還暦スイマー望郷日記

30余年のニューヨーク、今浦島の心境を…

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「ほたる」を見る日々

一昨日、夕闇に「ほたる」を見た。
随分久し振りだ。
此処に住み始めて約10年。
初めの頃は、毎夏「ほたる」を見ていた記憶がある。
此処に来る前はマンハッタンにいたから、「ほたる」を見たことは無い。
「見たことは無い」どころか、「ほたる」がニューヨークにいることさえ知らなかった。

今の住まいは、高層アパートの1階。
前には芝生があり、バスケットボールのコートがある。
大振りの樹木が植えられていて、潅木もある。
その辺りが、「ほたる」の棲家らしい。
陽が沈んで、辺りが暗くなり始めるころ。
「逢魔時(おうまがとき)」と言われる刻限。
昔、この時刻は魑魅魍魎が出現する、と考えられていたらしい。

「神隠し」なども、多くこの時刻頃に起こったと言う。
何となく、現世と宿世の境目という雰囲気があったのだろう。
街灯など無かった時代、人はこの闇を恐れた。
その闇を漂うが如く、飛び回る「ほたる」。
「黄泉からの使い」とも思われていた、そうだ。

「ほたる」は、夕暮れ過ぎしか姿を現さない。
とっぷり暮れると、「ほたる」も姿を消す。
その辺りも、儚げに見えたのだろう。
眼を凝らせば、未だおぼろげに木の姿や人の形は見える。
その凝らした眼の前を、飛ぶ「ほたる」。
実際、「この世のもの」とは思えない。

「ほたる」は英語で「Fire bug (火の虫)」と言う。
随分、色気の無い名前だ。
「火の虫」
全く見たままでしかない。
欧米には、そういうところがある。
鯵の仲間はそのまんま、「Kind of Jack (ジャックの仲間)」。
小さい魚は、殆どが「Snapper (スナッパー)」で括られる。

日本では、「ほたる」だって様々な名前がつけられている。
40種が存在するそうだが、有名なのは5,6種。
ゲンジボタル、ヘイケボタル、ヒメボタル、マドボタル、オバボタル。
我々が普段見るのは「ゲンジボタル」らしい。
しかし、光は見ても実際に虫そのものを見るのは、案外難しい。
昼の光で「ほたる」を見たとしても、それが「光る虫」だとは気づかない。
陽の光の下で見る「ほたる」は、ごく平凡な昆虫なのだ。
とても「黄泉の国から来た使い」という風情ではない。

ここ2,3年、我が家で「ほたる」を見た覚えが無かった。
「ほたる」とは、文明が進めば姿を消すものだ、と考えていた。
我が家の近辺の文明が、近年進んだかどうかは定かではない。
だが、「ほたる」が姿を消したことは、ごく自然に受け入れていたような気がする。
芝の手入れに、化学薬品だって使われるだろう。
近隣の林だって、伐採されて宅地に変わっているだろう。
だったら、「ほたる」がいなくなっても何の不思議もない。

が、「ほたる」はちゃんといた。
この2,3年どうしていたのかは知らないが。
多分、他の潅木に住居を移していたのかも知れない。
で、又古巣に戻って来た、ということだろうか。

アメリカ人が「ほたる」についてどう考えているのか、は残念ながら知るすべは無い。
新聞は365日読んでいるが、そういうコラムは記憶に無い。
四季おりおりの変化に眼をとめる、ということはあまり無いように思う。
別に不満がある訳では無いが、何となく残念な思いはある。

四季の変化を求めて、あちらこちらを訪ね歩く日本人。
「ほたるの里」を訪ねる旅もあるらしい。
何の感興も持たないのに、アメリカに宅地には「ほたる」が群れ飛んでいる。
木には、「リス」だって上り下りしている。

まあ、世の中はそんなものかも知れないが。
「求めよ、さらば与えられん」
は実は、
「求めざれば、与えられん」
だったのか。


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