそうな桃が、まさにたわわに実っている。
右手には、とうもろこしの畑が何処までも続いている。
「来週辺りから、『桃狩り』が始まるよ」
どうやら、この農園は「客に収穫させる」のが専門らしい。

今や、果物野菜は世界中からアメリカに集まって来る。
安い人件費で収穫された他国のものと市場で勝負するのは、割りが合わない。
それならば、いっそ一般客に収穫させる方が良い。
それは、市場の原理の外にある。
考えてみれば、なかなか上手いビジネスかも知れない。
苺が終われば桃とブルーベリー。
それが終われば、トマト。
計画的にやれば、ほぼ1年中何かを「収穫させる」ことは出来る。

私たちが摘んだ6箱の苺は、$13.50だった。
「スーパーなら10ドルしないわね」
第一、スーパーにこんな小粒の苺は置いてないだろう。
だが、十数年ぶりに大地から何かを得る、という楽しみ。
それをその場で口に運ぶ、という小さな感動。
そういうものを含んでいれば、決して高くはない。
まあ、翌日まで残った腰の痛みは、余計なおまけだが。


よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

衛生対策製品クレベリンの姉妹ブランド
クレベ&アンドハンドジェルが新登場
今だけ。お試しキャンペーン実施中!
抽選で150,000名様に当たるチャンス!
マツモトキヨシで期間中何度でも使える
100円引きクーポン<Yahoo! JAPAN>
ふるさと納税サイト『さとふる』
最大10万円分旅行クーポンが当たる!
≪10月31日まで≫今すぐ応募!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事