還暦スイマー望郷日記

30余年のニューヨーク、今浦島の心境を…

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イタリアンでワイン

昨日、久し振りにマンハッタンで食事をした。
知人の誕生祝いに、招待されたのである。
もう久しく、レストランというところで食事をしていない。
別に、「行かない」と決めているわけではない。
「行きたい」が、「行かれない」という方が正しい、

フレンチであれイタリアンであれ、食事にワインは付き物。
和食だって、ビールか日本酒が無ければ寂しい。
で、問題になるのが、「DUI」という代物。
「Driving under intoxicated 」
簡単に言えば。「酒酔い運転」のこと、
これが、最近ますます大きな問題になって来ている。

日本のように、「一滴もダメ」ということは無い。
法定基準を下回っていれば、罰は免れる。
だいたい、「ワイン2杯」くらいだとか。
ビールなら、小瓶2本程度だろう。

思うに、酒というものは計算しながら呑むものではない。
「これが貴方の分です」
2杯のワインをポンと置かれたら、どうだろう。
お銚子1本半を、横目で睨みながら飯を食って、旨いだろうか。
「無いよりはまし」
まあ、そんなところだろう。

で、昨夜は車を家に置いて、バスと地下鉄を乗り継いだ。
クルマなら20分だが、公共機関を利用すると1時間半かかる。
さらに、歩く部分も結構ある。
それもこれも、全て「旨い酒、旨い飯」のため。

先ず、知人の家に集まる。
テーブルには、軽いおつまみとシャンパンが用意されている。
ここでちょっと下地を入れて、という趣向。
他の招待客も、三々五々集まって来る。
幾度か会ったことがある人たちばかり。
シャンペンを呑み、チーズを摘んで近況など報告しあう。
注がれるままに、どんどん呑む。

1,2時間ほどで、シャンペンもあらかた呑みあげた。
そこで、レストランへ出発。
知人の家はセントラルパークのすぐ西側なので、飲食店は結構多い。
ほろ酔いで初夏の街を歩くのは、なかなか気持ちが良い。
自然史博物館のすぐ横に、目的地のイタリアンレストランはある。
階段を下りると、マネージャーらしい大男がにこやかに迎えてくれる。

世界的に、「イタリアン」ブームのようだ。
世界一と自認していた「フレンチ」は、このところ旗色が悪い。
バターや生クリームを多用する「フレンチ」は、ダイエットの敵。
オリーブオイルの「イタリアン」の方が、低カロリーと信じられている。
「フレンチ」も、低カロリーを目指しているようだが、巻き返しは簡単ではないようだ。
店内は結構広い。
その一番奥に、9人の丸テーブルがしつらえてある。
各自適当に座を占めると、
「ワインを選んでくれないか」
今日の主役、80歳になったばかりの知人から声がかかる。

彼は私が結構なワイン通だ、と思っているようだ。
確かに量はそこそこ呑んではいるが、名も無い安ワインが殆ど。
一頃は、「ワインの本」など読んだこともあるが、最近はさっぱり。
言いたくないが、「呑めれば結構」状態である。

分厚いワインリストが、私の前に置かれる。
先ず「シャンペン」の部だが、これはパス。
続いて「白ワイン」。
フランス、イタリア、アメリカ、その他の国、の順番だが、これもパス。
白で始めて赤で終る、というのが過去のワインの選び方だった。
だが、今はそういう人はあまりいない。
白なら白、赤なら赤でずっと通すのが、トレンディ(流行)のようだ。

私はこの、「人が払うワインを選ぶ」のが苦手だ。
高いものは避けたほうが良いし、だからといってあまり安いものでは彼の面子にかかわる。
「ワインは価格的に下から3番目くらいを選べ」
そんな指南を読んだ覚えもあるが、価格だけで選べば何が来るか分からない。
一応ご指名を受けた以上、少なくともまあまあのワインを選びたい。

そこで、私は「その他の国々」に眼をつけた。
ワイン新興国は、結構旨いワインを低価格で出している。
それは、チリでありオーストラリアだったが、彼らは最早「新興国」ではない。
今ワインの売り出しに力を入れているのは、アルゼンチンと南アフリカ。
どちらも、2種類づつリストアップされている。
南アフリカのワインは、45ドルと48ドル。
リストの中で一番安いのが35ドルだから、価格的には過不足は無い。
ただ、どちらにすべきかが分からない。

私は、ウエイター呼んだ。
2つのワインを指差し、
「どちらが Light body(軽め)か?」
お客は皆年配だから、軽いワインの方が良いだろう。
「???」
ウエイターは、返事をしない。
「Which is ligter?(どっちが軽いのか)」
改めて聞き返す。
彼は、一瞬ためらってから、48ドルを指差す。
どうも、よく知らないらしい。

