還暦スイマー望郷日記

30余年のニューヨーク、今浦島の心境を…

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「チップ」考

ニューヨークに観光であれ、商用であれ、訪ねて来た人たちの戸惑うことの一つが「チップ」であるらしい。
現在ニューヨークに住んでいて、「何でも分かっているよ。」という顔をしている人たちだって、過去には幾度かこの「チップ」という奴に悩まされた憶えがあるはずだ。

私は、常に細かい紙幣を持ち歩いている。
チップはレストランだけと限らない。
空港のポーター、タクシーは勿論、ホテルのドアマンだってやった方が喜ぶに決まっている。
こう私が言うと必ず「じゃあやらなくてもいいのね?」
と聞く人がいる。
こういう人と話すのが、私は苦手だ。
世の中、必ずではなくてもやった方が良い、ケースは沢山あるし、やらないで相手を失望させても平気な人とはあまりお付き合いしたくない。
「チップはサービスの潤滑油のようなものですよ。」
こう言えば分かる人は分かる、分からない人は、多分永遠にわからないだろう。

あちらこちらでチップは必要になるが、何といってもレストランという場合が圧倒的に多い。
ドアマンは、チップをやらなくても肩をすくめるくらいで済むが、レストランはそうはいかない。
彼等には生活がかかっている。
もう20年以上も前に、ニューヨーク市はチップに課税することを決めた。
レストランの売上の8%、それは例えチップを貰ってなくても税の対象になる。
つまり、8%がチップの最低線と言えるかもしれない。

かつて私は、ウエイトレスに追いかけられたことがある。
レストランを出て暫くしたころ、私達は息せき切って追って来たウエイトレスに呼び止められた。
「何か私のサービスが悪かったでしょうか?」
言葉こそ一応丁寧だが、眼は笑っていない。
「いいえ、非常に良かったと思いますよ。」
だいたい察しはついたが、そう答える。
「でもチップが置いてないんですが…。」
こういう場合、この手の言葉を大声ですらすら言える人は少ない。
彼女もちょっと言い憎そうだった。
「でも僕達はちゃんとテーブルに置いてきましたよ。」
「Oh,…。」
見えなかった、とか何とか呟くように言って、彼女は又走ってレストランに戻って行った。

ニューヨークではレストランのチップは、「サービスがOKだった」場合15%くらい、と長く言われて来た。
消費税が8%だったこともあって、計算が面倒な時はその倍を置けばよい、とも言った。
今でも、よく分からない人が、「どれ位かしら?」
などと尋ねると、
「タックス(税)の倍が基準ですが…。」
と答えるウエイター、ウエイトレスも多い。
だが、これはちょっといんちきである。

現在ニューヨーク市の消費税は8.65%に変っている。
つまり、その倍で計算すると17.3%になる。
15%と17.3%、100ドルで2.3ドルの違いになる。
細かいようだが、これは馬鹿にならない。
私は、カードで支払う場合、出来るだけ15%になるように計算してチップを書き込む。
現金で払う時も同様。
だから、あまり良い客とは思われていないかも知れない。

序でにもう一つ。
ニューヨークのウエイターやウエイトレスの間では、日本人は要注意の客になっている。
別に食い逃げをするわけではないが、チップを置かない人が結構いるのだ。
それには無理からぬ理由があって、日本にはチップの習慣が無い。
悪気は無くとも、つい忘れる。
だが、前記したように彼等には生活がかかっている。
気付けば追いかけて行くが、忙しい時など気付かぬ間に帰られてしまう。
そこで、彼等は違反ではあるが、請求書にチップを書き込んだものを客に渡す。
それに気付いて、テーブルには置かない人も勿論いるが、気付かないで更にチップを置いていく客もいる。
これを彼らは「ダブル」と呼んでいるらしい。

「サービスが悪かったら、チップはやらなくていいのね?」
この質問も困る。
良いサービス、悪いサービスを何処で判断するか。
又その場合、どの程度のチップの額にするか。
下手をすると、
「Don’t comeback、please.」
と言って追い出される可能性もある。

アペタイザーがメインディッシュの後に来た、なんていうのは分かり易い。
水のコップが空だったのに、補充に来てくれない、なんてケースは微妙だ。
どんなケースにせよ、ウエイターが、
「どこか悪かったか?」
と尋ねたときに、きちんと答えられないようなら、チップをケチるべきではないだろう。
なんせこの国はチップというシステムを百数十年にわたって機能させている。
今日来たばかりの日本人が、そう簡単に扱えるわけはない。
ああ、それから…。
「チップ」は「置く」ものであって、「払う」ものではないこともお忘れなく。

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