還暦スイマー望郷日記

30余年のニューヨーク、今浦島の心境を…

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ニューヨークには1992年以来、「レストランウイーク」という企画がある。
主としてマンハッタンのレストランが中心となって、2週間程度の期間その店の自慢料理を低価格で提供する催しで、第一回目のランチの価格は$19.92だったそうだから遊び心もあったのだろう。
始めの頃は試行錯誤だったようで参加店も一定しなかったらしいが、このところ定着して来たようだ。
当初はランチに限っていたが、数年後にディナーにも手を拡げて固定客を掴んでいるらしい。
今年の場合、その期間中参加店のランチは26ドル、ディナーは42ドルと決められた価格でメニューを作り、アペタイザー、メインコース、デザートのそれぞれ選択肢を設けている。
中には普段なら先ず行かれないような高級店も参加しており、その場合予約が殺到するという。
参加店の顔触れを見ると、フレンチ、イタリアン、中華、少ないながらも和食の店もあるようだ。
もう今年で27年目になるのだが、私はこういう店に行った憶えはない。
家人は友達と連れ立って毎年数軒を試しているらしいのだが、あまりその評価を聞いた憶えも無い。
私がこういう店に行きたがらないのは、どの店でもレストランウイーク用のメニューと普通のメニューが用意されていて、双方を較べれば当然ながら普通のメニューの方に魅力が感じられる。
言い換えれば、この企画用のメニューがみすぼらしく見えてしまうのだ。
また、意図してのことかどうかは分らないが、料理と一緒にワインを注文すると、これは決して安くない。
29ドルのコースに対して1杯のワインで15ドルもチャージされれば、やはり愉快ではない。
家人に言わせれば「ワインは呑まなければ良いのよ」、となるのだが始めからそう決めるのもどうか。
それは寿司店のお任せコースにも感じるのだが、ケースの中にはコースには入っていない高級魚がこれ見よがしに鎮座ましましていると、やはりちょっと食べてみたい虫が起こる。
食べたければ食べれば良いようなものだが、1貫で1500円2000円もすることは分っているからここはぐっと我慢するのだが、これも精神衛生上良くない。
だからしばしば不完全燃焼で店を出て来ることになってしまう。

今回家人はマンハッタンにあるイタリアンを予約したらしい。
「Ai Fiori アイ フィオリ」というレストランだそうで、ミシェランで星を一つ獲得しているという。
私には初めて聞く名前の店だが、美味いレストランを食べ歩いている人の間では有名だそうだ。
ウエブで検索してみると、確かにディナーなどのコースは結構な値段がついている。
コースが100ドルとしても、ワインを1杯呑んでタックスとチップを含めば優に150ドルは超すだろう。
そのレストランの料理が、ランチとは言え26ドルで食べられるなら確かに人は来るだろう。
だがあの何とも言えない不完全燃焼の気分は如何ともし難いだろうし、どうしたって褒めるよりは批判的な食後感想文になることは避け難いと思うしかない。

12時丁度に予約したと言われて、私は10分ほど前にそのレストランに到着した。
1階は待合スペースらしく、大型のソファーが幾つか並べてある。
そこから2階に向けて螺旋状の階段があり、レストランは2階部分を使っているようだ。
若い男女が次から次へと会談を昇り、奥に吸い込まれて行く。
ほとんどの若者は1時間のランチタイムでコースを済ませて帰るのだから、当然脚も急ぎ勝ちになる。
まあ、店の方も分っているから全てがてきぱきして無駄な動きがない。
それでも一応高級店らしく、素早いサービスにもメリハリが効いているところが見ていて気持ちが良い。
家人が到着して、我々も席に案内された。
大きなメニューは既に開かれていて、レストランウイークのメニューが真っ先に目に入る。
アペタイザーが3択で、「サラダ」、「野菜スープ」、「鴨のパテ」で、メインコースが「サーモンのロースト」、「牛のショートリブ焼き」、「リボンパスタ」、さらに9ドルの割り増しで「リゾット トリッフ入り」となっている。
前記の理由でワインを呑む気は無かったが、メニューには1杯が10ドルとあるので気が変わった。
ピノグリッジオ(白)を頼み、アペタイザーは「鴨のパテ」、メインは「リボンパスタ」を選んだ。

素早くワインが運ばれて来て、続いて「鴨のパテ」が到着。
私は所謂パテっぽいテリーヌを想像していたが、このパテはそこまで練り込まずかなりラフに仕立ててある。
味そのものは感激するほどではなかったが、口当たりは決して悪くはない。
ワインもややドライで呑み易い。
若い男女の客が多い所為か、スマートフォンで写真を撮るのが忙しく、その度に食事は中断される。
撮ったらすぐにラインで送るのだそうで、一体何をしに来ているのか分らない。
私もスマートフォンを持ってはいるが、食事をしながら写してすぐ送るなどと言う芸当は出来ないだろう。
メインはトマトソース味のリボンパスタだが、この味は我が家でもお馴染み。
このトマトソースは当然生のトマトを潰して作ったのだろうが、何時も同じように作っている私のトマトソースの方が口当たりが良いような気がしたのは何かの錯覚だったのだろうか。
それでもそこは一つ星のレストランの貫禄で、パスタに合わせた「Fennel sausage フェネルソーセージ」という隠し味の香りが、このひと皿にえも言われぬ味を添えているように思われる。

デザートは別料金となっているらしいので、我々はそこで席を立つことにした。
私にとって、「レストランウイーク」の特別メニューは初めての体験だったが、想像したよりは面白かった。
ではどんどん別の店にも行ってみるか、と聞かれればそこはちょっと難しい。
やはり基本的には、行った店ではその店の最高のスペシャリテを体験してみたいし、それが手の届かないほど高価なら諦めるか捲土重来で仕切り直すか、どちらかを選ぶだろう。
なんて大袈裟なことは言わずに、すれっと行ってすれっと食べて帰って来るのもひとつのやり方ではないか、という柔軟な考え方も私の選択肢に加わりつつあるところだと言えそうだ。


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