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私は、車をリースしている。
つまり、借りているわけだ。
大体3年ごとに借り替える。
ずーっと、「Acura (アキュラ)」というホンダの1部門の車。
もう17年になる。
今が、6代目。
アキュラに限定している訳ではないが、契約更新は実に簡単だ。
期間の過ぎた車をディーラーに持って行き、新しいのに乗り換えて帰って来る。
多少の手続きはあるが、小一時間で済む。
ほかの車種、つまり他のディーラーならこうは行かない。
やれ給与証明、やれ保険の事故歴、色々調べられる。
たまにはレクサスも良いな、と思ってもその手続きを考えると面倒くさい。
考えて見ると、彼らの術中に嵌っているような気がしないでもない。
3年たって、リース切れ直前の車でディーラーに行くと、先ずセールスマンと会う。
前のセールスマンは、大体いなくなっている。
新しいセールスマンは、滔々とこの車の良さを並べ立てる。
「あのねぇ、僕は君よりずっと前からこの会社を知っているんだよ。」
そう言いたい気持ちを押えて、拝聴する。
説明が終ると、ショウルームへ案内される。
「ここを見て下さい。」
意気込んで言うので、見てみると、
「この新しいメーターは、タンク内のガソリンで、後何マイル走れるか表示します。」
得意そうに、
「他社には無い、新兵器です。」
へぇ、結構面白いじゃないか。
というような顔を見せると、ここぞとばかりまくし立てる。
「このスイッチは、何たらかんたらで、このメーターは…云々。」
2,30分の独演会が終れば、目出度く契約。
その車に乗って帰宅、とあいなる。
セールスマンは、幾らかの歩合が入ってニコニコ顔。
こちらも新車で、悪い気分ではない。
さらに3年後。
珍しいことに同じセールスマンがいる。
(よっぽど出来が悪くて、何処からも声がかからなかったんだな)
憎まれ口は腹にしまって、にこやかに挨拶。
彼も、何となく憶えがあるなぁ、という風情。
「又、会えて嬉しいよ。」
決り文句を言うと、自分の客だと分かったらしい。
「必ず又戻って来てくれる、と信じてましたよ。」
なかなか、泣かせる台詞を知ってるじゃないか。
例によって、30分程講釈を聞いて、ショウルームへ。
モデルチェンジしたらしい車が鎮座している。
「ご覧のように、大きく変わりました。」
運転席に座らされて、あれを触れこれを動かせ、と忙しい。
「あれ、残りのガスで走れるマイル数の表示メーターは?」
「ああ、あのメーターですか。」
かれは、にっこり笑って、
「That was a garbage. (あれはゴミです)」
「それより、ここを見て下さい。」
見ると、運転席の天井にポケットのようなものがある。
「これは、サングラスを仕舞っておくところです。」
得意そうに、開け閉めして、
「サングラスをかけるときは、使わない眼鏡を入れて置けます。」
それはまあそうだろうが…。
どうも今回は、これくらいしか売り物が無いらしい。
彼も同じことを考えたのだろうか。
「It's almost perfect.(これはほとんど完璧なんです)」
そこまで言うかねぇ。
それでも、私は6台目のアキュラを、彼は2度目のコミッションを私からせしめて、ハッピーエンド。
教訓。
とに角信頼できる車であれば、セールスマンの質は無関係。
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