還暦スイマー望郷日記

30余年のニューヨーク、今浦島の心境を…

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アメリカに住んで、39年目になる。
毎日英語を使っていると思われそうだが、実際はそれ程でもない。
テレビ番組はNHK中心だし、読む本は日本語のものばかり。
話し相手にしても、英語しか通じない相手はほとんどいない。
何年暮らしていようとも、「Native ネイティブ(その国生まれ)」には到底及ばない。
発音が一番大きな差だが、単語だって開きは大きい。
アメリカで新たに頭脳に蓄積された語彙は、どれくらいあるのだろうか。
どう考えても、今使える英語の半分以下ではないだろうか。
大体、普通の日常生活には、それ程多くの英単語は登場しない。
中学や高校で習い覚えたものに、毛が生えた程度と思われる。
実際には、受験用に記憶した英単語は、実生活にはほとんど不要のものばかり。
学校の英語では、「Idiom イディオム(慣用語)」をほとんどと言って良いくらい習っていない。
「Go after 追及する」や「Take over 引き継ぐ」など知ると便利だが、知らなければ全く理解出来ない熟語のようなもの。
英語には数千いや数万とあり、頻繁に使われているに違いない。
であるが、当時の文部省の方針は、「先ず文法と単語を覚えること」だけだったに違いない。

アメリカに住んで暫くして、英会話のクラスに通った。
先ず英語能力を識別するための試験があり、7段階のクラスに分けられる。
私は3番目のクラスに仕分けされた。
どうも日本人は筆記試験の点数が高いので、この辺りに多いらしい。
30人程度のクラスは、数人の日本人と、韓国人、アラブ系、ヨーロッパ系の編成。
先ず、自己紹介から始めさせられる。
担当の女性教師は、かなりのベテランとのこと。
私の番が来て席を立つと、
「Do not use “But” and “Because”. But (しかし)とBecause(何故なら)を使ってはいけない」
そう釘を刺された。
どうやら、日本人はこの2つの単語を頻発することを知悉しているようだ。
話し始めると、この2つを使えないことが邪魔して上手く話せない。
他の日本人も同じ条件を与えられ、同じように苦闘している。
それでも、結構様々な単語を駆使している所を見ると、基本的な英語力は高いのだろう。
だが東欧系やアラブ系となると、会話の様相はがらりと変わった。
声も大きく堂々と喋るのだが、脈絡は滅茶苦茶。
それでも恥ずかしがる風も無く、悠々と話し終えている。
「先ず話すこと」が英会話に上達する要諦だ、と後で聞いて何となく頷けた。

ネットのニュースを読んでも、市から送ってくるお知らせでも、何かしら新しい単語にお目にかかることは多い。
特にニュースの記事では、書く方は頭を捻っている。
読まれるからには人を唸らす名文を書きたい、と念じているだろう。
そういう時、ライターはとかく素直な単語を敬遠してしまう。
初見の語を辞書で引いてみると、「古英語、詩語」などと解説がついている。
「どうだ、すらっと読めたか?」、と挑戦状を突きつけられた気分になった。
でも、そういう文章なら、実は未だ良いのだ。
困るのは、病院などで使う単語の場合。
私の担当医は日本人だから、英語の問題はない。
だが、彼から指定されて行く他の専門医は、ほとんどの場合アメリカ人。
こちらを斟酌して分かりやすく話してはくれるが、専門語はどうしようもない。
相手から聞かされる場合は、「?」という表情を作れば、言い換えたりしてくれる。
だが、こちらから状態を説明する場合は、下準備が必要になって来るのだ。

このところ、「不整脈」から始まった一連の検査や診察で、薬を変えることになった。
その結果だと思うのだが、私の身体に若干の変化が起って来た。
人生70年にして、初めての経験と言えるだろう。
つまり、尾篭な話になるが、排泄が順調とは行かなくなったのである。
概して男性は、こういう症状に不慣れだ。
特にその人が飲酒家である場合、間違いなく戸惑いを覚えるだろう。
私も、大いに戸惑った。
こういう経験は皆無なのだから、どう考えたら良いか分からない。
分別盛りを過ぎた年齢だが、初の体験には対処法すら思い浮かばない。
次回の診察時に、医師に相談するしかないだろう。
それには、この症状の英単語を知らなければなるまい。
「Constipation コンスティペイション」、となっている。
勿論この単語をぶつければ、医師は私の状況をたちどころに理解するだろう。
だが、若しその場で思い出せなかった場合、ちょっと困ったことになる。

この症状の直接の原因になるものには、相応しい英語がなさそうなのだ。
日本でも、ほとんどの場合「幼児語」を使って済ませている。
英語にも、当然そういう「幼児語」があり、私も知らないではない。
だが、診察室で高齢の患者が、中年の医師に語りかけるに相応しい言葉と言えるだろうか。
使えば全てはすぐに理解されるだろうが、口にする我が身は些か情無い。
此処はなんとか正しい英単語を記憶して、日本男児の名誉を守りたいではないか。
結構真面目に、私はその単語を幾度か書き、発音してみた。
英単語を覚えるのに一番良いのは、とに角すぐ使ってみることだ。
だがこの単語の場合、すかさず誰かに話しかけるわけには行かないだろう。
已むなく口中で呟いただけで、私の記憶力に任せることにした。

当日、一方的に喋り捲る医師を拝聴しながら、私はタイミングを見計らっていた。
彼が口を噤んだ一瞬の隙に、
「I have a little problem with my body 私はちょっと身体に問題が…」
(ええと、Costlitation だったか、instipation だったか…)
そう言いかけると、医師は大きく頷きながら、
「I know, you have a constipation, right? 貴方は便秘になったんだろう?」
続けて、
「It is vey common, because of your medicines.  それは良くあること、貴方の吞んでいる薬の副作用だから心配は要らない」で、一件は落着。
私の密かな英単語記憶練習は、全く不要だった。
「No problem, take this medicine.  大丈夫、この薬を呑みなさい」
メモ用紙に、薬の名前を書き込み、
「You can buy it over the counter. これは薬局で買えますよ」

薬の副作用の対策が、新しい薬を呑むことらしい。
これで薬効が強すぎたら、今度は下剤を薦めるのだろうか。
何だか薬の連鎖に巻き込まれそうで、未だその薬は買ってもいない。
単語「Constipation」だけは、何とか覚え込めたようだが…。
この事態が無ければ、死ぬまで縁がなかった言葉に違いない。
こういう風に、新しい英単語を物して行くこともあるんだな。
「朝に道を問はば、夕べに死すとも可なり」とは随分違うようだけれど。

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テレビのくすりのCM とかでも聞いたことがあります、この単語。laxativeと言う言葉も私は知っていたので、これを使えば簡単だったでしょう。

2015/1/2(金) 午後 6:04 [ ま69 ]


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