還暦スイマー望郷日記

30余年のニューヨーク、今浦島の心境を…

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アメリカ大リーグのレギュラーシーズンは、終了した。
プレーオフに進める10チームは未だ先があるが、残り20チームは来季の陣容をあって直すための補強や冬季練習の計画に忙しいだろう。
現在大リーグにいる14人の選手にも、明暗を分ける時期が来た。
勿論今日本にいて大リーグを目指す選手にも、試練が待っているだろう。
正直のところ、明るい材料を持つ選手は少ない。
大リーグに生き残れるか、給料が大幅にダウンするか、日本に帰るか、引退するか。

日本のファンの関心は、やはり松井秀喜とイチローの去就だろう。
イチローは未だ、ヤンキーズでプレーしている。
プレーオフ進出が決まっているから、そこで活躍出来るかどうか、が鍵になるだろう。
「来季のヤンキースの構想に、イチローはいない」
そう聞かされて来たが、少々風向きが変わって来たようでもある。
多少衰えたとは言え、やはりヒットを打つ技術は大リーグでもトップクラス。
休み休み使えば、3割はそう難しくない。
脚力も未だ健在のようだし、給料を下げれば欲しがる球団はあるだろう。
だが、ヤンキースは30代後半の選手が多い。
主軸のジーターは38歳、A-ロッドは37歳だ。
その他の主力選手も、ほとんどが30歳以上。
常に勝つために、出来上がった選手を取り続けたツケが廻って来ている。
もうすぐ39歳になるイチローを来季も保有するのは、かなりのギャンブルになるだろう。

「プレーオフで活躍すれば、ヤンキースもむげにイチローを放出出来ないだろう」
そういう読みも無い訳ではないが、ヤンキースはそういうところは割り切っている。
3年前、ワールドシリーズで大活躍した松井にすら、再契約を提示しなかった。
そして外野陣は、ブレット.ガードナーの復帰でレギュラーが揃う。
将来有望な若手ならともかく、燃え尽きる寸前のイチローには可能性は薄い。

ただニューヨークに来てから、イチローの評判は良い。
シアトル時代の、「我がまま放題」が影を潜めている。
まあスターの多いヤンキースでは、好き勝手は出来ないと考えているのだろう。
しかしナンバーワンだったシアトル時代と、現在の境遇はあまりにも異なる。
それに甘んじていられるかどうか。
両者の思惑が寄り添える着地点が見出せるかどうか、難しいところのようだ。

もう一人の大物、松井秀喜はもう少し悲観的。
年齢に加えて、何時再発するか分からない両膝の故障を抱えている。
今季レイズとマイナー契約して、何とかメジャーに昇格した。
だが、それからの成績は惨憺たるもの。
客観的に見て、「終った」とさえ思わせた。
だが本人は、未だ諦めていない。
自宅のあるニューヨークで、トレーニングを続けている。

彼のメジャーへの拘りは、「意地」ではないようだ。
そういう境地は、通り過ぎているのだろう。
恐らく、「野球人生をメジャーで終らせたい」という決意のようなもの。
つまり、日本に戻って野球を続けるという選択肢はない、と思われるのだ。
彼がメジャー挑戦を決めた時、日本の野球とは訣別した、といえるのではないか。
多くの人がWBCに松井の参加を待望したが、彼はきっぱりと断った。
あれはつまり、日本の野球とは縁を切った、という意思の再確認だったのだろう。
「僕は日本のファンを裏切りました」
メジャー挑戦を言明した松井は、そう言った。
新たな高みに昇ることを決意した時、日本の野球は過去のものになった。
松井秀喜が、過去に戻って行く姿はちょっと想像出来ない。
来季、彼は何処かのチームとマイナー契約をして、キャンプに参加するだろう。
そこで、自分の限界を悟ってバットを置く。
という筋書きが、私の脳裡から離れない。
それはそれでひとつの完結だ、と考えるのだが。

今季、活躍したといえる選手はごく僅かだ。
合格点は、ダルビッシュ、黒田、青木そして岩隈。
ダルビッシュは来季、全てに数字を上げて来るだろう。
リーグのトップ3に入る可能性は充分ある。
練習法の違いなどあったが、彼は大リーグ流に従った。
それでも、彼なりの個性は押し通しているように見える。
つまり大リーグの選手らしくなって来たのだ。
松坂と比較すればよく分かる。

松坂は1年目から、練習法に不満を見せた。
自己流を通そうと頑張った。
最後にはコーチに従ったが、満足していないことは歴然。
高校時代の投げ過ぎを危惧する球団にとって、投球数の制限は必須だった。
結果として、トミー.ジョン手術を受け、1年を棒に振った。
そして戻って来たが、最早過去の彼は何処にもいない。
来季、ボストンとの再契約はない。
他球団からの誘いがあるかどうか。
ひょっとすれば、日本で投げているかも知れない。

