還暦スイマー望郷日記

30余年のニューヨーク、今浦島の心境を…

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昨日の土曜日、ボートを持っている知人に誘われて,釣りに出かけた。
昔は結構、パーティボート(乗り合い)で船釣りに行ったものだが、最近はとんとご無沙汰している。
前夜、押入れから釣り道具を取り出して点検。
もう20年以上経った年代ものだ。
リールなど、青く錆が出ている。
釣り鈎も、いささか心許ないが、天下の「がまかつ」の鈎だ。
なんとかなるだろう。
竿も今では滅多に見かけない、ファイバーグラス。
釣りは、竿ではない、腕だ。
と、思うことにした。

蒸し暑かった天気が嘘のように、からりと晴れた絶好の釣り日和。
まあ、こういう日は何をやっても「…日和」ということになるのだが。
釣り場は、ニューヨークのロングアイランドの北側、ロングアイランドサウンドと呼ばれる
穏やかな内海。
ハンティングトンという、高級住宅地の近くの港から船出。

船は24フィート(7mほど)の中型船だ。
総勢5人でも、ゆったり。
釣り場に向かう間に、竿にリールを取り付け、仕掛けを結びつける。
「先おもり式」という原始的な仕掛けだ。
狙いは、ひらめ。

ひらめは、アメリカでは「Fluke (フルーク)」と呼ばれる。
正式には、「Summer Flounder (サマーフラウンダー)」。
夏近くに接岸して来て、秋風とともに沖へ出てゆく。
対照的に、晩秋に現れて春に消えるのが、「Winter Flounder(ウインターフラウンダー)」。
これは日本では、「真カレイ」。

ほんの15分ほどで釣り場に到着。
小型のパーティボート(乗り合い船)が、既に釣りを開始している。
その周りには、我々のような小さなボートが群がっている。
プロの乗り組んでいるパーティボートの傍なら間違いないだろう、という読みだ。
我々もご同様。
餌のスペアリングという冷凍の小魚を鈎に通して第一投。

「ちょっと待て…。」
というお叱りが聞こえそうだ。
「ひらめは活き餌しか追わない筈だ。それを冷凍の小魚なんて…。」
確かに日本では、ひらめの餌は活きた小イワシやドジョウを使う。
船の生簀から大事そうに網ですくって、活きたまま泳ぐように鈎にかける。
つけ方を間違えて死なせたりしたら、船頭の冷たい一瞥を食らうこと必定だ。

だが、ここはアメリカ。
ひらめの餌は、このスペアリングのほか、冷凍のイカ、魚の皮なども使う。
どれをとっても、安価なものばかり。
高級魚のひらめに対して、申し訳ない。
それで釣られるひらめも情けない、と言えるのだが。

潮は満潮から、下げに廻ったところ。
「上げの7分に下げ3分」が、よく釣れる頃合と言う。
ただ、これは日本の釣師の格言だから、アメリカのひらめに通用するかどうか。
「ひらめの四十合わせ」
という格言もある。
ひらめは餌を食っても、なかなか呑み込まない。
焦って合わせると、スポッと抜けてしまう。
それを戒める言葉だが、こちらではどうか。

「そんな悠長なことを言ってたら、数は釣れないよ。」
と、以前パーティボートで乗り合わせた小母さんに言われた。
このアメリカ人はなかなかの名手で、大型を7,8枚も釣っていただろうか。
「食ったらすぐ合わせる。釣り上げたら、すぐ次の餌をつけて投げ込む。」
これが、数釣りの要諦だ、そうだ。
うーむ、日本の釣師が聞いたら、目をまわしそうだ。

錘を底まで落とし、少し引き上げ、竿を上下にしゃくってやる。
ひらめは眼が良い魚だから、動いているものに関心を持つ、そうだ。
コツコツという感触があり、グイーンと竿先が持ち込まれる。
体を起こして、リールを巻きにかかる。
古い道糸、古いリール、老朽化した竿、すべてが気になってくる。
ボートのオーナーが網を持って待ち構えている。

魚体が見えて来た。
表が茶色で、裏が白。
間違いなく、ひらめだ。
網にすっぽりと納まる。
第一号。
悪い気分ではない。
ではないが、これで終った訳ではない。

まだじたばたしているひらめを持って、船べりに張ってあるサイズ表に当ててみる。
18インチが、規定の最小サイズだ。
約45センチ。
「そんなもの、分かりゃしないだろう。」
と考えたとしたら、貴方はアメリカを分かっていない。

帰港した時、
「釣った魚を見せて下さい。」
と、漁業局の係員が、船に乗り込んで来るかも知れない。
その時、規定サイズ以下の魚を持っていたら、どうなるか。
罰金は最低で1,000ドル。
裁判所に、呼び出されることもあるという。
だから釣師は、結構規定を遵守しているそうだ。

