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私は酒をたしなむ、と言うと品が良いが、実際のところ「呑んべぇ」と言えるかも知れない。
ほぼ毎日呑む。
ほとんどビールかワイン、たまに日本酒、である。
外で飲むことは滅多にない。
家で夕食と合わせて、たしなむ。
以前は外でも呑んだ、マンハッタンに住んでいた頃だ。
「呑んでも歩いて帰れる。」と人を羨ましがらせて、結構遅くまで夜の巷を彷徨したこともある。
「紅灯の巷に行きて帰らざる
人をまことの吾と思ふや」
私の好きな吉井勇の歌だが、彼が行きて帰らない、のは祇園であった。
私は、ニューヨークの小さなパブやスナックである、しかもちゃんと家に帰る。
それも12時前に。シンデレラのようでもある。
ずい分スケールが違う。
で、話を戻す。
外で飲まなくなったのには理由がある。
先ず、ニューヨーク市の外れに引っ越した。
であるから、呑むなら車で帰らねばならぬ。
今は、それは出来ない。
日本に遅れること10数年、ニューヨークも飲酒運転に対して厳しくなった。
ビール一杯で免停を食う、ほどではないが、ワイン2杯では危ない。
つい先ごろ、私の知人が捕まった。
ゴルフ帰りに2,3杯引っかけただけ、とは本人の弁だが…、ちょっと怪しい。
いずれにせよ、停止を命ぜられて呼吸の検査をされ、後ろ手に手錠をかけられ、留置場に入れられた。
後ろ手錠は、普通の場合凶悪犯の取り扱いである。
抗議をしたが、全く取り合ってくれない。
またその日は、生憎金曜日だった。
弁護士も保釈金も、どっちも手配出来ない。
よって、2晩ブタ箱にお泊りし、月曜の朝、弁護士が貰い下げてくれた。
当然、タダではない。
罰金も安くない。
車は市内の駐車場に停められてあったが、このお泊り賃も牽引代も払わなければならない。
なんだかんだで5千ドルほどの出費だそうだ。
その上、講習会を幾度か受講する義務もある。
その後、彼はマンハッタンに住むことにした。
車は売ってしまった。
さあもう怖いものは無い、思い切って呑むぞ。
そう考えてのことだと思ったが、
「いや、もう酒はこりごり、当分呑まないよ。」
とのことだ。
私は、そういう苦い体験無しに、外で呑むのを止めた。
なかなか思慮深い、と我ながら思う。
「結局、もう体力が無いのよ。」
と言う声が聞こえて来る。
天の声、かな。
「昨夜、ヤンキースは7回まで8−1で勝っていた。
夕方、アパートのプールで1000ヤードを泳いだこともあって、少々眠い。
「もうこれで決まりだろう。」
と勝手に決めて寝てしまった。
今朝起きて、新聞を見て驚いた。
対戦相手のテキサス.レンジャースが8回に6点を入れている。
最後は切り札、マリアノ.リヴェラを投入して、際どく逃げ切っている。
まだまだ、ヤンキースの中継ぎ陣は万全ではない。
松井秀喜は2塁打1本、3−1で可もなく不可もなし。
ヤンキースタジアムから川を越えたところにいるメッツが強い。
昨夜、7回まで2−6とリードされていた。
しかも相手はアトランタ.ブレーブス。
これもほとんど決まり、と思っていた。
しかし今年のメッツは一味二味違う。
8回にエラー、敬遠の四球を挟んで5連打で追いついた。
同点打は、なんと松井稼頭央が叩き出した。
前の打者を敬遠しての1死満塁策。
燃えなきゃ男じゃない。
と稼頭央が思ったかどうかは知らないが、彼のちょんと打った打球はセンター前へのブループ(ポテンヒット)、3塁ランナーが入って同点。
何となく暗い感じがする稼頭央だが、この時ばかりは1塁上で満面の笑みを見せてくれた。
なおも満塁だが、代打のフランコ(47歳!、ロッテにいた)が併殺打で、同点のまま延長へ。
11回の表にブレーブスが1点入れたところで万事窮したかに見えたが、此処からが凄い。
その裏、このところ当たっていないフロイドが同点のホームラン。
延長はまだまだ続く。
14回の裏、四球で出たベルトランがパスボールで2塁へ。
2死2塁でバッターは将来のミスター.メッツ、デヴィッド.ライト。
彼のバットが一閃、サヨナラ2塁打で長い延長戦に終止符を打った。
この日の観客は、ベースボールを堪能した、はずだ。
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