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ニューヨークは犯罪都市、と呼ばれて久しい。
不夜城とも呼ばれ、魔窟とも言われた。
ニューヨーク イコール マフィア という方程式もある。
異人種が入り乱れ、渦巻く欲望が犯罪を呼ぶ。
「30年以上ニューヨークに住んでいる。」
と言うと、
「随分危ない目に遭われたでしょうね。」
と聞かれる。
「いえ、全然ありません。」
と答えれば、相手は白けるかも知れない。
で、つい、
「そうですね、結構危険な場面もありましたよ。」
サービス精神の為せる業である。
「6,7回は、ホールドアップを喰らいましたね。」
「へぇ…、それで?」
「有り金全部渡して、命だけは助けて貰いましたよ。」
「そうですか、幸運でしたね。」
「でも、殴られたこともありますよ。」
「で、無事だったんですか?」
無事だから此処にいるのだが、
「暫く入院しましたがね。」
本当は、
「いやあ、2回ほど刺されて、1回は死にましたよ。」
そう言いたいところだが、それでは相手が怒り出す。
だが、1回もそういう危険な目に遭遇していないから、話しようが無い。
同じように、20年30年暮らしている人でも、あまり事件に巻き込まれたことは聞かない。
幸運なのか、用心深いのか、その両方なのか。
だからと言って、危険が無い、とも思ってはいない。
ナイフを突きつけられて金を盗られた、いきなり殴られてバッグを奪われた。
そういう人は何人も見ている。
甚だしいのは、同じ場所で1週間後に又襲われたのがいる。
こういうのは、本人が無用心過ぎる、ような気がする。
時間も真夜中過ぎ、というから開いた口が塞がらない。
長くニューヨークに暮らしていると、分かってくることがある。
危険な場所、時間帯、人間たち。
夜半過ぎのタイムズスクエア周辺、グリニッジビレッジ近辺。
日本人の集まる、ピアノバー界隈も危ない。
日本人が現金を持ち歩くことは、よく知られている。
一番外れの無い標的だ。
おまけに身体も小さい。
しかも酔っ払っている。
私は、そういう処へはあまり行かない。
稀に行ったら、タクシーで帰る。
遅くまで開いている店の前で、タクシーを待つ。
出来れば、連れと一緒に乗り込む。
無論、それだけ気をつけても襲われることはある。
その時は、何も抵抗しない。
ポケットに手を入れない。
武器を取り出す、と勘違いされて撃たれるケースは多い。
相手に、ポケットからお金を取らせる。
相手の顔を注視しない。
と、心がけている。
事に及んで、実際にそう振舞えるかどうか、は自信は無い。
会社に働いていた男が、地下鉄の駅で襲われた。
白昼堂々である。
2人組にピストルを突きつけられ、地面に寝るように言われた。
同僚が、2,3人いたのだが、口も利けなかったそうだ。
うつぶせに寝た彼のポケットから有り金全部奪って、悠々と立ち去った、と言う。
その日は給料日。
普通は小切手で払うのだが、彼に頼まれて現金で支給した。
運の悪い時は、そんなものかも知れない。
そのずっと前、知り合いの男が、自分のアパートのすぐ近くで襲われた。
クイーンズ区の住宅街。
勤め帰りだから、夕刻か。
彼は、アタッシュケースを渡すのを拒み、撃たれた。
22口径だから、普通なら負傷で済むところを、手当てが遅れて死んだ。
地下賭博場で、流れ弾に当たった不運な男もいる。
深夜のチャイナタウンの非合法カジノ。
賭場を仕切っているチャイニーズギャングを、対抗組織が襲撃。
撃ちあいの最中、彼は逃げるところを流れ弾に口元を撃たれた。
病院に担ぎ込まれ、一命は取り止めたが、翌日の新聞に大きく実名が載った。
読売新聞だったから、日本でも大きく報道されたはずだ。
一躍、故郷で有名人になったかどうか。
それでもニューヨークは、随分安全になって来た。
犯罪の発生率も、全米で10番目くらい。
血生臭い事件はあるが、麻薬がらみが多い。
つまり、どちらも密売者のようなケース。
あとは、痴情、怨恨。
今の日本にも氾濫しているような話ばっかり。
「日本人は、安全と水は無料だと思っている」
治安が良く、水質も良い日本を評して言われた言葉だ。
いま、日本人の間で、ミネラルウオーターは必需品だ。
皆、ザックに1本入れている、と言っても過言ではない。
つまり、水はタダではなくなって来た。
あとは、安全だが。
これもそろそろ怪しくなって来ている、ような…。
オールスター戦も終わり、大リーグのペナントレースも終盤に近づく。
我がヤンキースも正念場。
弱体投手陣救済に取ってきたのが、シドニー.ポンソン。
「ここまでしなきゃあいけないの?」
と聞きたくなるような、問題児。
なんせ、酔っ払い運転で逮捕されること、数回。
裁判所で判事に殴りかかった前歴あり。
キャンプに手を腫らして到着。
直前に、レストランで殴り合いをして来た、とか。
田口のいるカージナルスを首になったばかり。
4勝4敗、防御率5.24
これでも、ショーン.シャコンよりはマシか。
何より待っているのは、松井の復帰だろう。
現在打線は青息吐息。
ジアンビとジーターが二人で引っ張っているが。
Aーロッドが、もう一つ波に乗り切れない。
ポサダは息切れ気味。
ボストンとの2.5ゲームを縮めるのは、容易なことではない。
秀喜よ、こんなに待たれているなんて、男冥利ではないか。
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