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ニューヨークは、ちょっとした「ラーメン」ブームである。
あれよあれよと言う間に、20軒を越えたようだ。
「寿司」までは行かないだろうが、価格が低いだけにもっと増える可能性は大。
おそらく板前不要のところが魅力的なのだろう、と思う。
店舗があり、キッチンが用意出来れば即オープン出来る。
まあそれほど簡単ではないだろうが、低資本で可能なことは確か。
ニューヨークの「ラーメン」の歴史は、結構古い。
私がこの街に来た36年前、数件の「ラーメン店」があった。
「味噌ラーメン」が売りの、「どさんこ」チェーン。
大商社と組んで、全米展開を目論んでいた。
6,7軒まで展開したが、そこで挫折。
理由は色々あっただろうが、時期尚早とも思える。
アメリカ人客は「ラーメン」を知らない。
先ずレンゲでスープを飲んでしまう。
それからやおら残った麺を、フォークで持ち上げて食べる。
どう考えても旨そうではない。
だんだん「ラーメン」は売れなくなり、主力ではなかった「フライドチキン」のオーダーばかり。
フランチャイズシステムだったが、新規開店がさっぱりになる。
10数年後、すべて消えてしまった。
こぢんまりと経営するなら、日本人客相手だけでも結構やって行ける。
そんな「ラーメン」店が生き残って来た。
そしてこの「ラーメン」戦争。
日本から続々とやって来る。
皮切りは「めんちゃんこ亭」だったか。
そしてここ数年、「一風堂」「山頭火」「味千」「せたがや」「寺川」「一蘭」。
呼応して地元の日本レストランも、「ラーメン」店を開き始める。
戦争は始まったばかりだから、何処の店も客の入りは悪くない。
何時中国人や韓国人が参入して来るか。
まあ、そう遠いことではない。
ニューヨークのラーメンは安くない。
10ドル以上が当たり前。
税金とチップを入れると、優に15ドル近くなる。
日本円で、1200円あたりか。
幾ら円が強いと言っても、日本ではそこまで高くはない。
それでも客はひっきりなしの様子だから、当たっているのだろう。
面白いのは、客のほとんどは若いアメリカ人。
昔と異なり、スープを呑み面を食べ、チャーシューを齧り、又麺を食べる。
箸も器用にこなしていて、日本人とあまり変わるところがない、
常連も多いというから、単なるもの珍しさではないということだろう。
ニューヨークに、「麺」を提供するレストランは結構ある。
チャイニーズには「汁麺」「炒麺」など色々あるし、韓国系には「冷麺」や「温麺」。
タイ料理には「クィッテオパタイ」という「焼そば」が名高い。
とにかく東南アジア系であれば、まず間違いなく「麺」があるはず。
そして、そのどれもが「ラーメン」ほど高くはない。
と言って、そういう「麺」を食べているアメリカ人を見かけることは稀だ。
どうもアメリカの若者にとって、「ラーメン」は何か特別な物になっているようだ。
ひと口に言うのは難しいが、それは「ラーメン」のバックグラウンドにあるのではないか。
独特の不思議な文化を持つ国ニッポン。
太平洋の彼方のちっぽけな島国だが、その経済力や工業力は瞠目に値する。
そのニッポンの国民が好んで食べる、「ラーメン」というヌードル。
「侘び」や「寂び」を象徴する「蕎麦」と、同じ神秘を持っているのではないか。。
「寿司」の旨さを知っていれば、「ラーメン」に興味を持つのは自明の理。
そう解いてみれば、「ラーメン」ブームの一端を覗いたようにも思える。
「そんなのは考えすぎだよ」「単に『ラーメン』が旨いから食ってるだけさ」
と言われれば、100%反論できる自信はない。
だが、彼らは「食の砂漠」アメリカで生まれ育ったのだ。
ハンバーガーやバーベキューを、無上の食べ物として来た国民。
その彼らが、「とんこつ、鳥の骨、野菜の切れ端、その諸々」で出汁を取ったスープを好むだろうか。
「しっかりしたスープの味に合うよう、細めに打ったコシのある麺」が、分かるだろうか。
私はベトナム料理店の、「フォー」という麺が好きだ。
米粉の麺を、鶏がらスープと魚醤(ニョクマム)で味をつける。
薄切りの牛の生肉や茹でた内臓類、生のもやしにライムを搾り、バジルを散らす。
好みで香菜の葉を入れれば、味わいは更に増す。
幾人か日本からの客に食して貰ったが、皆一様に「旨い」と言う。
2日間の滞在で、再度の「フォー」をせがんだ人もいるくらい。
この「フォー」が、一杯精々5ドル前後。
税金チップ込みでも、7ドルしない。