黒田は、なんといっても頑丈さが強みだ。
今大リーグの球団が一番求めているのが、「Durable pitcher (もちが良い」)投手。
幾ら鋭いカーブや160kmの剛速球があっても、故障すれば何もならない。
その点黒田は10数年、黙々と投げ続けて来た。
「地肩が強い」と、日本では言う。
これは天成のものなのだろう。
かつては、巨人の別所、阪急の米田、メジャーに行った野茂英雄がそうだった。
地味だが、何時の間にか勝っている、というタイプ。
ヤンキースとは1年契約。
プレーオフの成績次第では、争奪戦も予想出来る。
まあ、帰国してもう一回広島で投げる、というのも悪くはないと思うが。

私が来年一番期待するのは、マリナーズの岩隈。
出鼻を挫かれる感じのスタートで、そのままポシャッても可笑しくないシーズン前半。
だが彼は、じわじわと軌道修正して来た。
9勝5敗、防御率3.16は、メジャー最初の年としては立派なものだ。
序盤の躓きで、暫く中継ぎや敗戦処理に廻された。
それも役立っただろうが、何と言ってもバランスのいい投手だ。
来年は主戦投手として活躍出来る、と確信している。

青木は、正直に言えば「予想外」の活躍。
ミルウオーキーという田舎のチームにいることも、ある意味良かったのだろう。
何と言っても、ファンが温かい。
数年前、松井稼頭夫はニューヨークのメッツに来た。
守備で失敗すると、盛大に「ブー」を見舞われる。
「味方に『ブー』をやられるとは思わなかった」
そう嘆いたが、それは大都市球団の宿命。
青木は、鄙びたローカル球団のファンの温かさを身に沁みて感じているかも知れない。

私がニューヨークへ来た頃、メジャーには日本人は誰もいなかった。
だいぶ経って、メッツに野茂が来て新庄が来る。
ヤンキースに伊良部が来、石もて追われる如くいなくなった。
イチローは日本のスーパースターだったが、アメリカの関心はさほどではなかった記憶がある。
ヤンキースもそれなりに調査はしたようだが、あまり熱心ではなかったと聞いた。
身体の小ささが、ボスのスタインブレナーのお気に召さなかったのかも知れない。
しかし、1年目からの大活躍で評価はがらりと変わる。
新人王とMVPを一緒に獲得、というのは滅多にいない。
日本の野球への興味が、大きく膨れ上がった。
続いて、長距離打者松井秀喜がヤンキースに入団。
1年目で100打点をマークする。

今考えればこの二人は別格だったのだが、アメリカの野球人には分からない。
松井稼頭夫も高額の年俸で、ニューヨークメッツに来た。
彼のためにメッツは、正遊撃手だったレイエスを2塁にコンバート。
その松井稼頭夫が、期待を裏切る。
打てないし守れない。
逆シングルの捕球が出来ないので、急遽特訓をしたと言う。
「イチローのスピードと秀喜のパワーを併せ持つ」
とまで言われた足も、ほとんど見せていない。
2年半でトレードされてしまう。
彼以外にもかなりの数の日本人選手が、太平洋を越えてやって来る。
一時的に花を咲かせた選手もいるが、総じてぱっとしない。
2,3年で帰国した選手も多い。

イチローと松井の選手生命は、もうそんなに長くない。
後に続く選手はいるのだろうか。
見渡したところ、それほど希望が持てそうもない。
かつてのイチローや松井秀喜のような、超スターが見当たらないのである。
まあそれは、当然のことかも知れない。
滅多に現れないから、スーパースターなのだ。
20年30年に一人の選手。
私が見ることはあるのだろうか。

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メジャーのアジア市場への拡大にのって、ニンテンドーが経営参加しているマリナーズ入りが前提だったイチロー、どこの球団が興味を持つというレベルではなかった。
松井がヤンキースに復帰するときが引退のときで、キャンプ終了とともにバットを置くでしょう。ただ松井には、メジャーでマネジメントで残って欲しいですね。彼くらいしかいない。

2012/10/16(火) 午後 0:24 [ 一陽来復 ]

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松井が引退後アメリカに残るという選択肢は考えにくいですね。
僕も残って欲しいのですが、あれだけのスターを日本球界がほっておかないでしょう。
しかし賢明な松井ですから、指導者の道へ進むかどうかは疑問です。
イチローもそうですが、ああいう天才は、教えることは出来ないような気がします。 J.ディマジオやミッキー.マントルのようにOBとして君臨する方が相応しいと思います。

2012/10/21(日) 午前 4:56 [ Masterswimmer ]

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イチローは日本のメディアの過大な評価で作り上げたもので、ヒットを打つ技術はありません。ランナー三塁で得点につなげられないバッティングをヒットを打つ技術があるとはいえない。
指導者の道だけでないですよ。そんな関わり方で、日本の球界に貢献するのではないでしょうか?イチローは天災と言うより変人でしょう。タイガースにスウィープされた第四戦のあと、一人だけベンチにさっさと引き上げ、球場をあとにする様子は、またも受け入れられない状況だったのでしょう。
ジラルディ監督の終戦後の談話でも、「一生懸命だった」「外野のポジションをどこでもこなしてくれた」「楽しそうに野球をやっていた」「調子も復調した」など、当たり障りの無いコメントでも明らかですが、彼はお客さんでしたね。

2012/10/26(金) 午前 11:50 [ 一陽来復 ]


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