「OK、we’ll take it (じゃあ、それにしよう)」
なんとも危なっかしいワイン選びは、これで落着。
旨けりゃめっけもの、不味かったら、
「南アフリカは、なかなか良いワインを作っているんですがねぇ」
くらいで逃げるしかないだろう。

ワインが済んだら、自分の食事をオーダーしなければならない。
「Calamari fritto(イカのフライ)」を、前菜。
「Spagetti ala vongole (ハマグリのスパゲッティ)」を、メインコース。
赤ワインには全然会わない料理ばかりだが、気にしない。
他の人は、本日のスペシャル「ソフトシェルクラブのソテー (柔ら蟹のソテー)」が多いようだ。
これだって、どちらかと言えば白ワインが向いている。
まあ、どうでも良いか。

そこへやおら、ワインが運ばれて来る。
両手に持って、私にラベルを見せる。
見たことも無いワインだが、一応頷いてみせる。
ウエイターは、コルクを抜き私の前に立てる。
これはどうやら、コルクが乾いていない、つまり適正な状態で保存されていた証拠らしい。
そして、私の前のグラスにちょっぴり注ぐ。
「Assagio de vino(ワインの試飲)」なる、洒落た名前がつけられている。
グラスを持ち上げる前に、軽く2,3回廻す。
これは、グラスの中でワインが触れる表面積を多くして、香りを嗅ぎ易くするため、らしい。

この儀式の間、他の客たちはどうしているのが正しいのだろう。
興味深々と、試飲者のご託宣を待つのか。
なるべく知らん顔をしている方が良いのか。
私としては、注視されるのも堪らないが、無視されるのも愉快ではない。
五分五分くらいに振り分けて貰うのが、一番理想的なのだが。

グラスを口に近づける。
当然、鼻も近づくから香りも嗅ぐことが出来る。
ワインの香りがする。
「芳醇な果実の香りの片隅に、微かにスパイシーなきらめきもあって…」
なんて言いたいが、何も浮かばない。
ちょっと呑んでみる。
ワインの味がする。
「軽い渋味に加えて、僅かな酸味もあり、ブルゴーニュを思わせる…」
ことは、全然無い。

「Very good (結構です)」
人生で何十回目かの同じセリフを呟く。
その何百倍かこのセリフを聞いてきたウエイターは、軽く頷いて他の人たちのグラスに注ぎ始める。
7人(呑まない人が2人)のグラスに注ぎ終えると、壜の底に僅かのワインが残るのみ。
その壜を、私の前に置いてウエイターは立ち去る。
このちょっぴり残ったワインの分配、という役目も私に課せられる。
かなり厳しい、辛い役目だ。

私の左に座っているマダムは、なかなかの酒豪のようだ。
最初のシャンペンの時も、ぐいぐいという感じで呑んでいた。
今見ると、赤ワインも半分くらいなくなっている。
まあ、飲み干すまで知らん顔をしていよう。

私が「Calamari Fritto」を半分も食べないうちに、ワインは空になった。
隣のマダムのグラスは、とっくに空っぽになっていたし、同じ状態のグラスが他にもあった。
「Do you like anther one? (もう一本、お持ちしましょうか?)」
あまりきびきびしていないウエイターだが、こういう時は素早い。
私が考えるふりをしている間に、80歳の主役が、「OK」のサインを出したらしい。
これまた迅速に、同じワインが運ばれて来た。
これで暫くは、食事に専念出来る。

メインコースの、「ハマグリのスパゲティ」が運ばれて来る。
何だか脂っこい。
半分ほどのところで、家人の「ソフトシェルクラブ」と皿を換えて貰う。
気取った店ならこんなことは出来ないが、イタリアンなら気にすることはない。
「ソフトシェルクラブ」は、いわゆる「渡り蟹」の脱皮直後だ。
殻を脱いで息も絶え絶えのところを、掬い上げる。
あまり柔らかければすぐ死んでしまうし、硬くすると客が喜ばない。
一頃日本にも冷凍物が随分輸出されたが、今は下火のようだ。
殻ごと食べるためには、油を使わなければならない。
天麩羅、フライ、ソテー。
食べていると、ちょっと飽きてくる。
移り気な日本グルメには、一過性のものだったのだろう。

ワインも2本目になると、ペースがゆったりして来る。
隣のマダムも、最初の馬力はもう無いようだ。
壜には未だ、3分の1ほど残っている。
私も、ゆっくりとワインを呑んだ。
かなりドライで、まろみは少ない。
香りは悪くないが、あまり特徴は無い。
不味いとは言えないが、美味とまで言えるかどうか。
でも、皆さんは満足しているようだから、これで良しとするか。

8時半頃から、10時半まで。
デザート、コーヒーが加わるから、フレンチやイタリアンは時間がかかる。
まあ、それでも数ヶ月ぶりのイタリアン。
久し振りの「ワイン テイスティング」。
又1時間半かけて我が家へ帰るために、我々は地下鉄の駅に向かった。


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