還暦スイマー望郷日記

30余年のニューヨーク、今浦島の心境を…

全体表示

[ リスト ]

太刀魚「蒲焼」風

私は、「鰻の蒲焼」の大ファンではない。
日本に帰っても、滅多に食べないしそれを残念に思うこともない。
と言って嫌悪しているわけではないから、人がご馳走してくれれば食べる。
だが、そういうことはほとんどない。
友人に遇えば、呑むところに行く。
呑みながら食べるのは、主として酒の肴。
では兄や姉と、となると「鰻」の持つ脂肪分が気になってしまう。
だから、鰻は数年に一回くらいしか、お目にかからない。
それで、別に痛痒は感じたことはなかった。

7月に、急に「鰻」が食いたくなった。
「価格高騰」とか、「代替品が人気」とか読んだせいだろう。
で、日系のスーパーへ行くと、これが随分高くなっている。
基本的に2種類あって、「日本国産」と「中国産」。
かたや1尾25ドル以上し、かたや7ドル程度。
以前は14,5ドルと3,4ドルだった記憶がある。
「日本国産」とあるが、これは活鰻を中国から入れて、暫く何処かの池に生かしておいたもの。
日本で割かれて焼かれれば25ドルで、中国で焼かれればその3分の1以下。
馬鹿馬鹿しいから、買うのを諦めついでに食うのも諦めた。

9月に入って…。
中国のスーパーに、鮮度の良い「太刀魚」を見かけるようになった。
それほど人気のある魚ではないが、実は味は抜群。
どう食っても旨い。
考えながら「太刀魚」を眺めていたら、ふっと気づいたことがある。
この魚、英名「Ribbon fish リボンフィッシュ」というくらい、細長い形をしている。
これなら「蒲焼」に出来るかも知れない。
少々手間はかかるだろうが、見かけは悪くても旨ければ良い。
ためつすがめつし、小ぶりな奴を2尾摘みあげる。
店員に渡すと、急いで秤で目方を計り、俎板に載せようとする。
こうして捌いてチップを貰うのが、彼らの仕事。
「ノーノー、ノーカット」
恥ずかしいような英語だが、こう言えば何とか理解させられる。
店員は、急にぶすっとして袋を放り出す。
「手の平を返す「と言うが、その典型的な仕草。
今では、腹も立たない。

帰宅して、「太刀魚」を流しに置いた。
1尾が300g程度。
俎板を濡らして、魚を寝せる。
小出刃で、鰓口に刃を入れて頭を一気に落とす。
包丁を持ち替えて、腹を割く。
内臓を引っ張り出し、腹を水洗いする。
この魚は、細い骨が無数にあるのが嫌らしい。
丁度「サンマ」のようだ。
小出刃を背鰭の内側に入れ、真っ直ぐ下まで下ろす。
これで、背鰭が綺麗に取れる。
肩口に刃を入れて、中骨に刃を当ててゆっくり身を切り離して行く。
新鮮だから、身離れは良い。

片側を下ろして、もう片側を同様に骨と切り離す。
薄い魚体だから、包丁の切っ先の入れどころが難しい。
多少骨に身が残るのを覚悟で、一気に包丁を滑らせて行く。
細長い「三枚下ろし」が完成。
思ったとおり、身は少ない。
もう1尾も同様に、三枚に下ろした。
長い骨を3つに切り分ける。
鰓を取り除き、頭を半分に断ち割る。
頭がえらく硬くて、包丁が跳ね返されてしまう。
何とか2つに割り、骨の片と一緒に盆ざるに載せ、塩を振る。

三枚に下ろした身が、4枚ある。
この腹部には未だ小骨が残っているはず。
長めの牛刀で、その小骨をこそげ落とす。
これで何とか、すべての身から骨を外したことになる。
細長い4本の身を、10cmほどの長さに切り分ける。
中ほどはそれでも5cmくらいの幅があるが、尻尾に近い方は3cm程度か。
身はひとまずペーパータオルで包んで、冷蔵庫にしまう。

湯を沸かして、塩を振ってある頭や骨に熱湯をかけまわす。
頭部の皮が、見る見る反り返って来る。
かけ終わると、ボウルの水に入れ血や内蔵の残りを洗い流す。
小奇麗になったところで手鍋に並べ、水を張る。
火にかけ弱火にして、アクが出てきたらこまめに掬う。
味見してみると、しっかり魚の出汁が出ているようだ。
頭や骨を漉して、汁だけを再び火にかける。
煮切った味醂、砂糖、醤油を入れ、弱火でじっくり煮詰めることが肝心。
思いついて、「黒蜜」も少々加えた。
30分から45分で、約半分ほどに煮詰まったタレが出来上がる。
火を止めて、冷ます。

冷蔵庫から「太刀魚」の切り身を取り出し、2,3枚ずつに竹串を刺し通す。
焼き網を火にかけ、充分熱が通ったところで、串の魚を乗せる。
中火から弱火にし、じっくりと焼く。
両面をよく焼いて、火から下ろし串を抜く。
タレを半分ほど小鍋に取り、火にかける。
充分熱くなったところに、焼き上げた切り身を入れ、タレにからませる。
ここら辺で、飯が炊きあがる手順。
熱々の飯を小さめの丼によそい、残りのタレをその上に垂らしておく。
タレがからんだ切り身を飯に乗せ、さらに少々のタレを廻しかける。
「粉山椒」を振りかけ、あとはわしわしと食べるだけ。

食べた感想を言えば、やはり「鰻」とは別物。
養殖で脂をこってりさせた「鰻」とは、随分違う。
だが、旨いかどうかと言えば、間違いなく旨い。
第一、どんな餌で育ったかも知れない「養鰻」と異なり、安心感が大きい。
こちらは、最初から全ての手順がはっきりしている。
日本で売り出した、「サンマ」や「なまず」の蒲焼よりはだいぶ上だと思う。
だが、偽物を食った所為か、「鰻」食いたさが前より強くなったような気がする。

まあ、「アメリカ産鰻(勿論天然)」も売っているから、そのうち挑戦してみよう。
報告をお待ち戴きたい。


よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事