だがこのベトナム料理店で、アメリカ人はまず見かけない。
多分存在すら知らないのだろう、と思う。
「それが何故日本の『ラーメン屋』に来るのか?」
明快な回答は、そう簡単に聞けないだろう。
「寿司」はアメリカのみならず、世界のほとんどの都市に定着した。
それが本物かまがい物かは別として、だが。
最早そう簡単に、その評価が崩れることはないだろう。
柔道のように、本家の看板が泣くような事態も起こらないように思う。
だが、「ラーメン」は一波乱二波乱ありそうだ。
早くも中国では、「ラーメンは中国のもの」という声が大きくなっていると聞く。
となれば当然、「ラーメンは韓国起源」も覚悟する必要がありそうだ。
彼らが「ラーメン」店を開けば、当然5,6ドル台の値で勝負して来る。
その時、アメリカ人が13ドルの「日本ラーメン」を支持するだろうか。
「たかがラーメン」「されどラーメン」
5年後10年後に興味津々と言えば、「不謹慎」と怒られるだろうか。
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はじめまして。NYのラーメン「どさんこ」について調べていて貴ブログにたどり着きました(どさんこラーメンは食べたことがありませんが…)。どさんこの味は現地の人に受け入れられなかったのでしょうか。ラーメン屋さんなのにチキンの注文ばかりとは残念ですね。当時、現地の方はまずスープを飲んで(飲み干して?)から麺を食べていたんですね。興味深い食べ方です。ラーメンライスを食べる人はいたのでしょうか?面白い食べ方をされているので、ひょっとしてライスの上に麺をのせて食べてしまう人もいたかもしれませんね。そんな人を見たことはありますか?
2012/11/12(月) 午後 5:39 [ らぶばな ]
訪問ありがとうございます。
当時の「どさんこ」にはあまりライス物はなかったように思います。
一番人気は「餃子」と「焼そば」がセットの「ギョウザB」だったようですね。
今ラーメンはブームのようですが、「ラーメンライス」は聞きませんね。誰かがやって見せればアメリカ人も真似するでしょうけれど。
2012/11/17(土) 午前 11:46 [ Masterswimmer ]
こんにちは。餃子と焼きそば(ラーメン屋さんなのに…)のセットが人気あったのですね!
詳しく教えて頂き、ありがとうございました!
2012/11/19(月) 午前 9:31 [ らぶばな ]
NYのラーメン懐かしいお話です
82−84の丸2年間
父のNY赴任に伴い滞米生活をしました(家はNJに借りていました)
日本の家の近所に、どさんこがあり
先に赴任した父からは「NYにはどさんこのラーメンもあるよ」と手紙が来た時に
嬉しい気持ちになったことを思い出します
しかし。。。NYのどらんこのラーメンは、決して安いものではなく
懇願して食べさせてもらっていた記憶が
NYで食べたどさんこの味噌ラーメンが私には最後でしたが
昨日、念願かなって??愛知県内のどさんこで味噌ラーメンを食しました
子供の頃の懐かしさとNYでの懐かしさがWでやって来ました
40代のバリバリ駐在員だった父も80歳になりました
時の流れを感じます
2015/9/25(金) 午前 8:10 [ ちちのん ]
> ちちのんさん
お手紙ありがとうございます。
「どさんこ」は100店舗を目標にしていたようですが、7,8店で終わりました。今は、百花繚乱、14,5ドルのラーメンが良い商売をしているようです。でもやはり日本の方が気楽で良いですね。
2015/9/30(水) 午前 4:46 [ Masterswimmer ]
はじめまして。私もNYのラーメン「どさんこ」について調べていて貴ブログに辿り着きました。
食べたのは確か'92頃だったと思います。
泊ってたホテルの近所に大きな看板があったのでふらっと入ってみました。
階段を数段降りると奥に厨房があって、テーブルは10卓位だったかな?
ウエイトレスが2人位いて、お客は私1人でした。
正直あんまり美味しくなく、値段は結構高かったと思います。
当時、札幌のすすきののラーメン横丁の味噌ラーメンにハマってた私は、こんなんでよくやってられるなぁと思った記憶がありますが、そうですか。数年後には閉店したんですね。
日本でもどさんこチェーンは一時は結構流行っていたのですが、最近は全く見なくなってしまいました。
2019/4/19(金) 午前 10:07 [ tom*lee*we* ]