オーナーの竿にも、ひらめが来た。
これで都合2枚。
あまり好調とは言えないが、とにかく「お土産」は出来た。
日本でも、釣師はまずこの「お土産」を確保して、それからゆっくり釣る。
坊主で帰って、家族の冷たい視線には会いたくない。
それだけは、洋の東西を問わない。

食いが、ぱったり止まった。
もともとそんなに食っていたわけではないが、とに角あたりが無い。
持参の握り飯などを食う。
海の上では、食うものが実に旨い。
潮風と太陽と磯の香りが、最高の食欲増進剤になっている。

釣り場を変えて再開。
見ると、他の船もあまり釣れていないようだ。
どの船も大きな網を立てているが、魚がかかればそれを取って構える。
だから、網が動かない船は釣れていない船、ということになる。
少なくとも2枚のひらめがある我々は、余裕がある。
他の船を憐れむくらいの余裕。

私の竿に、またひらめが来た。
先ほどのものより、少々大きめのようだ。
竿が大きくしなるから、周囲の船にもそれと分かる。
注目の中で魚を釣り上げるのは、悪くない気持ちだ。
もっとゆっくりと釣り上げたいが、逃げられては元も子も無いから、網ですくってもらう。
これも良型だ。

ただ、残念なことに、鈎を呑んでいる。
実は最初の魚もそうだった。
鈎を魚に呑まれる、ということは「合わせ」が遅い、ということだ。
これは釣師として、あまり名誉なことではない。
魚の下あごに、がっちりと鈎がかかるのが最上だ。

序でに言えば、魚の口以外に鈎がかかることを「スレ」と言う。
これも、あまり誉められた釣り方ではない。
「鈎を呑まれる」のは、「スレ」よりはまし、と言ったところか。

これで2枚、もう十分である。
ひらめは捌き方が難しい魚だ。
時間がかかる。
プロの料理人だって、あまり喜ばない。
まして素人の私には、2枚のひらめは大仕事だ。

パーティボートでは、船に乗り組んでいる兄ちゃんたちが、魚を捌いてくれる。
その早いこと早いこと、1尾の魚に15秒くらい。
「エンガワ」も「肝」も知ったこっちゃない。
身の部分以外は、全て海に還る。
つまり捨てる。
剥き身をビニールの袋に放り込んで、一丁揚がり。
それが果たして、刺身で食べられるものかどうか、試してないから分からない。
私は釣った魚は、自分で捌くことにしている。

4時半納竿。
ショートパンツで釣っていたから、膝の辺りが真っ赤だ。
首筋もひりひりする。
夕方の風が、ひんやりと心地よい。
港に向かう岸辺には、大きな家が立ち並んでいる。
高台に建つ家から、浜まで階段がしつらえてある。
階段を降り立ったところには、専用の船着場。
大型のクルーザーが、ゆったりと波に揺られている。

あれで、釣をするのかな。
ひらめを釣ったらどうするのか。
やっぱりフィレーにして、袋に入れて冷蔵庫にポイッかな。
バターを溶かして、ソテーにして塩胡椒…。
「やっぱり釣りたては違うね、バーバラ。」
「海の香りがするわねぇ、ジョージ。」
てなことも言ったりするんだろうな、きっと。

今週の火曜日、大リーグのオールスターゲームがある。
場所はペンシルバニア州、ピッツバーグ。
ピッツバーグ.パイレーツの本拠地だ。
昔は、名門だった。
ロベルト.クレメンテがプレーしていたと言えば、知る人ぞ知る。
今は、リーグでも最下位に苦吟している。

だから、出場選手もたった一人。
ジェイソン.ベイ外野手。
きっと、大歓声と拍手に包まれるだろう。

ヤンキースからは、4人。
ファン投票で、ジーターとロドリゲス。
監督推薦で、ロビンソン.カノ2塁手とリリーフエースのマリアノ.リベラ。
ランディ.ジョンソンは、蚊帳の外。

好調なメッツは、6人。
ファン投票だけで、4人を送っている。
捕手のロデュカ、遊撃のレイエス、3塁のライト、外野のベルトラン。
投手陣で、グラビンとマルティネス。
特筆ものは、レイエスとライト。
ともに23歳の新鋭コンビ。
給料だって、メジャーの最低額しか貰っていない。
勿論、3,4年以内に10ミリオンプレーヤーの仲間入りをするだろうが。

大リーグのオールスターは1試合きり。
「夢の球宴(ドリームゲーム)は1試合あればいい。」
こう決めた昔の人たちは偉かった、と思う。
「え、未だオールスターやってたの?」
そんな言葉も聞かれそうな、どこかの国のオーナーたちにも味わって欲しい。
まあ、本当のオーナーと呼べる人は、ほんの2,3人しかいないけれど。

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